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○○って呼んで  作者: 清風裕泰
6/8

じゃ応えるわ

 学校。

 俺は高校まで東京で通っていた。

 小中高全部共学だったが、特筆すべき特徴もない普通の学校で普通な学生時代を送ってきた俺だったが、今は普通じゃない学校にいる。

 鳳林学園。

 有数の権力者や資産家たちのご子息ご令嬢たちが集う、漫画でしか見たこともない巨大学園。

 小学校から大学まであり資格に問題がない限りエスカレーター式で一環とした教育を受けられる。

 学園内の施設も超一流で、何でもあると思っても差支えないとんでもないところだ。


 俺の父親である酒井健三(さかい けんぞう)は新興企業の社長で、自力で起業して名を轟かせた凄腕の企業家らしい。ただのサラリーマンをやってた俺としては怪物みたいな人としか思えない。

 黒スーツたちの話によると、俺はその人によってこの学園に入れられたとか。確かにそうでもない限り入られないよな。ここって。


 学園についた俺は母さんと一緒に教員室で担任の先生と会い色々の事情を話しておいた。

 俺が母親に合うため家出を決行したこと、記憶喪失になったこと、今は実母の許で暮らしてること。

 それを聞いた担任の表情はあまりよくなかったが、自分に当てられた子だ。結局引き受けるしかなかった。

 まぁこんな学校だ。先生もサラリーマンみたいなもんだろう。


 気が弱そうなこの女教師の名は望月(もちづき)いのり。母さんみたいな小柄な童顔ではあるが、母さんと違う見事な絶壁っぷりでスーツが似合わなさ過ぎる。おかげで学生に見えるくらいだから一層私服を着るべきではなかろうか。


「さ、酒井くん。……家族のこと、覚えてますか……?」

「いいえ」

「先生のことも、覚えてないですよね……?」


 確かめるため聞いてくる望月先生。

 さすがに子供である俺よりは身長が高いが、椅子に座ってるせいか目線にそこまでの差はない。少し垂れ目ぎみな彼女の大きな目が俺の目と目線が交差する。


「いいえ」

「そ、そうですよね……」


 否定されると彼女の顔はどこか安堵にも似ていた色を見せる。そしてどこか寂しい気配もしていた。

 でもまぁ新学期初めて間もない頃だ。そこまでの思い出はないはずだし問題ないだろう。


「私は、望月いのりっていって貴方の担任です」


 記憶喪失と言う俺の設定を信じたのか、改めて自己紹介をする望月先生。ありがたいことだが、プライバシーに敏感なタイプなのかそれ以外のことは何も言わない。

 名前以外自分を紹介する材料を持っていないんだろうか。それとも公開することが嫌なのかわからない。だが俺自身としても彼女の名前以外それほど興味がないのもまた事実だ。彼女に深入りすることもないだろう。

 俺はなるべく問題を起こさない方向でこの学生時代を送るつもりだから、この小動物みたいな先生に迷惑は掛からないはず。

 だが、俺のほうから興味がなくても俺の担任である彼女としてもそうも行かないはず。クラスメートたちとの関係もある。だから、


「先生、俺が記憶喪失ってことは内緒にして普段通りに接してください」

「な、何で…?」

「クラスメートたちが戸惑うでしょうから」

「…そんなことないと思うけど……」


 先生はああ言うけど、子供って思ってる以上遠慮深いところあるよね。可哀想って言われてあれこれ遠慮されたりするよりは普段通りの学園生活と接して早く雰囲気に馴染んだほうがいいだろう。俺としてもクラスメートとしても。

