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C1-2



時が止まったように、ポカンとしたまま動かなかったエンフィーが、まどかの耳元で囁いた。


「お姉ちゃん、いま、妖精さんいなかった?」


「どうだろう。いたかもね。メグミはね、妖精さんとお話しが出来るんだよ。」


「そうなの!」


「うん。私の友達。」


「お姉ちゃん達凄い!」


「それよりもエンフィー、楽器が見つかったよ。今から取りに行く。」


「ホントに!でも、どうやって?」


「静かにして見てて。ハンス、マナを集中して、自分の姿が消えるイメージ。やってみて。」


「わかったっす。」


ハンスは、イメージする。ティンクが身体に入ってきた時、頭に浮かんだイメージ……するとハンスの姿は、スーッと見えなくなった。


「よし。次は……」


「あ、まどか様、鍵なら大丈夫っすよ。」


そう言ってハンスは、ベルトに止めてあった針金のようなものを抜き、鍵穴に差し込む。しばらく動かすと、カチャリと鍵が開いた。


「んじゃ、行ってくるっす。」


ハンスは姿を消したまま、辺りを一通り見て回った。メグミのリンクで楽器の場所にたどり着き、収納に回収して、牢に戻った。姿を現したハンスが、収納から楽器を出す。


「お兄ちゃんも凄いね。ありがとう!」


「エンフィー、ここを出るまでは、俺が預かっとくな。」


そう言って再び収納に入れた。


「まどか様、どうやらここは、何かの研究施設かもしれないっす。他にも牢があって、床に魔法陣が書いてあったっす。魔晶石も山積みで、その近くに開かない扉があって、禍々しい妖気が漂ってたっす。」


「んー……公爵が言っていた、皇子の研究かもね。」


「その通りだよ小娘!」


そこに現れたのは、冷たい笑顔の皇子。微笑みと言うより、魂も凍るような冷徹の表情、口元だけニヤリとしていて、まどかに近づいてきた。


「やはり公爵か。まぁ、今更どうでもいい。私の研究は、完成したからね!今から実験だ。そこで大人しく見てるがいい!」


暗くて見えなかった牢の前に、円を描くように灯りがともる。そこには巨大な魔法陣があった。


「連れてこい!」


皇子の合図で、正公爵と伯爵が、奴隷を連れて入ってくる。


「陣の中央に並べ!」


奴隷達は、精神支配を受けているようだ。無表情のまま、魔法陣の中央で整列した。


「精神支配した奴隷達に、魔族を部分召喚して力を増大する。そこいらの兵士など遠く及ばない、最強の軍隊だ。それが意のままに操れる!どうだ、素晴らしいとは思わんか!この力で、その世界を統一してやる!」


「なんてことを……」


「魔導師ども!やれ!」


魔法陣を囲むように、魔導師が数人現れる。術に反応し、魔法陣が赤い光を放つ。


「おぉ!素晴らしい!なんという力だ!」


溢れ出るマナが奴隷達にまとわりつく。やがてそれは形を変え、魔族の姿へと変貌した。


「ん?姿は変わらぬはず。いかん!魔導師ども、実験は中止だ!」


「いえいえ皇子。成功でございます。これより帝都は、魔族の支配する街になるのです!」


一人の魔導師が言う。


「貴様!騙したのか!」


「ひ、ひぃ!」


侯爵と伯爵が逃げる。皇子もそれを見て逃げ出した!


「待て!我を置いて行くな!」


魔族の群れは、皇子を追う。途中兵士が盾になるが、1分ももたなかった。

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