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収束の交錯世界へ  作者: Unknown
終わりと始まり
7/43

刻まれたそれは…

最近とても暑いですね!!皆さん、熱中症にはお気をつけを!(死にかけ



1分くらいの時間が無言の中過ぎた。

とても静かだ。志穏の鼻をすする微かな音が大きく聞こえるくらいに。多分セシルも気付いているだろう。


志穏も少し治まったくらいにタイミングを図ったのかセシルは決意を秘めたようにぐっと目を見開いて言う。


「 志穏も全て打ち明けてくれたんだし、私たちも隠し事は無しにしないとね! 」


ねっ!!とセシルはグレイブに目で語りかけ、グレイブは気圧されるようにして頷いた。

まだ嬉しさと情けなさが混ざりあった涙が眼に溜まり、膜みたいになっていた。

ほんと恥ずかしい……。


「 ありがとう。それじゃ遠慮なく聞くけど、この世界について簡単に教えてほしい。 」


「 うん!わかったわ。 」


と愛想良い笑顔を浮かべて言う。それから遠慮がちな声で"びっくりすることあるかもしれないけど良いよね"とビデオに入ってる*注意点みたいな感じで付け加えた。


「 私達は第2人類。第1人類、つまりあなた達が滅んでおそらく1()0()()()は経っているわ。 」


俺達が滅んで10万年…?

覚悟していた答えだが信憑性を欠くその単語に志穏は心臓がブル!と揺れた気がした。

そして自分の住んでいた世界とは違うのだと断定され、広い海の中に放り出されたような孤独感を改めて感じる。


「 10万年前、私達第2人類は生まれた。そこから私達の祖先は"文明"というものを築きあげ、暮らしを豊かにしたわ。頭もよく誕生から8万年後には国家を作り人々は群れをなし、助け合って生きていた 」


突然セシルが言い淀む。

…どうしたんだ?そう思っていると今までずーと空気と化していたグレイブが小さく横腹を小突く。

すると我に返ったようにセシルがハッとした顔をし" ごめんね"と言う。そして続きを話し始める。


「 けどねそんな日々は突如として奪われた、ナグナロクという化物が現れたの。

4つの大足と巨体。大きなクリムゾン色の翼、大きな黒い角と恐ろしい形相。奴は沢山の国家を消し飛ばし、人類の2分の1を滅ぼしたの。信じれない話でしょ? 」


「 ……まじかよ。 」


志穏は出来るだけ泰然自若とした口調で話すが胸中はビックリマークとはてなマークだらけだった。


しっ信じられねえ……。人類の2分の1が化け物によって滅ぼされた?そんなオカルト神話みたいなことが起こるのかよ!


「 そんな中、ナグナロクを討伐するために世界中から来た各部武族、特殊部隊、軍隊、地方治安維持部隊が集結し、大規模なナグナロク討伐部隊を編成。10万人で総攻撃を仕掛けた。

