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R4-3



ようやく落ち着きを取り戻し……エンフィーはまだ緊張しているが、みんなで夕食にした。

ジョーカーのおかげで、コース料理に慣れている三人は、夕食を堪能している。どれに手を付けていいかわからず、オタオタしているエンフィーを見て、ハンスが丁寧に教え、肉などは切り分けてやった。エンフィーが口の周りを汚していると、メグミが優しく拭いてやる……


「なんか、いいな……」


まどかが呟いた。まどかがまだ辰巳だった頃、子供が産まれ、嫁と三人、幸せな生活だった時がある。ふとその時を思い出した。


「ハンスも、メグミも、子供とか出来たら、いいパパ、いいママになりそうだね。」


「へ?え?急に何よ、まどか。」


「俺も、子供欲しいっす!」


「なんか、ハンスさんが言うと、違う意味に聞こえる……」


みんなの笑い声が響く中、まどかだけは、どこか寂しい表情だった。


翌日、朝食を食べながら、ハンスはまどかに何気なく質問した。


「まどか様、なんで踊り上手いんすか?」


「ホント。お姉ちゃん踊り上手だよね!」


エンフィーも興味を示す。まどかは考え込む。


(なんでって言われたって……なんでだ?自分でもわからん。アプリさんの補正があるにせよ、ダンスの基本なんて……やったことないからなぁ……)


「だってまどかは昔……ねぇ……」


メグミが言いかける。まどかは指を一本立てて、


「シーっ!」


と、メグミの言葉を遮った。


「え?な、なんすか?」


(そういえば、スマホにまどかのライブ動画あったよな……その影響なのか?それをベースにアプリさんが補正して……わかんね。もう、考えるのめんどくせぇ。)


「まぁ、昔だよ。昔、歌と踊りで国中を熱狂させた人がいたんだ。今はもう、会うことは出来ないけど……私も大好きで、一生懸命追いかけた。そしたら、いつの間にか踊れてた。」


(まぁ、嘘は言っていない。よな。)


「じゃあ、まどか様は有名な踊り子さんの弟子なんすね!」


「で、弟子?うーん、少し違うかも……いつもそばで見てただけだよ。」


「おじいちゃんが言ってた。芸の達人は、自分の技を他人ひとに教えないんだって。だから弟子になったら、必死で見て覚えるって。特に踊り子さんは、決まった形を作っちゃうと、感情が入らないからダメなんだ。だから自分の眼で覚えて、自分の感性で踊るって。そうだよね、お姉ちゃん!」


「ま、まぁ、そう、なのかな……(なんか、凄い方向に勘違いされてないか?)」


メグミは、まどかの事を そういう家族がいて、それをきっかけにアイドルになったんだ……だから昨日、家族の事を思い出して、寂しい顔をしてたんだ……と、

ハンスは、きっとまどか様は、伝説の踊り子、最後の弟子なんだ……その踊り子は多分、もうこの世には居ない……と、

エンフィーは、おじいちゃんの言ってた芸の達人に出会えた……この人の背中を追って行こう……と、みんながみんな、好き勝手な勘違いをしていた。


(まぁいいや、訂正するのもめんどくせぇし……)


そして四人は、お互いを気遣ってなのか、このことは自分の心の中に仕舞っておこう……決して他言はしない!と、それぞれ勝手に、訳のわからない決意するのだった。


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