文化祭4
呼吸困難は落ち着いてきたものの頭が少しぼんやりとする。
悪いことに重度のぜんそく発作は筋肉が硬直し、しばらくは思考も若干鈍るというおまけ付きだ。
僕はぬるくなった水道水を飲みながら、のどに絡むタンをはき出す。
「先輩、大丈夫ですか」
千家さんは僕を気遣うように背中をさすってくれている。
さて、ここら辺で次の一手を考えよう。
まず、現状は僕が3曲分歌って踊るのはまず無理だ。
残り時間40分足らず、お客さんに見せるレベルまで持って行けるのはせいぜい1曲が限界だ。
……三人の誰かが欠けてしまうことも想定のうち。
そのために皆で歌えるように、踊れるように練習してきた。
リハーサルは1回勝負で行こう。
「田中、出られそう?」
心配そうに山田は言う。
「ちょっとステージ進行を変えようと思う」
「うん」
「2曲は二人メインで行く」
「ええっ!?」
「はっ?」
二人はびっくりしたような声を上げる。
突然言われればそうなるだろうけど、ここで安心させるのはプロデューサーの仕事なのだ。
「最近の練習を思い出して……。 不測の事態も考えて2人にも練習して貰ったことを生かせる」
「そうは言ってもねぇ」
「そうですね……」
「後ろに居るから大丈夫、安心して欲しい」
僕は掌を上に向けて2人に差し出す。
「信じて付いてきてくれ」
2人の掌が僕の掌の上に重なる。
「じゃあ、リハーサルと打ち合わせしよう」
2人はゆっくりと頷いた。
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