 なかには土足でずたず踏み込んでくるタイプもいるだろうけど、大抵自分と違う人間がいたら気を使ったり顔色を伺ったりするものだ。

 少なくとも俺はそうだった。両親がない施設暮らしであるためいつも先生やクラスメートたちの機嫌を伺う日々だった。

 俺が憎まれると同じ境遇の奏も被害を被ってたからな。


「先生、よろしければクラスの名簿をいただけないでしょうか」

「な、何で…?」

「クラスメートの名前を知らないのは不自然ですから。もちろん個人情報の問題もあるので席順の名前だけでもお願いします」


 俺の話を聞いて目が丸くなる望月先生。何かおかしいことでもいったのかな。


「まるで別人…、大人と話してるみたい。本当に記憶がないんだね」


 自分を構成する記憶がなくなったら別人みたいになることもあると担当医の土井先生からきいた。どう繕っても南斗くんを微塵も知れない俺じゃ彼の真似もままならない。望月先生には打ち明かしてるんだしなるべく情報をもらうとしよう。


「俺が言うのもなんですけど神童と聞いてたんですが、今の俺とそんなに違うんですか」

「確かに南斗くんは驚くほど頭がよかったです。でも言葉遣いは子供のままだったの」


 これはいかん。言葉遣いから気をつかないと。さすがに子供であるクラスメートたちがそこまで目聡いわけないとは思うけど念には念だ。

 望月先生に色々聞かないと…


「申し訳ありません。時間になりましたので、酒井くんと一緒にクラスのほうへ向かわないといけません」


 聞きたいことが山ほどあったが時間が許されなかった。そうだよな。ここ学校だし。

 望月先生と母さんが一緒に席から立ち上がる。


「南斗くんの制服や教科書はこちらに用意してますので持たせてクラスへ向かいます。」

「ありがとうございます。うちの子を宜しくお願いします」


 時間になりお開きとする母さんと先生。だが端から外見だけ見ると高校生同士が話し合ってるにしか見えなくもない。

 何ともいえない光景だな。まぁ実際俺の―人格の年齢より年下な訳だから多少頼りなく見えてもそこは愛嬌としてうけとめよう。


「これが酒井くんの制服と教科書です」


 その後、望月先生から教科書や文房具一式、そして制服を支給された。

 鳳林学園の名は有名だから聞いたことはあるが、小学校の制服を見るのは流石に初めてで、これを着るのかと思うとこそばゆいものもあった。そして何より俺を困惑させたのがランドセルだ。

 自分の子が生まれたらランドセルを買ってあげるのが楽しみではあった俺だが、自分が担ぎたくはなかった。


 青を生地にして真っ白な線が入ってるのが特徴。そこに黄色い帽子が加えられているが、校外では自宅の車を利用するのが普通であるこの学園の生徒がこれを利用するのはほとんどないみたいだ。

 デザインはブレザーに半ズボンでポピュラーな物だ。逆に変なデザインではなくて良かったと思う。


 母さんは制服を着た俺をみて歓喜して新しいスマホで写真を撮りまくってたが、もうすぐ新しい会社へ出勤する期間だといわれ泣きながら学校を後にした。家でいくらでも撮れるから泣かないでください。


 その後、H.Rが始まる前に先生の後を追って教室に向かった。

 ここまでこれといった問題もなく平穏とさえ言える時間が過ぎるのをみて、俺は安堵していた。どれだけ特別な学園であっても人の子が通うところであると思ったからだ。


 だが、その安堵も直に終わる。人の子が通う学園であるが故に。



 ◈ ▣ ◈ ▣ ◈ ▣ ◈ ▣ ◈ ▣ ◈



「みなさん、おはようございます……! ほ、ほら入ってきて」


 教室に先に入っていく先生の後を追って教室に入る。

 この歳になると教室の入るのは中々どうしても新鮮なもので、俺は次はいるのは子供の授業参観のときだけだろうと思い込んでいたがこんな形でこんなにも早く訪れるとは思いにもよらなかった。


 そして教室に入った俺は懐かしい感覚に見舞わされることになる。

 無感情な視線とどこか嘲笑と似た含みある笑いで満たされた空間。

 小さな悪魔たちが集う場所。

 ああ懐かしい我が戦場だ。


 教卓に立った先生は俺を横に立たせる。俺は俺を直視する子供たちの顔を一人ひとり見て観察する。とにかく俺のクラスメートになるわけだ。仲良くするかどうかはさておいて顔くらいは覚えておかないと色々やりづらいだろう。


