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M3-1



ギルドには、宿泊施設がある。

寮とまではいかないが、冒険者達が仮眠をとるくらいは出来るらしい。

村人Aの家にいつまでも居候出来ない(本人はいいと言ったのだが、やはり気が引ける。おっさんだし、コンプライアンス的に)俺は、住処がない事を伝え、安宿でも紹介してもらおうと思って居たが、ギルドに寝泊まりするのもアリかな?


「とんでもない!こんな野獣の檻にまどかみたいな可愛い子を寝泊まりさせるなんて、寝込みを襲う未来しか見えない!」


と、ギルマスが書庫にしていた空き部屋をまどかに提供(ガイアによって無理矢理)してくれた。

ギルドに入り浸ってる冒険者をかき集めて、書類や資料を運び出し、補修から掃除、ベッドやテーブルの設置、瞬く間に完了した。


「なんか、ゴメンねみんな。」


「お安い御用ですまどか様!なにかありましたら、我らまどか親衛隊にお任せ下さい!」


「さ、様?親衛隊??」


後で聞いた話だが、ギルマスが心配していたのは、寝込みを襲われるであろうまどかよりも、手を出そうとして片っ端から潰されるであろう冒険者達だったらしい。


ギルドとしては、大事な戦力である冒険者達をまどか一人に蹂躙されることは避けなければならない。

そこで、自主的に冒険者の有志で結成された、まどか親衛隊(非公認)に目を付けた。


まどかを守り、部屋に野獣共を近づけないように、ギルマスが直接指示を出したのだ。

これにより、まどか親衛隊は公認となった。俺に無断で。

(ってか、俺に潰されるってなんだよ!こんなに争い事が嫌いな俺に……暴力反対)


ただ、この後少し揉めたらしい、一つは誰が隊長になるか。

これは円満に殴り合いで決まった。

そういえば部屋の片付けの時、みんなアザだらけだなぁ……と思ったけど。

まぁ、冒険者など、傷やアザをつくるのは、日常茶飯事だと思っていたのだが、まさか隊長を決めるバトルロイヤルだったとは……


もう一つは、入隊希望者が押し寄せたこと。

少しでもまどかに近付きたい!そんな下心丸出しの冒険者達が溢れかえったらしい。結局

「立ち上げメンバー以外認めない。」

という、どこかのヲタ界隈みたいな理由で、却下されたようだ。

まぁ、しばらくは反感をかうだろう。どこかのヲタ界隈みたいに。


俺としても、勝手に立ち上がった親衛隊など興味ないし、むさくるしい男共と付き合う気もない。

まぁ、穏やかな生活に多少近づけるなら、このまま利用するけどね。



……しかし、仮初の穏やかな生活も、露と消える知らせが入る。


「た、大変だ!アンデッドの大軍が、町に向かって来てる!」


「ギルマスに報告だ!数は解るか?」


「おそらく百体、西の洞窟から湧いて来てる!まだまだ増える可能性も!」



ギルドに緊張が走った。すぐさまガルがロビーに出る。


「みんな聞いてくれ!ギルマス、ガルシアの名において、ここに居る全冒険者への緊急依頼だ。

ランクFは、町のみんなの避難誘導、逃げ遅れる者がいないように、細心の注意を払え!ランクE以上は、アンデッドの撃退だ。数も多い、心してかかれ!一人も死ぬことは許さん!」


「「「おぉーーっ!!」」」


ちょっと感動したね。ギルマスの一言で目付きが変わる冒険者達。

普段鼻の下伸ばしてhshs言ってるヤツらが、闘う男の顔だ。

ギルマスの男気も感じたし、せっかく知り合えた仲間だ。死なせたくはない。


「まどか、力を貸してくれるかい?穏やかな生活を邪魔して悪いね。」


「承知よ!行ってくる!」


ちょっと胸熱じゃねぇか。仕方ない、穏やかな生活は、もう少し先だ……

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