時空魔竜騎アースガルンプロット.番外編その2
その2
ヒックとロッシー
~ アレ ~
ロッシーは失意に落ち込み、ヒックは両腕を切られ思うように動けない。ヒックはロッシーを慰めて、二人は気を取り直し森での活動を始める。
ロッシーが夕飯の準備をする為に、森を探索して来ると言い出した。
「気をつけて行って来てくれよ」
ヒックは大木の下で木にもたれ掛かり休んでいる。
「うん。大丈夫よ。そんなに遠くへは行かないから、ヒックも何かあれば大声で叫んで呼んでよね。多分この森は声が響くわ」
そう言って茂みへと足を踏み入るロッシーだったが急に足を止めて、ヒックの方へ歩み寄る。
その顔は少し赤くなっていて、何かモジモジといつもと様子が違う。
「あ、あのさ…あの…アレ…あの…えっと…」
何か言いたげだが、なかなか話出そうとしない。
顔はどんどん赤くなっている。
普段とは違うロッシーの態度を見て、ヒックは何かを察して頬が赤くなり顔をロッシーから逸らす。
ロッシーもヒックから顔を逸らしていて二人はお互いを見れないまま、顔を赤くしている。
「な、なんだよ、、、は、早く言えよ…」
この時ヒックは思った。
(ま、待てよ?!何、早く言えよとか言ってんだ俺は!こんなの女の子から言わせて良いのかよ!男なら相手の気持ちを察してこっちから言ってやるもんじゃねぇのかぁっ?!い、いや待てよ、で、でも違ったら俺はどーしたらいいんだよ。てか俺はロッシーの気持ちと同じ気持ちなのか?!しかも今こんな状況で?!いやいやいやいやありえないありえない。ダメダメ、せめてもうちょい落ち着いてからゆっくり雰囲気のある場所で…)
そんな事を考えているヒックだがロッシーが話し出す。
「あ、あの、、、あっ、お、しっ」
「うわあああああああああああああああ!!!」
それをヒックは大声を出して止める。
「ええ!な、なに?!腕が痛む?!」
ロッシーは突然叫ぶヒックに驚きつつも心配して、ヒックの側に駆け寄る。
(うわああああああああっ近い近い近いっ!今そんなに近く来ちゃダメでしょ?!空気読んでよロッシーちゃんっっっ!!!)
ヒックは白目で汗をめちゃくちゃ出して意識が朦朧としている。
それを見たロッシーは余計に心配して「熱でもあるの?!」とヒックの顔に顔を近づけ額と額をつける。
(なんでこの抱擁チャンスに腕がねぇぇぇんだよぉぉぉおっ!!!あのメガネ野郎絶対ぶっ殺すからなあああああぁぁぁっ!!!!)
ふぅふぅっ!と息が荒くなっているヒックから額を離して
「熱は無いみたいだけど…なんか顔は赤いわね…」
と反対に冷静なロッシーだが、何かを思い出した様にハッとし、顔を赤くして下を向きながら大声で急に叫ぶ。
「ごめんなさい気づかなくて!!!やっぱり、おしっこ我慢してるのよねっっっ!!!!!」
よねっ!よねっ、よねっ…とロッシーの大声を森の木々達が反射して響いている。
「そっちいいいいいいいいいいいいいっ?!?!」
ヒックの大声も響く。
突然叫んだヒックに驚いて顔を上げたロッシーだったが「そっち?」とすぐに疑問の顔に変わる。
「い、いや、なんでも無いんだ気にしないでくれ」
ヒックは下唇を噛みながら泣いている。。。
結局の所、ロッシーは両手の無いヒックがどうやってズボンを下ろして用を足すのかが気になって仕方なかったのだ。
「なるほど、、、そういう事か。それには心配及ばん。俺は竜騎となった時から用を足さない。腹も減らん。満腹にもならん。だが、味覚や五感などはある。そういう身体になったんだ。味は感じられるので食事はするがしなくても問題ない。そして食べた物は俺の魂が全て燃やし尽くしてしまうので外へは漏れでないので…」
説明はまだ続いているが、無表情でぼんやりと聞いていたロッシーは「へぇ、じゃ晩御飯は食べるのよね?」と言って、茂みへと姿を消した。
「え、あ、おい…」
と止めるヒックを残して。
そしてヒックから見えない茂みの奥へと来たロッシーは、急に膝を抱えてしゃがみこみ顔を真っ赤にして顔膝に埋める。
そして顔を空に向けて大声で叫ぶ。
「ヒックのバカああああああああああああっっっ!!!!」
ヒックは突然の声に驚き
「えぇ…」
と言ってポカーンとしていた。




