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ヴェアヴォルフ戦闘団(2)

……………………


「ついに手に入れたぞ」


 クラウスの指揮することとなった独立部隊の司令部と兵舎は、第16植民地連隊の基地に置かれた。トランスファール共和国西部の基地であり、魔装騎士の整備施設があり、街に近いこともあって平時の利便性もよかった。


「やったッスね、兄貴! 兄貴がボスッスよ!」

「これまで通りにな」


 ヘルマが興奮した様子で告げるのに、クラウスは小さく笑った。


 部隊を構成するのはヘルマを初めとする街においてクラウスの部下だったものたちだ。彼はこれまで通りに、恩人であるクラウスに付いていくことを決め、部隊への配属を喜んでいた。


「よくこんな無茶が通ったのね。新米中尉に1個大隊規模の戦力を任せて、それも指揮系統は植民地軍司令官直轄だなんて。正直、まだ時間がかかるものだとばかり思っていた」


 ローゼは冷めた様子で、新しく自分たちが暮らすことになる兵舎と、指揮官として勤務することになる司令部を眺めていた。


 ローゼは装甲猟兵中隊の指揮官と、この部隊の副司令官としてクラウスに任じられていた。それだけ彼女の才能をクラウスは買っているということだ。


「時間をかけるつもりはない。俺は迅速に金持ちになる。いちいち待つのは御免だ。もう俺は十二分に待ったのだからな」


 玄界宗一として殺され、クラウス・キンスキーとして生まれ変わってから17年。


 クラウスはそれだけの間、時を待った。自分があの使い損ねた金の分だけ楽しむのだということを待った。


 だが、もう待つつもりはない。植民地軍に入り、独立部隊を手にし、そしてついに彼のビジネスが始まるのだ。


「それで、この部隊は何て名前なんッスか、兄貴? あの数字の番号が並んだつんまんない部隊名よりイカす部隊名を付けましょうよう!」


 ヘルマは興奮した様子でクラウスにそう告げる。


「そうだな。ヴェアヴォルフ戦闘団というのはどうだ?」


 そして、クラウスはこれから植民地各地において、その悪名を轟かせる部隊の名前を初めて口にした。


「うわっ! それはイカすッス! 超カッコいいッス!」

「名前負けしないといいけれど」


 ヘルマはキャイキャイと歓声を上げ、ローゼはいつもの淡白な反応。


「名前負けするかしないかは、これからの活動にかかってる」


 クラウスはそう告げると、彼の執務室となった部屋の椅子に深く腰を下ろす。


「ヘルマ。市民協力局の方はどうだった?」

「はい。やっぱりに臭うそうッスよ。王国のじょーほーよーいんって奴がコソコソと動き回ってるらしいッス」


 クラウスがヘルマに問うのに、ヘルマがそう答える。


「場所は?」

「ビアフラ連邦との国境付近。領土拡大を狙ってるって感じッスかね?」


 ビアフラ連邦は、クラウスの故郷であり、この第16植民地連隊が位置するエステライヒ共和国の北西部に位置するアルビオン王国の植民地だ。地球の地図でいうならば、ナミビアに相当する。宗主国であるアルビオン王国が東方植民地までの航路を維持するために重要拠点としている場所である。


「結構だな。これが初陣になるだろう」

「あなたのことだからもっと派手な戦いを選ぶかと思っていた」


 何かが動いているのにクラウスが笑い、ローゼは肩を竦める。


「俺はそこまでギャンブラーじゃないぞ。派手に動くのは、まず小さなことで着実に実績を作ってからだ。それに──」


 クラウスはビアフラ連邦との国境付近の地図を広げて眺める。


「地味な戦いも派手に演出することは可能だ」


 そう告げてクラウスはどこまでも獰猛な笑みを浮かべた。


……………………


……………………


 トーマス・タールトン準男爵は些か不愉快な気分だった。


 植民地で暮らし始めて早くも8年。植民地の不衛生さにはすっかり慣れたつもりだったが、やはり獣人たちの臭い、そして酒と食事の不味さには耐えられない。


「それで、王国の友人たちは我々を支援してくれるのだろうか」


 そう告げるのはトランスファール共和国の主要種族である狼人種で、その獣の耳には宗教的な意味合いのあるイヤリングと部族の族長である事を示すイヤリングのふたつのイヤリングを下げている。


