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帝国という国家

……………………


 ──帝国という国家



 クラウスたちは市街地でのカーチェイスで勝利を収めた後に、速やかに第1植民地連隊の駐屯地に向かった。


 既にカーチェイスの件で植民地警察が激戦地となった道路一帯に出動しており、道中は彼らの警護が受けられた。もっとも最初は銃痕でボロボロになった車を停められ、この騒ぎを起こした首謀者ではないかと疑われたのだが。


「ここではお前は妾より有名人なんじゃのう」


 エカチェリーナが第1植民地連隊の駐屯地に向かう途中の車内でそう告げる。


 クラウスの車を停めた植民地警察の警察官はエカチェリーナの顔を見ても何の反応も示さなかったが、運転席にいるクラウスの姿を見ると態度が激変した。


 最初は事件の容疑者を締め上げるような態度を取っていたのが、打って変わって友好と敬意に満ちた態度に変わり、指揮官らしい警察官はクラウスに握手まで求めていた。そして、快く第1植民地連隊の駐屯地までエスコートすると請け負ってくれた。


「まあ、ここはある意味で酷い田舎ですからな。国際的なことは知らずとも、身内の話では盛り上がる。そういうものですよ」


 エカチェリーナの言葉にクラウスがそう返す。


 クラウスはトランスファール共和国、いや共和国の全ての植民地で有名人だ。


 クラウスが指揮するヴェアヴォルフ戦闘団が王国を相次いで打ち破ったことはもう知らないものがいない。クラウスが勝利する度にトランスファールはお祭り騒ぎであった。


 トランスファール共和国という共和国の植民地生まれの若い軍人が、本国軍ですらやってのけることは不可能だと新聞が報じた作戦を成功させた。それは植民地という場所で、本国と比較すれば劣った環境の中で育ち、本国からは見下されいてると薄々感じている入植者たちにとって熱狂することだった。


 自分たちの英雄。自分たちの土地で生まれ育った英雄。それが、これまでの植民地戦争で何度も共和国に煮え湯を飲ませてきた王国を打ち破り、本国すら震撼させている。


 クラウス・キンスキーという軍人はまさに入植者たちの英雄だ。


 だが、クラウスにとっては自分が入植者たちの英雄になったところでどうでもよかった。別に入植者たちはクラウスに金を払ってくれるわけではないし、こんな田舎で有名になってもメリットはないのだ。


「お前が有名になっているのは植民地でだけではないぞ。帝国でもお前は有名人じゃ。新聞はアナトリア戦争の勝利とミスライム危機の勝利において重要な人物となったのはクラウス・キンスキーだと報じているからの」


 エカチェリーナは扇子でパタパタと顔を仰ぎながらそう告げる。


「では、帝国でも自分は歓迎してもらえますかな?」

「無理じゃろうな。妾のところではお前は恐怖の象徴として有名になっておる。死を恐れぬ作戦を敢行し、確実に勝利を獲得する“共和国植民地軍”の将校は、帝国にとっては恐怖でしかないのじゃ」


 クラウスが冗談めかして尋ねるのに、エカチェリーナがそう返した。


「あの恐ろしい狼たちの刃が自分たちに向けられるならば。それを帝国臣民たちは恐れておるよ。帝国の上層部も同じように、お前とお前の部隊を恐れておる。数少ない帝国の植民地を食い荒らされるのではないかと」


 エカチェリーナはそう告げ、パタンと扇子を閉じた。


「それにしても暑いのう。早く冷房のある場所に連れて行ってはくれんか。このままではドロドロに溶けてしまいそうじゃ」

「お待ちを。間も無く到着します」


 暑さに慣れていないエカチェリーナが、冷房が撃ち込まれた銃弾で故障し、窓ガラスも割れた車内で文句を言うのに、クラウスは車を走らせる。


 そして待つこと30分。


 クラウスたちはようやく第1植民地連隊の駐屯地に到着した。


……………………


……………………


「今回は真に申し訳ありません、エカチェリーナ殿下。こちらの保安上の手続きに問題があり、殿下を危険に晒すような結果となってしまい本当に申し訳なく思っております」


 第1植民地連隊の接客室で、パトリシアがエカチェリーナに頭を下げる。


 パトリシアは父であるヴィクトール・フォン・レットウ=フォルベック南方植民地総督から、帝国との関係改善のためにエカチェリーナをしっかりと接待するように言い付かっていた。


