僕の元担任への仕返し
数日前に書いたエッセイの続きなのですが、連載にしていなくて申し訳ないです。
前回は僕の小学校2、3年生の担任の先生がいかに僕にとってストレスだったかについて書きました。ダークにならない様に気を付けてもダークになってしまい読んでくれた方には申し訳ありません。
さて今回は、小学生6年生になった僕が積もり積もった恨みを晴らす仕返しのお話なのですが、まずは前回書かなかったことについて記さなければなりません。
小学2年生の10月くらいでしょうか、僕はその担任に放課後呼び出しを受け、放送室に連れていかれました。ええもう大嫌いなので、正直対峙するだけでも苦痛です。1秒でも速く退散したかった。
「A君に悪口を言ったそうだな」
A君というのは僕が不登校になる前から、学校にあんまり来ない子で、僕は特別仲良しでもなく、あんまり話したこともありませんが……
その担任の言葉を聞いた僕は固まりました。悪口……そんなことを言った覚えはありませんが、知らず知らずのうちにA君を傷つけてしまったのかもしれないとは思いました。話した記憶がないんですけど……
「A君はそれが原因で不登校になっている。いいか、もう二度と悪口を言うな」
小学校2年の僕はそう言われ、まず泣きそうになるのをぐっと押さえました。まず悪口を言ったと言う自覚が全然ないこと、どの言葉で傷ついたのか、話した記憶もあんまりないので、軽くパニックです……
でも、それが原因と言われたのですいませんと大人しく謝り、もうしませんといいました。担任がそれをA君に伝え、その翌日からA君は登校してきました。
僕はA君に謝りましたが、仲のいい友達から何か悪口言ってた? と疑問に思われたので、予防線の意味で僕は友達にA君と話すときは内容を聞いていてほしいとお願いしました。
担任のおかげで僕の不登校は続いています。週2回は休まなければどうにかなりそうな精神状態。
そんな時またも担任からお呼び出しが……誰もいない放送室で1対1で対峙しなければなりません。
(今度は一体なんだよ?)
「またA君がお前のせいで学校を休むようになった」
おかしいなと思いました。A君と話すときはB君と一緒で話の内容や言葉について小2の僕は最善を尽くしていたはず。そもそも話す機会自体が少ないのに……
「先週13日の木曜日、A君になんて言ったんだ!」
13日の木曜日……木曜日は大嫌いな美術(絵)の時間がある日です。だから僕はあるときからほぼ全部の木曜日を欠席してします。
「木曜日は僕は休んでるよ! 何にも言えるはずないだろ!」
と、凄んで言えれば良かったのですが、気の弱い僕は適当な返答し、その場を切り抜けました。そしてこの瞬間に嫌な大人はほんとにいると思ったのです。だいたい僕が欠席してることなんてすぐわかりそうなもんだけど……あと、他人を巻き込む嘘を平気でつく人がいるんだと思ったのです。
ちなみにA君はクラスが変わろうが、中学生になろうが学校に来ていませんでした。中学生時、僕が所属していた部の顧問がA君の担任でどうしても学校に来てくれないと嘆き、あろうことか生徒の僕に相談してきたことがあります。
おっと仕返しの話なので……僕は4年生の時、大嫌い担任からやっとこ解放されました。4年時は普通です。体調が悪くなければ学校に行って、放課後は宿題に追われることなくささやかな日々を送っていました。
五年時、僕の小学校は2年でクラスメイトが変わりました。だから5年のクラスメイトは6年時も一緒。間違いなく最高に楽しかった2年間です。クラスに誰一人嫌いな子が居ませんでした。そして好きな女の子が居て、毎日からかっていたので、日曜とか夏休みとか要らないくらい学校が好きでしたね。
すっかり2、3年の担任のことを忘れていた時です、玄関前で僕は何人かとボール遊びをしながら、話していた時、
「おいおい、中で遊んじゃいけないな」
と、声を掛けてきた先生が。はい、例の担任です。
言ってることは正しいです。校舎内でボール遊びしてたらガラスとか割っちゃいますからね。
注意して、満足し遠ざかるその背中に僕はささやかな抵抗をしたいという思いが沸き上がりました。
こんなに楽しい小学校生活、その2年をあなたのせいで台無しにされたって言う想いが心の奥にありましたから。
「髪染めが!」
ぼそっと僕は呟きました。その先生、髪が少し茶色かったんです。
小さい声で言ったのに、周りに居た僕が好きな女の子と友達には聞こえてしまったようで、すぐ反応されてしまって……まず髪染めという愛称を気に入り、僕がなんでそんなことを言ったのか質問してきます。
だから僕は親にも言っていなかった、つらい2年のことをほんの少しだけ話しました。
一番腹を立ててくれたのが、女の子たちで許せないから仕返しにわかんないように、あたしたちだけがわかるように髪染めって言ってやろうって。
まあ相手は教師です。そして僕は物凄い苦痛を受けたので……そのくらいの仕返しはいいだろうと思ったんです。
その日から、僕を含めた5人の髪染めワードが冴えわたります。ポイントは至近距離で言わないことです。本人も薄々気づいていたんじゃないでしょうか……何か言ってきても、小6になった僕は泣き寝入りするつもりはありませんでした。
1ヶ月くらいしたとき、僕は満足していました。どんな形であれ、発散でいたのでざまあみろと少し思っていたと思います。
ですが思わぬ展開が待っていて……僕を含め髪染めワードを使用していた5人が担任の先生に放課後残っているように言われました。
6年生時の担任の先生はいい人でした。女の人でトラブルメーカーの僕を滅茶苦茶心配して色々聞いてくれる思いやりのある先生で……
「あなたたち、最近C君に悪口を言っているの?」
ん? 僕たちはそれぞれ顔を見合わせます。なぜC君が出て来たのか……C君は僕と仲良しです
「C君は自分の髪のことで悪口を言われていると言ってるんだけど……」
ああ……たしかにC君の髪は黒髪でなく、少し茶色なんです。
「違います」
女の子の1人が言いました。
「C君に向けて、言っていません」
「じゃあ誰に向かって、なんて悪口を言っているの?」
そんなに怒っている口調でなく、注意する感じで先生は僕たちの顔を眺めました。
仕方ない。言うしかない。だって言わなければ僕たちがC君をいじめていることになってしまう。
「I先生に向かってです」
「I先生……どうしてI先生に?」
「秀一君が先生に酷いことされてたからその仕返しです」
「酷いこと……そう。秀がねえ……I先生が嫌いなのは何となくわかってたけど、なんて言ってたの?」
「髪染め!」
先生はそれを聞いて盛大に爆笑しました。
6年生時のこの担任の先生が凄いところは、僕たちをいじめの加害者だと決めつけなかったこと、ちゃんと僕たちの話を聞いてくれたこと。C君も先生に相談してくれたこともよかった。
これをもし読んでいる小学生、仕返しはダメだ。それと言葉はどこで人を傷つけているかわからないから気を付けてね。
C君はいまだに僕と友達でたまに連絡をくれます。