 そんな族長とトーマスたちが囲んでいるのは、牛の肉を焼いた料理を中心とする、この地方の伝統的な料理が並んでいた。普段食べるものではなく、客人をもてなすときに特別に振る舞われる食事だ。


 トーマスは不快さを押し殺し、笑顔を浮かべて料理に手を付けている。


「ええ。我々アルビオン王国は虐げられた弱者の味方です。王国の意見はあなた方部族の土地を不法に奪い取り、水を汚染した共和国を非難し、流浪の民となったあなた方を支援することで一致しております」


 トーマスは植民地人の標準的な列強訛りのある言葉ではなく、この地で情報要員として活動するならば必須の狼人種の部族の言葉でそう語った。


「我々を弱者だというかっ!」


 そんなトーマスの言葉に若い狼人種の男が激昂した。


「よせ。これは友人たちを持て成す場だ。争うではない」

「しかし……」


 族長がそんな若い狼人種の男を抑える。


「確かに我々は共和国に負けた。戦争に負けて、先祖代々の土地を奪われた。それは揺るぎない事実だ。我々は共和国よりも劣っていたために敗北したのだ」


 この部族の暮らしていた土地は、このトランスファール共和国とビアフラ連邦の国境付近にある山岳地帯だった。彼らは先祖代々、そこでささやかな農業を営み、牧歌的に暮らしていた。


 状況が変わったのはエステライヒ共和国がトランスファールの植民地化を強く押し進めてからだ。


 共和国植民地軍がトランスファールの各地で、そこに暮らす部族を打ち破り、そこにプランテーション農場を設営する。敗北した部族の若い男女はプランテーション農場での強制的な労働に従事させられ、かつての暮らしを失った。


 この部族の場合は、また別の理由から土地を追われた。


 彼らが暮らしていた山岳地帯でエーテリウムが発見されたのだ。


 共和国は密かに地質学的調査を行い、この部族の暮らしていた山岳地帯に大規模なエーテリウム鉱山があることを突き止めた。


 それからは瞬く間だ。


 野砲から魔装騎士まで揃えた重武装の植民地軍が押し寄せ、山岳地帯からこの部族の集落を一掃し、鉱山の採掘を開始した。


 鉱山の採掘の開始によって、山岳地帯を水源とする水は汚染されて、襲撃を生き延びたものたちが何人も疫病で死んだ。土地を追われて生きる糧を失ったものたちが、飢えによって死んだ。


 何人かの部族のものたちは植民地軍に投降し、そのまま鉱山奴隷に身を落とした。


 そして、また別のものたちは自分たちの故郷の奪還を願って、抵抗運動に身を投じた。植民地軍を彼らの有する銃火器に対抗できる魔術で攻撃し、自分たちの暮らしていた山岳地帯を取り戻そうとした。


 だが、それは空しい戦いだった。


 植民地軍は部族の魔術などでは抵抗できない魔装騎士を有し、それによって徹底的な抵抗運動の弾圧を行った。


 抵抗運動を行っていたものたちは自分たちを守ってくれる密林に逃げ込み、そこでいつの日か、いつの日か、故郷が奪還できることを祈って、隠れ忍んだ。


 それがこの族長たちである。


「植民地軍は強い。我々ではどうしようのないほどに。我々の呪いも植民地軍には効果がない。そして、地上で戦う人間の兵士たちは銃という武器で武装し、瞬く間に我々を殺し、あの巨人は巨大な砲で我々を薙ぎ払う」