「酒井くんが今日から普通に登校します。みんな仲良くしてね」

「はーい」


 元気よくお答えする子供たち。だが小学生の頃から他人の顔色ばかり伺ってた俺には分かる。あれらは無邪気な子供などではないってことを。

 人を人とみない悪魔たちだ。


 何を隠そう。俺は中学生の頃虐められてた。

 特にこれと言った理由はない。親がないのがそこまで悪い理由だとは思えないが、それが火種となったのは何となく分かる。

 そのときのいじめっ子たちと同じ目をしている。トラウマじみた記憶たちが蘇る。


「せんせー、酒井くんの席がありませーん」


 金髪の女の子が手を上げる。パツキンときたか……。

 早速来たか。でもまだまだ甘いわ。手を開けて話す礼儀正しさは評価するが、それでお前の顔は覚えたからな。


 通称「お前の席ねーから」で、登校したら自分の席がなくなってるって虐めの常套手段。なくなった机と椅子を探すの面倒くさいのはネックないじめだ。何度か繰り返された記憶がある。だが虐める側も重い机を何度も運ぶのがしんどくなったか他のやり方に変えられてた。


 でもこの場合は逆にありがたい。

 最初から俺の席がどこか知らないからな。


「席を取ってこないと…」


 常識的に考えて席がなくなるなんてありえないのに何悠長なこと言ってるんだこの先生は。

 そう思い望月先生を振り返ると明確に真っ青な顔で冷え汗をかいてるのが目でわかる。瞳が物凄く揺れてプリズしてるし、周りの子供たちは不自然な笑いを見せる。

 今までの先生のどこかおかしい言動を顧みると……。

 南斗くんよ、小2でこの人生は壮絶すぎではないかい?

 しかたない。不本意だが望月先生がパニックに陥る前に手を打とうか。


「先生、他の子に悪いので自分で取ってきます」


 本来は先生がどうにかしないといけないことだが、ここは年長者たるこの俺が仕切ろうじゃないか。机や椅子がどこにあるか分からないけどな。


「でも一人で持つのは重いので、ひとり連れて行ってもいいですか」

「え? ええ……」


 俺がいきなり愛想笑いしながら同意を求めると訳も分からず真っ青のまま目を瞬く先生。だが一応答えてはくれるのが教師としてのせめての救いか。

 返ってこっちは百戦錬磨のサラリーマン。これしきのことで慌てたりしないぞ。


「ちょうど教えてくれた子がいるし、一緒に行ってもいいですか」

「え……」

「あんた、何勝手なこと言って…!」


 先生は口を噤み、女生徒は何か叫んでいる。

 でも、あんたたちに拒否権はないっての。


 俺が記憶喪失であると知りながら虐めの件を秘匿し、母さんから俺のことを頼まれた傍からこの体たらく。まぁ望月先生は赴任して間もない新参に見えるから寛大にみてやるがだが、俺と同世代の縦ロール小娘お前は別だ。

 今の叫びで大体分かったってぇの。お前が虐めの首謀者の一人でことをな。まだ小2のガキだからこそ甘すぎたのが命取りになったな。


「いい、ですね?」


 俺が横目で先生を見てぼそり聞くと、肩をびくっとする。

 そして確かめるように、


「…天王寺さんと?」


 何を考えるのか、視線を泳がせる。そして、


「…H.Rまでは戻って、ね」

「っ! 先生!」


 小娘が喚くが、それにびくっとするのは気の弱い望月先生だけで、俺には何ともない。むしろ可愛いくらいだ。

 俺は予想外の出来事だったのか目を丸くして俺を見る生徒たちの間を通って、教室の真ん中に座ってる天王寺ちゃんのところへいく


「よろしくね、天王寺ちゃん」


 騒然とする教室。ちゃん付けは流石にまずかったか。


「天王寺さまに…」

「なんて恐れ知らず…」

「所詮は…」


 色々聞こえてくる。

 それを聞いて席に座って、真っ赤な顔でぶるぶる震えている娘を見つめる。


「天王寺…さま?」


 って呼ばれるの?マジで? ここが特殊な学園だとは知ってはいたけどお互いのことを様付けで呼んだり、挨拶を「ごきげんよう」にするのだろか。なまじ否定できないのが怖いぜ。

