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R2-1

短編小説「ゼペットの憂鬱」を投稿しました。

宜しければ、其方も読んでいただければ…



帝都闘技場。

武闘大会をひかえ、各貴族から文官が集まり、大会の運営委員会が作られた。文官達にとっても、この武闘大会には大きな意味がある。

観覧席の割り振りや、各貴族の席順、招待客の選別に昼食のメニュー決め、第二皇子が出した資金の運用、場内警備の兵の選定などなど、各文官に役割を振り分ける。

重要な役目を引き受け、滞り無く遂行するのが、文官の腕の見せ所なのだ。自分が如何に優秀で頭がキレるか、どれだけ役に立つ人間なのかをアピールする場であった。


「庶民の席など、どうでも良い。此度は帝都の顔役の方々にも、お越し頂く手筈になっておる。不平不満の出ぬよう、席の列びを考えねばな。」


「左様。庶民など観覧に入れても、酒に酔って暴れる輩なども多い。貴族の方々や、顔役の皆様に、危害を加えようとするものが紛れ込むやもしれぬ。いっそ締め出してしまえばよい。」


「しかし、庶民に観覧を許すのは、皇子様のお考えなのです。入れぬ訳にはいきますまいて……」


「皇子様も無駄な提案をなさるものよ。兄の第一皇子様が庶民受けがよろしいので、御自分も人気取りをなさるおつもりか……」


「街の衛兵共を使いましょうぞ。街の者の鎮圧には、街の兵を使うが道理というものです。」


「それでは街の治安維持に影響が出る。ギルドを使えば良いだろう。金さえ出せば言うことを聞く連中だ。」


「あの野蛮な者共は好みませぬが、庶民の相手ならば妥当でしょう。」


「それより、結界の準備は出来ているのですか?」


「そちらは滞り無く。闘技場の四方に魔導師を配置する予定になっております。」


「場外の露店は、いかがいたしますか?許可もなく湧いてきますぞ。素性のわからぬ者も紛れ込むやも……」


「場外は言わば結界の外。捨ておいても問題は無いかと。」


「精々賑やかしてくれればよい。」


「男爵様が試合の審判役に名乗り出られたとか。」


「あの方らしい。ことある事に顔を出される……」


「申しますまいよ。あの方も必死なのです。鉱石の採掘にも、失敗なされたと聞きます。」


「少々話が逸れましたな。後はそれぞれのお役目を果たしましょうぞ。」


「では、この辺りで。皆様、滞り無く。」


腹の探り合いと、他人の粗探しを終えた文官達は、それぞれの仕事へと戻って行った。


「……」


「行ったか?」


「はい。気配はありません。」


「ふん。文官など所詮、屁理屈と机上の空論しか持ち合わせぬ愚か者よ。」


「我等暗部が、本当の知恵というものを教えてやりましょうぞ。」


「あぁ。予定ではこの辺りだな。」


不審な男達が、観客席で怪しげな行動をしている。まともな企みでないことは明らかだ。


「暗部が開発した複合薬。吸い込めば身体が麻痺し、動けぬまま死毒が廻る。確実に命を落とすだろう。」


「皇子諸共、公爵も始末出来る。」


「所詮公爵も文官上がりよ。ヤツらの歯噛みする姿が、目に浮かぶわ!」


「まさか結界の内側で術を施されるとは、思っていまい。」


「後は観客席に紛れて、解放すればよい。」


「確認と隠蔽を怠るなよ。直ぐに退散する。」


「はい。」


暗部と名乗る謎の男達は、影のように消えていった。

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