 そう告げて族長は上着を僅かに脱いでみせた。


 そこには魔装騎士の放った榴弾で皮膚が抉られた痕跡が明確に残っていた。


「それでも我々を助けると王国の友人たちは言うのか?」


 そして、族長は試すようにトーマスを見た。


「ええ。我々はあなた方を支援します。これは我々からの贈り物です」


 トーマスはそう告げて頷くと、連れてきた部下に手を振った。


 部下であるアルビオン王国植民地軍の兵士は木箱を族長の前まで運び、木箱をバールでガリッと開いた。


「おお。これは……」


 木箱の中に入っていたのはおがくずに包まれた銃だった、単発式の後装銃で、王国軍が数年前まで使用していたものだ。


「サウスゲート式小銃。これがあるならば、共和国の植民地軍にも抵抗できます」


 トーマスはそう告げて、族長の反応を見る。


 族長は木箱から銃を取り出し、かつて自分たちの同胞たちを大勢殺した共和国のMK1870小銃に似た銃火器を観察し、構える。以前は銃を持った相手と戦っていただけあって、構え方などは知っているようだ。


「使い方についてはこちらから軍事顧問を派遣しましょう。この他にも武器弾薬は十二分に供給する次第です」


 トーマスは族長があまり反応を示さないのに、もうひと押しする。


「これならば人間の兵士には勝てるだろう。だが、巨人とはどう戦えばいい?」


 族長は銃を降ろすと、そう尋ねた。


 この銃では魔装騎士に勝てないことは族長も知っている。彼らが銃火器を手にすることはこれが初めてではなく、以前に共和国植民地軍から奪ったものを、魔法の武器だと喜んで魔装騎士を相手に使い、そして徹底的に返り討ちに遭った経験があるのだから。


「それは王国が直接支援します。あなた方が一時的にでも故郷である山岳地帯を奪還し、そこで国家樹立を宣言していただければ、その国家の正当な支援要請に基づいて王国植民地軍の精鋭魔装騎士が駆け付けるでしょう」


 トーマスは族長に向けて笑みを浮かべてそう告げた。


「その見返りに何を求める?」

「鉱山の一部の採掘権を我々に。それで充分です」


 族長が油断ならぬ目つきでトーマスを見るのに、トーマスはそう告げた。


「鉱山だと! あんなものがあったから俺たちは追い出されたんだぞ! 鉱山なんて全て閉鎖してしまえばいい!」

「そうだ! 鉱山を掘るなら共和国と同じだ!」


 トーマスの言葉に若い狼人種の男たちが口々に怒りの声を上げる。


 彼らが故郷を追われたのはエーテリウムが地下に眠っていたからだ。だから、共和国植民地軍が彼らを故郷である郷里を焼き払い、生き残りを鉱山奴隷としたのだ。


 エーテリウム鉱山はこの狼人種の部族にとっては屈辱と苦難、そして怒りの象徴だ。


「だが、王国の支援を受けなければ、我々は故郷の土を踏むこともままならぬ。違うか?」

「そ、それは……」


 共和国植民地軍は、列強諸国の正規軍からすればお粗末な軍隊だ。だが、文明で遅れた植民地人を相手には絶大な力を持った軍隊だ。この部族は流血と死を以てそれを学んでいる。


「申し出を受けよう、トーマス・タールトン。我々が故郷を奪還するならば、鉱山の一部を採掘する権利を与えよう。だが、鉱山に我々を関わらせないでくれ。鉱山奴隷にされた我々の部族のものを解放し、我々を放っておいてくれ」

「ええ。鉱山に関わるのは王国の入植者たちだけです」


 族長が最終的にトーマスの申し出を受けたのに、トーマスは心の中で小さく口笛を吹いた。やったぞ。これで成功だ。


「では、早速2日後には軍事顧問を派遣しましょう。蜂起の予定は軍事顧問と相談して適切な時期を選んでください。我々の戦いが上手く行くことを祈っています」


 トーマスはうんざりした気持ちを隠しながら、客人のために用意された酒と料理に形だけでも手をつけておくと、そう告げて、この族長が歓迎のために用意した天幕から出た。


 辟易とした気分で、一刻も早く、あの不味い料理と、不快な獣人の臭いから離れたく思うのを押し殺し、自分は友人であるという態度を崩さなかったのは流石にプロの情報要員と言ったところだろうか。