 そんな意味を込めて疑問の口調を発したのだが、天王寺ちゃんはバカにされてると思ったのかご立腹だ。


「あんた、この私をよくも…!」

「まぁそういうのはいいから席取りに行こうぜ」


 手首を握って教室から出る。

 まだ小学生のせいか俺が小さいだけか知らないけど天王寺ちゃんの背が俺より高かった。だが腕力は違うのか別に抵抗も出来ず教室の外まで連れてこられる。


「あ、あんた放しなさいよ! どういうつもり!?」


 どういうつもりも何も、自分の尻拭いを自分にさせるつもりだが。

 俺の手を非力な力で振り払おうとするから素直に放してやる。


「何って、言ってたとおり手伝ってもらおうとするんだよ」

「何で私があんたなんか」

「俺の席が無いって天王寺ちゃんが教えてくれたじゃん? 何故ないのかは天王寺ちゃんが知ってるっぽいし?」


 俺の話を聞いた天王寺ちゃんは俺と距離をとる。何でそんな目で見られるのか訳が分からないな。


「…あなた、本当に酒井南斗ですの?」


 何この子。エスパーか何かかな。

 普通に考えたら俺の言葉遣いや仕草などでボロが出たって話になるけど、どこでボロが出たんだろうな。


「どうして? 俺、何か変なこと言ったのかな?」


 なるべく


「あなた風情が自分のことを俺などと呼んだこと一度もなくてよ? しかも私に易々話しかけるなど…!」


 何もかもが駄目だったみたいだ。母さんは勿論、黒スーツ二人組みも南斗くんの学校生活について全然知らなかったみたいだし、唯一の手がかりでもある望月先生はあてにならない。

 結局南斗くんについては地道に探るしかないか。


「クラスメートに話しかけるのがそんなにおかしいかな? それより、もうすぐH.Rだよ? 急がないと間に合わなくなっちゃうよ?」


 そういって急ごうとする俺。

 だが、


「…止まりなさい」

「?」


 天王寺ちゃんに止められた。また何かあるのかな。

 振り返る俺を睨んで罵倒する。


「馬鹿なの? 逆方向ですわよ」

「ごめん。だって俺が席片付けたわけじゃないからさー。あ! 天王寺ちゃんを攻めてるわけではないからね!」


 本当にこの学園のことは何も知らないんだよ。


「お黙りなさい。私が貴方の席を片付けたわけではありません」

「知ってる知ってる」


 犯人はみんなそう言うからね。

まぁ実際問題、手下の子達を使って片付けたんだろうから嘘かどうかはグレーなところだろうよ。


「この…!」

「でも…、ありがとう」


 なんだかんだ言っても一緒に来てくれたからには礼を言わないとな。


「……」


 ふんと鼻であしらっては俺の前を歩いていってしまう天王寺ちゃん。

 いじめっ子は好きではないが、だからと言って嫌いになりそうな気もしない。

 彼女が子供だからか、それとも単に俺がおっさんだからかは分からないが、憎めそうになかった。



 ◈ ▣ ◈ ▣ ◈ ▣ ◈ ▣ ◈ ▣ ◈



 席も戻ってH.Rが進み1時限目が始まる。

 1時限目は数学、いや算数の時間だった。この辺は小学校らしき難易度であったため、おじさんでもついていくことが出来た。

 算数の先生はヒステリックな女教師で家出生徒である俺を腫れ物は使いするんじゃないかと思ったが、別にそんなわけでもなかった。まぁガン無視ではあったがな。

 俺の記憶が正しければ小学校の場合、だいたいの科目は担任の先生が行って、何個の科目だけ他の先生がくる感じだった。だがこの鳳林学園は小学校であっても科目別で先生が分かれるらしい。だから1時限目の算数から先生が変っているのだ。

 おい、俺へのフォローはどうしたんだ望月先生!


