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文化祭8

 ……文化祭2日目。


 朝、教室につくと女子達が何やら相談しているようだった。

手に持った紙をそれぞれ見ながら考え込んでいる。


「おはよう、何やってるの?」

「おはよう。 いやー今日は中村さんが熱を出しちゃって休みだからシフトどうしようかなって」


と、クラスの女子杉崎さんは言った。


「あー。 昨日具合悪そうだったからね」

「丁度午後3時からの40分位開いちゃうからどうシフト入れようかなって」

「誰か助っ人がいないかな」

「うーん……何人かあたってみたんだけど」


「俺、やろうか?」


と柔道部のゴリゴリマッチョこと市川が言ってきたので一瞬想像してしまった。


「「ないわぁ」」


とハモってしまった。


「おはよう、山田さんいる?」

「おはようございます、山田はまだ来てないみたいですよ」

「そっかー、もうちょっと待ってみるかな」


開けっ放しにしていた教室の前扉の方から声がかかり、クラスの何人かが振り向いた。

……キョロキョロと教室を見回しているのはダンス部の中村先輩だ。


「なんですか?」


とあくびをしながら、中村先輩の後ろから山田が現れた。

二人は廊下に出て何やら話しているようだ。

しばらくすると中村先輩は「じゃあ、よろしくね」といいつつ僕にも手を振って立ち去ってしまった。

山田がちょっと神妙そうな顔で僕に向けてジェスチャーしている。


「何かあったの?山田」

「ちょっとこっち来てよ」


山田は僕の手をグイグイと引っ張って階段を下り、人気が無く薄暗いダンス部室前までやってきた。

引っ張られているとき周りから好奇の目を向けられている気がしたのでいきなりは止めて欲しい。


「誰もいなさそうだね……」

「ダンス部で何かあったの?」

「田中、昼は時間あったでしょ。 ホール手伝ってくれない?」

「へ?」

「さっき中村先輩から頼まれちゃってさ、妹が熱出したからあの子に頼めないかって言われてさ」

「ボーイにするとコンセプト狂わない?」

「だからさー」


すこしバツが悪そうに山田は笑った。

ああ、そういうこと……。


「山田」

「田中、嫌なら別に……」

「いいよ」


僕はそう答える。

作ったりしない笑顔も多分出ていると思う。

山田が頑張ってくれた分は少しでも返すのが、今まで頑張ってくれた山田へのお礼だ。

……それに僕のクラスのことだし。



――――――

―――

――



「いらっしゃいませ、ご注文は何にいたしますか?」


 私はすっかり”アイドルモード”でメイドになって教室中を踊り回る。

ボイストレーニングの結果か? クラスの皆にもばれずに自然に声も出る。

もうすぐメイド喫茶も終了だというのに客足が途切れない……というよりも明らかに行列が出来てしまっているの。

午後4時に営業終了になるので、最後のお客さんで列を斬らなくてはならないのが残念だ。

営業が終わったら文化祭恒例の人気投票発表と、表彰式がある。

全日までの人気はなんと6位につけているのは発想の勝利かもしれない。

―最後のお客さんをクラス内に通そうと廊下まで出て一瞬フリーズする。


「いらっしゃ――」

「こんにちは、最後に間に合って良かったよ」


ニコりと笑うイケメンはK駅で出会った……確かダンスやってるリョウ?だっけ……?

そういえば学校バレしていたうえに今日は一般参加デーだったね。

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