「話は終わったのか、タールトン準男爵」


 天幕の外ではトーマスが引き連れてきた民間人に偽装した王国植民地軍の兵士たちとは別に、美しい女性がいた。


 目鼻立ちがはっきりとしており、その髪は色素の薄いプラチナブロンドで、その髪をセミロングに纏めている。そして、その瞳には植民地軍の兵士たちにはない、知性の色が窺えるマリンブルーの色が湛えられていた。


「ええ。これで口実はできそうです、ウェーヴェル子爵。植民地人たちが反乱を引き起こしてくれれば、こちらがトランスファールに介入する口実になる。トランスファールに駐留する王国臣民を保護するため派兵と、独立した国家の正当な支援要請を受けての派兵と」


 トーマスはその女性──ウィルマ・ウェーヴェル子爵を前に、先ほどの族長との会談の内容を語った。


 王国は長年、トランスファール共和国を狙っていた。トランスファールには数多くのエーテリウム鉱山や金鉱山が眠っており、更には王国が有する東方植民地──地球の地図でいうならインドに当たる航路において重要な位置にあるのだ。


 だが、共和国もトランスファールの重要性は理解している。少なくない数の植民地軍が配置されており、王国と睨みあっていた。


 だから、王国はじわじわとトランスファール共和国を切り崩すという戦法にでることにした。小さな部族の反乱に乗じて領土を拡大していき、エーテリウム鉱山を奪い、最終的にはトランスファール共和国を支配するとは言わなくとも、影響力を及ぼせるまでの立場を築こうと。


 この部族との接触もトランスファール共和国の切り崩し戦術の一環だ。エーテリウムの眠っている山脈を植民地人たちに攻撃させ、その攻撃に乗じて王国植民地軍が動き、共和国からエーテリウム鉱山を奪うという計略だ。


「貴公は植民地でもう8年も暮らしているのだな。勝手知ったるというところか?」

「どうでしょうね。植民地人どもは厚かましく、戦力としては期待できず、共和国植民地軍の動き次第では反乱は直ちに鎮圧されてしまうでしょう」


 トーマス・タールトン準男爵は言語学者であり、王国陸軍の軍人であり、植民地を探索する探検家だった。彼は大学を卒業すると即座に植民地に向かい、若い頃から植民地人たちの文化や言語について研究を続けてきた。


 そして、そんな彼には王国の情報要員としての裏の顔があった。こうして、部族に反乱を唆し、共和国や帝国との植民地戦争のために情報収集を行い、それを本国に報告していた。


 そんな彼の所属する部署は王国の秘密情報部と呼ばれる情報機関であり、植民地人の内情や共和国植民地軍の動きについて把握し、その一方で各地で反乱の火の手を燃え上がらせ、共和国に打撃を与えることを任務としていた。


「植民地戦争、か。虚しい戦いのように思えるな」


 この場に相応しくないあまりに美しい女性ウィルマは憂鬱そうな顔をして、武器弾薬を置いて、撤収の準備に入った王国植民地軍を眺める。


「そうですか? 今は共和国、帝国とも張り合わねばならない帝国主義の時代。ひとつでも多くの植民地を獲得し、それによって本国経済を支えなければならないのですよ。虚しいことはないでしょう」


 今の時代列強はこぞって植民地の獲得に精を出している。王国も、帝国も、共和国も、ひとつでも多くの植民地を手にし、それによって本国経済を好調なものとしようとしている。


 それは噂される“世界大戦”に備えてのことでもあった。


「我々が植民地支配を行っている大義名分は非文明の大地に文明の光をもたらすことだ。だが、どうみてもそんなことは行われていない。共和国も、帝国も、植民地人たちから搾取を行っているだけだ」


