C1-3
誤字報告ありがとうございます。
修正いたいました。
魔族が暴走を始めた。
魔導師達はそれを見送ると、煙のように消えていった。
「ハンス、エンフィーを頼む。メグミ、止めるよ。」
「承知!」
「わかったわ、まどか!」
『ジョーカー!魔族が暴走を始めた!今どこ!』
『侯爵邸にございます。すぐに向かいます!』
『頼む!』
外に出ると、皇城は火の海だった。まどかは、風魔術を噴射し、近くの魔族に体当たりをする。吹っ飛ばされる魔族。だがダメージを受けていない。
メグミも矢を放つが、確実に刺さっているのに微動だにせず、矢を引き抜くと傷が一瞬で塞がった。
「そうか。これはジョーカーさんと同じ……」
メグミは同じ現象を見た事があった。ジョーカーと模擬戦をした時、メグミのナイフが刺さったジョーカーは、何事も無かったかのようにナイフを抜き、見る間に傷が塞がったのだ。
「矢は効かない。たぶんナイフも……」
まどかは、かろうじて戦えている。拳に火炎魔術を纏わせ、遠距離には魔術で、使い分けながら倒している。メグミの樹木魔術は、物質系なので効果は薄かった。
(やるしかない……)
メグミは水晶を握りしめ、精霊に祈る。しかし、水晶は反応しなかった。
「どうして?なんで応えてくれないの!お願いっ……」
再度祈るが、やはり反応が無かった。まどかは、ボロボロになりながら、ようやく最後の二体と対峙する。召喚された魔族の中でも、上位クラスだ。二体は連携を取り、まどかを挟撃する。その時、
「大変お待たせしました。」
ジョーカーが間に割って入り、まどかと背中を合わせた。
「はぁ、はぁ……助かったよ。二体相手は、正直キツイ。」
「まどかお嬢様、おやすみください。」
ジョーカーは、一体に向けベノムショットを放つ!ゴブリン程度なら、数体まとめて倒せる術だが、魔族には二割程のダメージのようだ。
「なるほど。少なくとも中位以上のクラスということですか……」
ジョーカーは散発的にベノムショットを打つ。魔族は軽々と躱し、ニヤリと笑うとジョーカーを挑発した。
「ソノジュツハ、モウ、アタラン。」
「そうでしょうか?」
ジョーカーが両手を前にかざす。すると、先程放ったベノムショットの、複数の黒い光弾が、触手を伸ばすように繋がると、魔族を包囲した。
「黒の呪縛!」
光弾の触手が縮み魔族を包み込む。やがてそれは、一つの球体になり、更に収縮を続ける。ジョーカーはその球を掴み、もう一体の魔族に向けて投げた。
球は魔族に到達すると、圧縮仕切ったエネルギーが、限界を超え大爆発をおこす!
爆散した魔族達は、肉片となり地面に落ちていった。
「な、なんとか片付いたか……」
まどかがそう言いかけた時、
『ほう。ソフィアの子か……いい具合に死肉が溜まったな。少し足りないが、まぁいい……』
声なき声が頭に響く。突如巨大なエネルギーが飛来する。声の主に違いなかった。皇城に散らばる魔族や兵士の死肉が、そのエネルギーに向かって集まって行く。欠片も残さず集まった死肉は、ウニョウニョと蠢きながら、やがて一体の人型になった。黒い翼を生やした人型の死肉は、一体の魔族になった。
「我はデーモンロード。滅びを与える者。塵となれ!人間共!」