 だが、エカチェリーナを出迎えたその日に起きたのは、エカチェリーナを狙う暗殺者たちの襲撃。港湾では爆弾で狙われ、市街地では暗殺者たちとカーチェイスする羽目になっていた。


 不幸中の幸いは、クラウスがこの場にいてくれたことだ。クラウスがいたから、なんとかエカチェリーナを暗殺者の手から守ることに成功した。


 クラウスがいなければ、今頃はエカチェリーナもパトリシアも死亡し、新聞は世界大戦の勃発を報じていたことだろう。


 そんな最悪の事態は避けられたが、エカチェリーナに暗殺者が襲い掛かったということは紛れもない事実。これは共和国植民地政府側の過失であり、パトリシアの過失だ。


 パトリシアは頭を下げながら、どうか最悪の事態──帝国との決定的な関係悪化に繋がりませんようにと必死に願った。


「構わん、構わん。むしろ、これは妾が詫びねばならぬことじゃ。あの暗殺者たちを送り込んできたのは、帝国政府──皇帝官房第3部じゃろうからな」

「え?」


 エカチェリーナがようやく冷房の利いた部屋に入って涼しさを満喫しながら告げた言葉に、パトリシアがポカンと口を開く。


「皇帝官房第3部。帝国の情報機関ですか。だから、男たちの一部に見覚えがあったわけだ。殿下の荷物に爆弾を忍ばせたポーターの植民地人、街で銃撃を加えてきた男たち。連中とは一度会ったことがある」

「ど、どういうことなの、クラウス?」


 クラウスが納得したというように告げるのに、パトリシアがまるで事を飲み込めずに、あたふたしながらクラウスに縋った。


「前に市民協力局の仕事を手伝ったことがあると言っただろう。その過程で皇帝官房第3部がカップ・ホッフヌングに潜入させている資産──情報要員を尾行し、動向を調査したことがある。その過程で出会った連中と、今回出くわした暗殺者たちの中に共通の人物がいる。つまり、暗殺を指示したのは殿下が仰る通りに、皇帝官房第3部ということだ」


 クラウスは以前、市民協力局のノーマンの頼みで、自分が引き連れている舎弟たちを使って、市民協力局の仕事を手伝ったことがあるとは前に記した。


 クラウスと彼の部下は、市民協力局の非公式協力者として、カップ・ホッフヌングに潜んでいる王国と帝国の情報要員たちに対処した。


 あるときは事故に見せかけて暗殺し、あるときは拉致して尋問し、あるときは“行方不明”になってもらい、あるときは穏便な手段で動向を調査した。


 今回、クラウスが最初の爆弾に気付いたのは、そのバッグを置いた植民地人のポーターが、皇帝官房第3部の工作員だったからだ。クラウスは瞬時に怪しいものを──自分が殺されて以来身に付けた直感で感じ取り、荷物を海へと投げ捨てた。そして、それはクラウスが狙ったように爆弾であった。


「でも、皇帝官房第3部は帝国の情報機関なんでしょう? なんで帝国の情報機関がエカチェリーナ殿下を狙うの? 皇女であられるのに!」


 パトリシアは意味が分からず大混乱だ。


「それについては妾が説明せねばなるまい」


 と、ここでエカチェリーナが口を開く。


「ハッキリ言うが妾はツァーリズムを維持し続けることは限界に来たと考えている派閥の組織者じゃ。これから巨大になった国家を動かすのは、ひとりの皇帝ではなく、市民に選ばれた代表者たちでなければならないと思っているのじゃ」

