文化祭準備2
それから二週間、文化祭前日までキッチリと練習をした。
練習した内容を良く味わい噛みしめる。 そして反復し、反芻し、自分の中の栄養として取り込んでいく。
繰り返していくうちにダンスを体で覚えて自然な所作で行うことが出来るようになる。
程良い疲れと共ににじみ出してくる充実感がとても心地よく感じる。
ボイストレーニングを始めてからは今までよりも発声するときに綺麗な声が楽に持続することが出来るようになった。
発声のコツが早く楽に掴めるため、結果として負担も少なく喉にも優しい。
変に体に力が入ることもないのでダンスもより楽になる。
効果は予想以上だった。
余裕が出来た分、以前よりも歌詞や曲を深く読む時間が増えた。
理系っぽく言うと「作者の気持ちでも考えてろよ」って事になるけど、その解では50点しかあげられない。
歌詞も物語も「自分の気持ち」を歌う歌も確かに多いけど、ストーリーの登場人物や世界が出来上がってくると、
その中で登場人物が考えたり勝手に動くことが時としてあるのだ。
歌詞を聴く人も歌詞に自分を映したり、登場人物に心を重ねたりして感動したりするものだと思う。
歌手は深く歌詞の意味を理解して登場人物を演じ、伝えるのだ。
一種のドラマとも言えるだろう。
「田中先輩、本当にこの歌詞は先輩が考えたんですか?」
「まあ、そうだけど」
「うーん」
「?」
千家さんはアゴに手をあてて何か考え込んでいる。
「……いっそ女の子になっちゃえば良いんじゃないですかね。 あれ切っちゃって」
「……なぜそうなる」
「何か乙女チックですから少しむかつきます」
「割と酷いな」
「褒めてますよ?」
「うーん」
千家さんはクスクスと笑いながら部室から出て行った。
うーん、よくわからんな。
「それじゃ、山田。 教室に行って手伝いしてこよう」
「うん、そうしよっか」
教室に戻ると、机を端に寄せて調理コーナーとフロアを分けている途中だった。
小城たち薄汚れたついたてを5枚ほど並べている最中だ。
「山田、良いとこ来たね。 ついたてに模造紙貼るから押さえてくれない」
「オッケー」
「あ、僕も押さえるよ」
「えっ、その身長で押さえを!?」
「できらぁ!」
僕はそういうと教室の後ろに重ねてあるイスを運んで上に乗り模造紙を押さえた。
これが大人の余裕なのだ。
「なんかごめん」
ちょっと!小城、謝らないで欲しかったな……。
張り終わったらもう、そろそろ食材が届く頃だな。
これが終わったら校門まで行って受け取り待ちかな。
「じゃ、貼り終わったしちょっと受け取ってくるね」
僕は荷物を取りに校門へ向かい、歌いながら配達が来るのを待つ。
最近暇さえあれば歌のこととかアイドルのことばかり考えてる気がするなぁ。
そうこうしているうちに近所のスーパーの軽バンが校門の外に止まった。
「どうもありがとうございます」
「お待たせしました」
「わざわざ持ってきてくれてありがとうございます」
「いやいや、お嬢さんの頼あっ……」
「お嬢さん?」
「いえ、なんでもないですよ」
「? はぁ、ありがとうございます。 校内に入るには許可が必要なので、少し間って貰えれば僕が運びます」
「はい、ここで待ってます」
僕は教室まで2往復ほどし、在庫管理のために持ってきた自分のパソコンに入荷した商品を打ち込む。
在庫の管理をきちんとして、売上も出さないといけないからだ。
こういうときに自分のパソコンが有ると便利だ。
商品名と数量を打ち込んでいると、クラスの中村さんがパソコンを覗いてきた。
「なにやってるの?」
「在庫管理やってる、すぐ終わるよ」
「そうなんだ、ん。 頑張ってね」
中村さんはメイド担当なのに積極的に手伝いをしていてとても頑張っている。
数回咳をしているのが気にはなるのだけど、大丈夫だろうか。
「中村さん、あまり無理しないでね」
「うん、ありがとう」
「調子が悪かったら今日はあがった方が良いよ」
「大丈夫だよ」
そう言って中村さんはまた手伝いに行ってしまった。
ちょっと熱っぽい感じだけど大丈夫だろうか。
その後、一時間ほどで準備を完全に終え、その日終えた。
すみません、長らくお待たせしました。
更新速度を上げられるよう頑張ります。