 帝国主義の本来の大義名分は、自国のために非文明の大地を征服し、そこに暮らすものたちを奴隷にするためのものではない。


 列強諸国の優れた文化力で、未だに非文明で遅れた大地を、自分たちの有する文明の光で照らし出し、そこに文明を築くことだった。


 だが、そんな大義名分は半ば無視されており、列強諸国は文明を分け与えることなどせずに、植民地人をただ奴隷にする。社会進化論的にそれが正しい行為であると喧伝して。


 それがウィルマにはどうにも腑に落ちなかった。


「植民地人が文明を手にするなんて、数世紀以上はかかる話ですよ。その頃には我々の文明は更に発展している。どうやっても、植民地人が列強諸国と同じ文明を持つということはありえません」


 トーマスはそう告げて肩を竦めた。


「それにしても植民地はどうでした、ウェーベル子爵。見聞を広げたいとのことでしたが、獣人の酷い悪臭に、ジャングルの不快さに、食事と酒の不味さで辟易したでしょう?」

「いや。勉強になった。植民地人にも、文明を理解する能力はあるのだと」


 トーマスが同情したように告げるのに、ウィルマはそう返した。


「それは連中も銃を使える、ということですか? あれぐらいは簡単に使用できる武器ですから何の問題もないでしょうが正直なところ、植民地人に武器を提供するのは気が進まないことでしたよ」

「それは共和国から奪った植民地を共和国のように統治するからか?」


 トーマスが溜息混じりにそう告げると、ウィルマの表情が強張る。


「ええ。エーテリウム鉱山は国家にとって生命線です。ひとつでも多くのエーテリウム鉱山を確保することは王国にとっては存亡のかかったこと。なんとして成し遂げなければなりません」


 トーマスは族長に一部の分け与えることを求めたが、実際に彼が狙っていたのはあの部族が追い出された鉱山全土を獲得することだった。


「酷い物だな。相手が植民地人とは言え約束は約束だと思うが」

「植民地は広いのですよ。ウェーベル子爵。あの山岳地帯から追われたところで、別に居住地を用意してやればいいのです。我々は共和国と違って、彼らを奴隷にしようとまでは思っていない」


 ウィルマが渋い表情を浮かべるのに、トーマスはそう告げた。


「それが国王陛下の秘密情報部の意見ならば、否定はしまい。同じく国旗と王冠に忠誠を誓った身だ。我が王国の品位を損ねることはしないだろうと信じている」


 ウィルマはそうとだけ述べ、視線をこの天幕を覆う密林に移した。


「非文明の大地である植民地には品位などありませんよ。ただ、野蛮と支配があるだけです」

「それでも私は王国の尊厳と品格を求めるよ」


 トーマスが先ほど食した不味い肉料理の味を消すように煙草に火をつけるのに、ウィルマはこの広大な密林を眺めて告げた。


「それにしても魔装騎士については問題はありませんか?」


 と、そこでトーマスが煙草を吹かしながら尋ねる。


「ああ。問題はないだろうと考えている。彼らは私が再訓練した。装備の問題から本国軍並みとは言えまいが、有象無象は相手にならないはずだ」

「それは大変にありがたい。本国軍で“白騎士”と名高いあなたから訓練を受けたならば、植民地軍も生き返るでしょう。何せ、王国も植民地軍の質は共和国と大して差がありませんからな」


 白騎士。ウィルマ・ウェーベル子爵はアルビオン王国陸軍少佐にして、恐ろしいほどの腕前を持つ魔装騎士だと名高い人物だ。


 本国軍の演習において僅か4体の魔装騎士で1個歩兵連隊と1個魔装騎士大隊を壊滅させたことは有名であり、その腕前と指揮能力を評価されて若くして少佐にまで上り詰めた名家の人物である。


 そんな女性が共和国の支配するトランスファール共和国と王国の支配するビアフラ連邦の国境付近にいる。


 それは確かな戦乱の気配を窺わせていた。


……………………

今日の20時頃に次話を投稿予定です。

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