表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/131

R3-3



正侯爵の屋敷。

闘技場より戻った正侯爵は、憤慨していた。


「何をやっておるのだ!皇子様より借り受けた暗部の者、失敗したではないか!あの邪魔をした者は何者だ!まったく使えん!しかも捕えられたそうではないか!」


「申し訳ございません。しかし、あの者も暗部、決して口を割るようなことは……」


「取り調べなどよい!即刻処刑するように伝えろ!」


「かしこまりました。」


「それよりあの邪魔者じゃ!一刻も早く見つけ出し、始末するのだ!」


「その者でございますが、どうやら公爵邸へ向かったようにございます。」


「なんじゃと!あの忌々しい公爵めの手の者か!むむむ……彼奴は皇子様の素晴らしいお考えを知らぬ。隣国より持ち帰られた秘術によって、我が国の兵力を倍増出来ると言うのに!」


「誠でごさいますな。」


「彼奴まさか、皇子様に対し謀叛を企てておるわけではあるまいな!」


「そのようなことは、無いとは思いますが……皇子様のやりように、理解を示さぬとは、由々しき事にごさいますな。」


「次じゃ!次の手を考えねばならぬ。」


「それでしたら、既に……」


この時ジョーカーは、隣りの部屋にいた。いつ侯爵に呼び出されても良いように、待機していたのだ。おかげでこの会話を聞くことが出来た。


「おい!誰ぞある!」


「お呼びでございますか?」


「茶を持て!それと、少し腹に入れたい。」


「かしこまりました。では、甘いものをお持ちしましょう。」


「うむ。それで良い。」


ジョーカーは、厨房へ行き、お茶の用意をする。


「お待たせ致しました。」


「うむ。それと、使いを頼む。この手紙を伯爵邸へ届けよ。」


「かしこまりました。では、行ってまいります。」


ジョーカーは、他の執事に外出を伝え、そのまま伯爵邸へ向かう。道すがらまどかへと思念リンクをする。


『まどかお嬢様、よろしいですか?』


『ジョーカー、何かわかった?』


ジョーカーは、侯爵邸での会話をまどかに伝えた。


『ジョーカー、その秘術、どうやら魔族召喚らしい。部分的に召喚して、力だけを使おうというものだ。』


『なるほど……不可能ですな。』


『そうか、ジョーカーは、魔族だったな。』


『はい。魔族とは精神生命体、言わば意思の塊でございます。意思そのものが力、意思のない力など、存在しません。それに、召喚とは言わば、扉を開く行為。その扉から出るのは、呼び出した魔族ではない場合が多いのです。』


『どういうこと?』


『開かれた魔界の扉に、近くにいる魔族が一斉に詰め寄り、力に勝るものが扉に飛び込むのです。それを制御など、出来るはずがございません。』


『そうか、ということは侯爵は……』


『騙されている、ということでしょうな。』


『ジョーカー、もうしばらくそっちで調べて。』


『かしこまりました。まどかお嬢様、暗部の者が次の手を打ってくるようです。お嬢様方も狙われております。お気を付けくださいませ。』


『わかった。ジョーカーも気を付けて。』


『ありがとうございます。』


まどかは公爵に、ジョーカーの報告を告げた。いくら利用されているとはいえ、王国の陰謀を知らない限り、必ず命を狙ってくる。被害を広げぬ為には、早急に陰謀を暴く必要があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