表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/131

R3-1



ハンスが捕らえた男を 衛兵に引き渡す。

まどかの元へ戻り、ハイタッチした。


「完了っす!」


「よし。皇子達が心配だ。行くよ!」


三人は皇子達の席へと向かった。途中に居た兵士達は、三人を見て最敬礼する。席にたどり着くと、椅子に項垂れ、飲み物を飲みながら、汗を拭いている皇子と、横で扇いでいる公爵が居た。


「戻りました。公爵様、御無事ですか?」


「おぉ、賊は!捕らえたか!」


「はい。衛兵に引き渡しました。」


「そうか!よくやった。」


「そのほうが我の命を救った者か!礼を言う。我は帝国第二皇子、アレクセイである。」


「勿体無いお言葉。皇子様、まだ痺れが残っておいででしょう。お休みになられてはいかがですか?」


「うむ。だがその前に、皆に伝えねばなるまい……」


皇子は身体を起こし、立ち上がると、良く通る声で告げた。


「皆の者!此度は余興とは言えぬ邪魔が入った!試合は我が預かる!後日再試合を行うことにしよう!体調の悪い者は申し出よ!身分は問わぬ!身体を治して帰るがよい!」


まだ十代前半の皇子が、凛とした姿で場内に告げた。その風格は、さすが皇族と言えよう。騒然としていた場内は、皇子の言葉で無事を知り、心を知って歓声を上げた。顔役達も、その見事な対応に感心している。


「そのほう、名は?」


「まどか、メグミ、ハンスでございます。」


「公爵、後は任せる。この者達に全て詳らかにせよ。まどか、メグミ、ハンス、この国を頼む。」


そこまで言うと、皇子はフラフラと椅子にもたれ掛かる。気を張っていたのだろう。全てを託し、意識を手放した。


「まどか、メグミ、ハンスよ、場所を変えようぞ。屋敷に来てくれぬか。」


「わかりました。伺います。」


「ハンス、屋敷は知っておろう。馬車を使うがよい。お前が案内致せ。我は先に戻る。」


「わかりました。では、後ほど。」


「うむ。」


それから三人は、ケーニッヒ卿の元へ。皇子達の席から少し離れていたおかげで、被害は無さそうだ。


「ケーニッヒ卿。」


「うむ。この騒ぎはなんじゃ。」


「はい。 恐らく、皇子暗殺を企てた者が居るようです。」


「なんと!大それたことを……」


「幸い皇子様は御無事です。賊と思われる者も捕らえました。ジョーカーが引き続き調べております。」


「そうか!よくやった。してまどかよ、公爵の件はどうなった。」


「はい。今からお屋敷に向います。」


「うむ。まどかよ、暗部には気をつけよ。必ず次の手を打ってくるに違いないぞ。」


「ケーニッヒ卿、暗部とは、いったい……」


「うむ。元は帝国統一戦時、集められた特殊部隊じゃ。存在だけは知られておるが、決して秘密は漏らさず、その為なら仲間の命すら奪い、死体も残さぬ。皇帝陛下直属の部隊じゃったが、それがなぜ今頃……」


「恐らく、今その暗部を使っている者がいる……ということでしょうか?」


「そうじゃのう……まどか、その辺も調べよ。」


「わかりました。」


三人は、ケーニッヒ卿の元を後にした。場外の裏手には、公爵が用意した馬車があった。まどか達は馬車に乗り込み、公爵邸に向うべく、闘技場を出たのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