「それは……共和主義者ということですか?」


 エカチェリーナが告げた言葉に、パトリシアがオドオドとそう指摘する。


「穏やかな共和主義者、じゃな。妾はお前たちの国のように王室を纏めて断頭台に送って完全な共和制となることは望んでおらん。皇帝は権力こそ制限されれど、国の権威として君臨し、国家の柱として聳えておくべきじゃと思っておる」

「王国と同じタイプの立憲君主制度ですな」


 エカチェリーナの語る政治体制はクラウスが指摘したように、現在の王国の政治体制である立憲君主制だ。


 立憲君主制とは君主の権力が憲法によって規定されるものであり、王国の場合はその君主の権力に対して国会の方が優位な権力を有するというものである。王国では国王が何かの権力を行使する際には、国会の承認が必要になることがほとんどだ。


 それはツァーリズムという絶対王政を維持する帝国とは劇的に異なる。


「つまり、皇帝官房第3部は殿下が共和主義者だから暗殺しようとしたということですか?」

「それに近いところじゃな。それに妾は国内で皇帝官房第3部の連中に政治犯として捕らえられ、ツンドラ地帯に流刑されるような作家や思想家を国外の安全な場所に囲ってもおるからの。今の部長であるオルゲルト・オルロフ伯爵からすれば、妾は敵も敵よ」


 ようやく事態を把握し始めたパトリシアが告げるのに、エカチェリーナが愉快そうにクスクスと笑ってそう返した。


「ま、国の上層部は父上以外はほとんどが妾の敵に近い。枢密院議長であるセルゲイ・ストロガノフ侯爵も妾のことは毛嫌いしておるはずじゃ。あの男はツァーリズムの信奉者じゃからな」


 実際にオルゲルトに暗殺を指示したのはセルゲイだ。


「だが、殿下は本来ならば機密扱いのはずの軍の情報を手に入れられるだけの人脈をお持ちだ。それだけ殿下の派閥に所属するものがいるということでしょうか?」


 クラウスは油断ならない目つきでエカチェリーナを見つめてそう問う。


「まあ、それなりにはいるのう。そこのオレグも妾の派閥の一員だから連れてきたのじゃ。帝国軍上層部の一部も危機感を覚えて、妾に同調しておる。そう、世界大戦における危機を恐れて、な」

「世界大戦?」


 エカチェリーナが駐屯地の使用人から出されたアイスコーヒーに手を付けてそう告げるのに、パトリシアが怪訝な表情を浮かべた。


「どうして世界大戦が関係あるのですか? これは帝国の内政問題では? 殿下が立憲君主制に移行しようとされているのは、国内において市民の不満が鬱積しているからではないのですか?」


 パトリシアが疑問に思ったことをエカチェリーナに尋ねる。


「国内の不満というのは放置しておくとトンでもないところに向かうものじゃからな。例えば、共和国への憎悪などに。国民の中でも30年前の革命戦争のことを根に持っているものはまだいるのじゃよ?」


 パトリシアの言葉にエカチェリーナがそう返す。


 国民の政府及び内政への不満を、外国に向けるというのは独裁国家ではよくある手段だ。エカチェリーナは国内で奴隷のごとく扱われている市民たちの不満が、かつての敵国である共和国に向けられるのではないかと危惧していた。


 そして、その危惧はそう的外れでもない。皇帝官房第3部に検閲されている新聞は共和国に対して友好的な記事の削除を命じ、共和国との関係を険悪なものにしようとしている。


「それから同盟問題じゃ。来たるべき世界大戦において、どの国と同盟するべきか。将軍たちは頭を悩ませている。30年前に同盟した王国と同盟するのか、アナトリアで同盟した共和国と同盟するのかを」