さらに彼らは奴を倒すためにある新兵器をつくりあげたの。

"シェイル(能力)"よ。 」


「 一部の人間を除いてはその技術で大多数がシェイルを得た。それを用いてナグナロクを封印した。これをガルタングラの戦い[人類解放戦争]なんていうけど。 」


「 けど甚大なダメージを受けた。シェイルで武装した5万人がいても、その4万人は犠牲に。全体では半分以上兵隊が生きて帰れなかった。

それと同等の痛手を人類は喰らった。ナグナロクの暴走により地球の大地の4分の1は()()()()()()()()()()()()じゃなくなったの。 」


「 それだけの対価を支払っても奴を殺すことは出来なかった。今も結界に閉じ込めているだけなんだ。

今この瞬間、結界が破られてこの地上が焼け野原になってもおかしくない。 」


志穏の蒙昧な頭の中では沢山の情報が天使の輪みたいな形をつくりぐるぐるとまわっている。

小学校で因数分解を習うような話の急ピッチさに頭がついて行かない


なにより、人類の2分の1を滅ぼした化け物が自分がいる地面の地下奥深く未だに眠ってるなんて……。信じ難いにも程がある。


「 ナグナロク封印に大いに貢献した8人の有力者に新たな"ちから"を与えたの。当時では最強と言われた8つの能力―第8能力をね。

また、ガルタングラの戦い[人類解放戦争]の後、世界は国同士の反乱を無くすために世界に散らばる各国を統合、地球総督府とした。

そして各地方を郡都という区分をし、だいたいの政策を打ち出し、未開拓の土地にも進出して行った。

そして世界は一体化して今に至る。どう、だいたいこんなもの? 」

「すげえなセシル。そんなにスラスラ話せて」


それを聞くとセシルは"いやいや、小学校で習うことよだし、普通よ!"と少し照れながらまんざらでもないような言い方で答える。


小学生に教えるにはショッキング過ぎねえか。


「 どうだ、少しはこの世界のこと分かったか? 」


「 まあこんなに話しても全ては上手く理解できないと思うけどね。驚いたでしょ? 」


「 うん。とても驚いた。 」


「 やっぱり 」


「 あと1つ聞きたいことがあるんだけどいいか? 」


「 どうぞ。 」


「 なんかさっきの街のやつら、死んだような表情してないか?人形みたいに表情に変化がほとんどないし……。なんかあったんか? 」


するとセシルの眉が微かに動く。そして"やっぱりそう思うよね"と囁き悲しげな笑顔を作った。


「 理由知りたい? 」


「 まあ……一応知りたい。 」


「 わかった。」


志穏の控えめな返答に身じろぎもせずに話し始める。


「 」


「 なんだそれ? 」


新たに現れた言葉に当惑した。


「 この世界にはこれからの人類繁栄と支配のために必ずしなければならない。という2本柱が100年前に創設されたの。

そのうち1つが信仰一体化。早い事言うと信じるものをひとつにさせ、皆を似たりよったりとした思考の持ち主にしちゃうって感じなの。そうすれば洗脳も簡単だし、群衆を都合の良い風に扱える。その信仰の中枢は王への絶対服従。どんな無理難題でも王の命令は絶対という信仰。その“信仰一体化”が出来た当初、それに反発した人々の子孫があの地区に迫害されているの。“自治区”と呼ばれているの。服装なども決まったも自由がない。さっきあなたが囲われたのは、服装も違うあなたがどうどうと街を歩いてたからよ。きっと冷やかしで入ったと思われたんだよ。 」


……疑問が少し晴れた。

どうして皆同じ服装にしているのか、最初から思っていたがまさかそんなおぞましい理由とは……。


腐りすぎだろこの世界。

怒りがやかんから湯気が飛び出すように、勢いよく吹き出す。


―明らかにこんな世界は間違っているだろ。


徐々に腹立たしさが全身へと渡り、いつの間にか握り拳に強い力を入れていた。


…今一度、セシルの話を反芻してみる。すると聞いた話と目の前にある光景にあきらかな違和感を感じた。


「 思ったんだけどセシル達はあの地区にいたのに服装が街の奴らと違うじゃねえか。なんでだ? 」


今まで気にしていなかったが街の人間とは服装がまったく合わないのだ。白を基調としていた服に対しセシルとグレイブは現実世界の学生服のような服だ。セシルの格好は特に、紺色のブレザーとミニスカートなどJKのそれだ


「 えーとな志穏、俺達は―ぐっふ 」


―――!!!。セシルが何かを言おうとしたグレイブに対しすかさず腹部に肘打ちした。え!一体どうした?


「 姉さん!何すんだ。 」


「 まだ、言う必要ないでしょ。 」


"けどよ!"と言葉を続けるグレイブに対しセシルが手で抑制する。


「 あっあの~ 」


「 ん?なに。 」


セシルがこちらを向いた際、一瞬ギロりと睨んだ気がした。


「 その~セシルは俺に何を隠してんだ?そんなこと言えるご身分では無いのは分かってるんだけど、つい気になっちまうんだ。教えてくれないか、セシル。 」


セシルは少しだけ顔を顰めた。いや、実際顰めているつもりなどないのかもしれないが志穏にはそう見えた。


……本当は教えたくもないのかもしれない。


だから、拒否に近い表情をしたように見えたのだ。

だが、聞いたものは仕方ない。腹を括り、秘密を聞くことにしよう。凄い腹立つ言い方してんな俺…。

セシルがおもむろに口を開く。


「 志穏が教えて欲しいなら…教えるわ。 」


本当にセシルは優しいなとつくづく思う。

でも困っている人を助ける!なんてポリシーを持っているセシルなら"困っている人"に入る人へは誰にでも優しいのだろう。決して俺が特別なのではない。

ただただセシルにとって自分は背負われているだけの荷物に過ぎないのだ。そう思うと恥ずかしさを覚えた。

そんな思いを余所にセシルが話を始めようとした途端――――


セシルの表情が変わる。まるで、形容しがたいこの世のものでは無い存在を見たかのような表情なのだ。目を瞬かせ、ただこちらの()()()()を凝視している。


「 志穏?……その左手どうしたの? 」


「 姉さん?どうしたし――! 」


グレイブも少し固まる。

俺の左手そんな変なのか?ゆっくりと顔を覗かせ――

反射的に顔をそむけてしまった。

左手の平に"ある"それがド正面から見えた。だが、身体の"反射"で目を背けてしまった。

恐る恐る、もう一度見る。


淡い碧色が五芒星型に手の平を刻んでいたのだ。

さながらナスカの地上絵を思わせるほど、深く、くっきりと。

…………!!これは一体、何なんだ!!!!?



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