「次の授業までの宿題ザマス。提出は委員長にするように。忘れたら生活点数から引かれるザマス」


 マジか。

 驚くことに鳳林学園は小学校から完全な競争社会で、試験が90点満点で残り10点は授業態度で決まる。

 最初は10点だが、宿題を忘れたり先生に注意を受けたりしたら点数が引かれるのだ。つまり授業態度が悪いと試験結果が良くても100点を取れないシステムになっている。この10点のことを「生活点数」という。

 こんな小学校、嫌すぎるぞ。


「起立。礼」


 日直の挨拶とともに算数先生が教室を出る。

 久しぶりの授業はまあまあ楽しかったぞ。だが休み時間も捨てがたい。友たちとじゃれ合えるからな。

 だがしかし俺には友達がいないし、宿題でもやっておこうかな。クラスメートたちには悪いけどおじさんは休み時間10分以内で宿題を終わらせそうだよ。

 宿題のため教科書を開いたら、白いページに影が差す。


「?」

「おい、酒井」


 席に座ってる俺の左右を男子女子が2人ずつ囲む。計4人。それ以外の周りの視線多数。っていうか全クラスメートがみんな俺を見てる。あ、これしめられるわ。


「お前がいない間寂しかったぜ?」


 そういいながら俺の肩に手を置く男子一人。

 俺より背が高い。まぁこの時期の男の子の序列って背丈で決まるんだよね。

 でも残念だったね。俺、おじさんだから君が俺より背が高くても可愛く見えるんだ。

 名前は…分からないからA太君と呼ぼう。


「そうだったの? ごめんね」

「まったくだよ、おめぇ今まで何やってたんだよ」


 今度はA君の後ろの男子が話しかけてくる。

 文面だけ見るとすごくフレンドリーだが、俺が受けた感じは極めてゲスな声色だった。この歳でこのゲスさとは。将来が楽しみな君はB男君と呼ぼう。


「ちょっと南の国まで旅行をな」

「おめぇの仕事を忘れて行っちまってはダメじゃんかよ」


 そう言っては俺の机に算数の教科書を置くB男君。そしてその上に自分の教科書を置くA太君。おいおいマジか。


「私たちのもお願いね酒井くん」

「お願~い」


 今度は俺の左に立ってた長い髪を高く括ったポニーテール娘のA子ちゃんと、パーマが入った短髪のB奈ちゃんも教科書を置く。


「へぇもう宿題終わったの? でも宿題は委員長に提出だよ?」


 俺の返しにゲスな嘲笑を浮かべるB奈ちゃん。君も将来有望だね。


「は? 委員長はあんたでしょ?」


 今日は驚きの連続だな。委員長っていうのがあるのも驚いたのに、しかも俺、いや南斗くんが委員長かよ。


「俺たちがお前を推してやったじゃん」

「そうだよ。だからおめぇ俺らの宿題をやるのが恩を返すってもんさ」


 あれか、いじめられっ子がいじめっ子たちの推薦で委員長にさせられるってやつ。小学2年生からさせられるなんて、南斗くんが可哀相すぎるだろうが。

 これはこれは思った以上にこじらせてるなこのクラス。俺自身は子の子たちに恨みがないけど、()()()に覚えがあるんだよね。これはちょっと懲らしめる必要があるな。


「分かった。じゃ応えるわ」


 そうやって俺の机の上に山ほど積もった教科書を眺める俺は、にっこりと笑った。

読んでいただき誠にありがとうございます。

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