「ほう。こちらと同じですな」


 エカチェリーナの口から出た言葉に、クラウスが小さく頷く。


「殿下はどちらとの同盟を支持されておられるのですか?」

「共和国じゃ。共和国と同盟せねば、妾たちは30年前と同じくらいの大損害を受けるじゃろうて。それに王国と同盟しても、妾たちにはそこまで旨みがないからのう。奴らは戦争で勝ち取った植民地を妾たちに分けようなどとは思わんだろうからな」


 パトリシアがどこか必死な様子で尋ねるのに、エカチェリーナがそう返す。


 30年と数年前の共和国との革命戦争では、帝国は大損害を被った。自国の領土で焦土作戦を繰り広げたことで税収は大きく低下し、労働可能な人口も共和国との会戦での敗北で激減した。


 最終的に共和国は帝国の冬を前に敗北したものの、帝国が被った打撃は計り知れず、その影響は数十年に及ぶものだった。


 世界大戦が勃発して、またあのような戦争が起きるならば……。


 エカチェリーナが共和国との戦争を回避し、共和国との同盟を望むのは、この事実を見ただけで理解できるだろう。共和国との戦争になれば、帝国は否応なしに酷い損害を被るのだと。


 対する王国はあの革命戦争においての損害は帝国ほどではなかった。帝国が大陸領──スペインとポルトガル──に攻め入ると、王国はジブラルタル海峡だけを死守し、残りはあっさりと放棄したからだ。


 そして、共和国が本土上陸を狙うのを栄えある王国海軍が粉砕し、共和国が帝国遠征に失敗して損害を出した隙に大陸領を奪還した。王国はあの革命戦争の間、実に上手く立ち回った。帝国を盾にする形で。


「帝国も共和国や王国の植民地の獲得を望まれますか。帝国は東方植民地まで到達して、その必要性は薄れていたと思ったのですが」

「東方植民地に到達した、と言っても今は何もない不毛の大地だけじゃよ。軍部は東方植民地でも王国が得ているバーラトの獲得を狙っているようじゃが、上手く行ってはおらん。そして、極東の大地は本当になあにもない」


 帝国の国土は全盛期のロシア帝国のそれ。


 帝国は中央アジアから南進して王国の有するバーラト──インドに相当──を狙っているが、進展はほとんどない。王国植民地軍は自分たちにとって金の卵であるバーラトを死守する構えであり、アフガニスタンに相当する場所で不毛な戦闘が続いているだけだ。


 そして、帝国の東端。極東アジアまで開拓が終わったそこには、文字通り何もなかった。


 極東アジアにあるのは不毛な荒野──エーテリウムも見つからないばかりであり、閉鎖的な島国と人口だけは余るほどいる国家だけだ。


 帝国は王国も貿易相手としている人口の多い方の国家との貿易を試みているところだが、王国が先に帝国と共和国の悪い噂を国の上層部に吹き込んだので、交渉は難航している。


「それに極東までの鉄道は未だに開通してはおらんからの。まだ依然として工事中じゃよ。流刑囚たちを使って延々とツンドラの大地を掘り返しているが、完成するのはいつのことになることやらじゃ」


 エカチェリーナはそう告げて肩を竦める。


 まだ帝国は地球におけるシベリア鉄道に相当するものを完成させていない。帝国の中枢であるアルハンゲリスキーから極東まで向かうには、酷く荒れた道を延々と補給の見込みもない車で進むしかない。そんなことではまともな貿易などできるはずもない。


「だから、王国か共和国の植民地を求める、と」

「そうじゃな。妾たちは海外植民地を獲得するのに完全に出遅れた。メディアを植民地化するまで不凍港に恵まれなかったためじゃが」


 かつて帝国は冬の間は凍ってしまい、使用不可能になる港しか有していなかった。そのため自由に海に出られる王国や共和国と比べて、南方植民地に進出するのに出遅れてしまった。


