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文化祭2

僕はクラスメイトと合流し、家庭科室で沸かしたお湯を2階にある教室へと運ぶ。

しっかりと密封したクーラーボックス、おおよそ20キロと言ったところだけど二人で運ぶから大分楽だ。

熱い物を運ぶのは危ない部分もあるけど、蓋をしているのでお湯が漏れることもなく安心だ。

前を行くクラスメイトの長井君は野球部で力もあるのできついこともない。

二階に到着してからは台車に乗せて楽に教室まで運ぶことが出来た。


「おまたせ、お湯持ってきたぜ」

「おう、お疲れ」


調理担当の三浦君へとお湯を引き渡し、僕の手伝いも今日は売上の入力だけで終了だ。


「じゃあ、あとはお願い」

「おう、助かったわ」

「しっかし、田中も案外力あるな」

「そこそこ鍛えてるからね、じゃ」

「オツ」


僕は荷物を持ったまま、校舎B棟の地下の空きスペースに向かった。

着替えたら後ほどメイク担当の小城が来るのを待つのみだ。


僕は動きやすくするために千家さんの予備制服を借りていて、それに着替えてウイッグをつけた。

女子の制服がぴったり合うってのもちょっと思うところは有るけどその辺りはどうでもいいか。


……それにしてもB棟地下は人目には付かないけど薄暗くてほこりが溜まっている。

人が来なければほこりが舞うこともないのだろうけど、僕と後に来る人たちで多少は舞ってしまうのだ。

僕は普段開けられることのない廊下の窓を開け、窓枠に肘を突き外の景色を眺める。

普段風の通らないそこではあるが、窓を開けたことにより爽やかな空気が外から校舎の中へと駆けていった。


僕は、人を待っているという事も忘れ、窓の外から見えているまだ夏色のままの草木の色をぼんやりと見た。

窓の外にうちの学校の生徒がいる。

ここでメイクの為に待ち合わせするのだから目立つのはちょっと良くないと思い、僕は窓を閉めて奥へと下がった。

風になびいていた毛先がふわっと落ち、室内から外へ風の通る音が消えていつもの静かさが戻って来た。


窓から見えない位置の壁に寄りかかってため息を一つ吐き、鼻から静かに息を吸う。

それから五分ほど経っただろうか、足音が近づいてきて、それは小城だった。



――――――



僕はバッチリとメイクをして貰い女子制服を着て学校内を闊歩している。

……そういうと結構異常な感じがする。

女装して一応学校の時間なのに校舎内をうろつくとか、変態チックな響きがあるなぁ。

まあ街中を闊歩していた時点で既に開き直っているんだけど。

何より小城の施してくれるメイクは凄いのでバレる気は全くしない。

ああ、慣れって恐ろしい。


時間は大分早いから学内を見て回ろうか。

……最早バレたらどうなるとかそういう感覚のない自分が怖い。

ま、案外学校の中で見たことのない人って居るもんだし記憶にも残らないんだろうね。



最初はまずお化け屋敷に行ってみよう。

ふらっと入ってみたら暗くて案外粗が見えないのでなんだかドキドキする。

今までの文化祭でもそんな感じはしなかったのに不思議だ。

中を進んでいるとおばけが驚かせて来たので、ステップでうまく躱して視界から消えて逆に驚かせてみたりしたり。

僕を捜しているおばけを見て思わず吹き出してしまいそうだった。


それから数カ所を回り、時間を程良く消費してから体育館のステージの準備手伝いへと向かった。

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