 ちなみに、いま帝国が有している不凍港は2ヶ所。


 黒海艦隊が駐留するセバストポリに相当する場所。だが、ここは黒海の出口である海峡を共和国が塞いでいるのでそこまで自由には行動できないのが現状だ。


 次の不凍港はメディア──地球で言うイランに相当──にある港で、ここは誰にも邪魔されずに、自由に海外に進出できる拠点だった。帝国はここにバーラト海艦隊司令部を設置し、造船所などの設備を充実させている。ここが帝国の海外植民地政策においてもっとも有力な港だ。


「殿下。殿下は共和国との同盟を望んでおられるとのことでしたが、そのような人々はどの程度おられるのでしょうか……?」


 と、ここでパトリシアが話を共和国との同盟問題に戻す。


「妾の派閥と同じくらいじゃよ。今の帝国は共和国派と王国派で揉めておるからのう。まだ日和見を決め込んでいるものもおるし、さっさとどっちかの派閥についたものもおる」


 パトリシアの問いに、エカチェリーナが飄々とそう返す。


「ちなみに皇帝陛下は?」

「よりによって父上は日和見を決め込んでおる。父上としては30年前の戦争で自分たちに牙を剥いた共和国と同盟するのも気に入らないし、かといってアナトリアでやりあったばかりの王国と同盟できるとも思えんようでな」


 続けてパトリシアが尋ねるのに、エカチェリーナは溜息を吐いた。


「優勢なのはどちらです?」

「王国派じゃな。やはり30年前の革命戦争とその後の革命未遂の件を帝国の上層部は気に入らんと思っておるのじゃ。妾としては30年も昔の話をいつまでも引き摺らずともいいと思うのじゃがなあ」


 パトリシアに代わってクラウスが尋ねると、エカチェリーナがストローでアイスコーヒーをかき混ぜながらそう返した。


「ま、理由のひとつには嫌われ者の妾が共和国派だからというのもありそうなものじゃがな」

「そ、そんな。殿下は帝国で非常に人気のある方だと聞いていますよ。新聞でも殿下のことは常々」


 自嘲しるようにエカチェリーナが笑うのに、パトリシアがそう告げる。


「人気なのは民衆に対して、じゃろう。帝国は共和国とは違う。民衆は政治を全く動かせない。民衆は権力者の、軍隊を持った権力者の奴隷じゃ。そんな国で民衆の支持を得てもどうしようもなかろう?」


 帝国は専制君主制度が維持された国家だ。民主主義が根付き始めている共和国や王国とは大きく異なる。


 民衆は税金を納め、軍隊に“保護”されるだけで、なんの権力も持たない。国を動かすのは皇帝と皇帝に仕える貴族たちだけであり、民衆は蚊帳の外に置かれている。


 そして、民衆には武力もない。これまでの革命未遂事件を受けて、帝国上層部と皇帝官房第3部は徹底的に民衆を非武装化し、監視の目を光らせている。民衆には上層部に抗う力もない。


 だから、エカチェリーナの言うように民衆の支持を得ても、それは帝国を動かすことには繋がらないのだ。


「では、このままだと帝国は王国派が勝利し、王国との同盟となる、と」

「そういうことじゃな。その派閥の揉め事でも妾は殺されかかったのだと思うぞ」


 クラウスが話を纏めるのに、エカチェリーナが頷いた。


「暗殺者はどれほど放たれているのですか? いくら裏にいるのが皇帝官房第3部だったとしてもトランスファール共和国で殿下が暗殺されると、嫌疑はどうしても我々の側に……」

「そうじゃった、そうじゃった。それを解決しておかねばならぬのう」


 パトリシアがおずおずと尋ねるのに、エカチェリーナがポンと手を叩いた。


「この駐屯地には長距離通信機はあるかの? 帝国本土まで届く出力の」

「途中で中継になるかと思いますが、あるでしょう」


 エカチェリーナの不可解な言葉に、クラウスが答える。


「では、それを使って連絡じゃ。本国に妾の無事を知らせねばならんな」


 そう告げてエカチェリーナはニイッと悪戯気に笑ったのだった。


……………………

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