結果発表
着替えが終わり、僕たち三人と小城はロビーで小休憩を取っている。
一度軽く汗を落としてはいるが、結果発表までは着替えも出来ないので小城に化粧を見て貰った。
とはいえ、特に直すところもなかったようで助かる。
―――30秒くらい顔を水につけられただけのことはあるかな。
「小城、ありがとな。 今日は手伝って貰って助かってる」
「いーよ。 あたしも莉緒の頼みじゃ聞かないわけにもいかないしさ。 ……この後どんなおいしいのを食べられるか楽しみにしてるけどね」
「うん、任せといて。 流石に高級店は無理だけどね」
「あはは、そこまでは要求しないよ」
「そう言って貰えると助かる……」
僕は近づいてきた人物に気づき、会話を少し中断した。
少し気持ちを張る。
近づいてきたのは例の「リョウ」とその仲間だ。
割とイケメン風の男の後ろにはあの失礼な奴がばつが悪そうに立っている。
「さっきダンス見たよ」
「何か用かな」
「――この間はごめん。 タクヤに失礼な事をされたって聞いた」
「ああ、別に私はいいよ。 ――名前も知らない相手だから気にすることもないし」
「……ごめん。 俺はリョウって言うんだけど、この間のお詫びと言っちゃなんだけど飯でも一緒にどうかなと思って」
……そう来たか。
千家さんはかなりレベルが高い(というか好みのタイプ)、山田&小城も普通に可愛い。
プロデューサー的にはこういう輩と関わらせたくない。
とはいえ別に僕たちはプロとしてアイドル活動をしてるわけでもないし、山田主催のサークル的な側面もある。
別に強制はしないけど、こういう連中は絶対体目当てだと邪推してしまう。
――ううん、知らないけど絶対にそう。
「あ、この子は門限があるからこの後すぐ帰るし……」
「そうじゃなくても私は行きませんよ」
チラリと山田と小城の方を見る。
「あたしは彼氏居るし」
「アタシは好きなh……じゃなくて行きたくない」
うん、女子連中の総意として付いていかないことが大決定した。
? 今山田が気になる事を言ったような。
まあいいや。
「と言うわけで皆行かないってさ」
「君は」
リョウは俺の手を取りこっちをガン見している。
「俺、君のダンスを見て好きになっちゃったみたいなんだ。 視線が合ったとき、なんだか繋がった気がして」
いやいやいや、視線合った記憶がないんですがまあ、暗がりだし……いや、え? 好き?
何?イケメンリア充って好きとかさらっと言っちゃうの?
え? は?
なんだか滅茶苦茶混乱している。
僕は憮然とした表情になっているだろう。
「あっ……いや、行きません」
やけにうわずった声が出た。
何これ?
「そうか、残念。 じゃあ、友達に――いや、せめて今度会ったとき一緒に踊って欲しい」
「ま、まあセッションするくらいなら」
「良かった。 出来れば連絡先を……」
「いやいや、縁があればまた会うことも有るんじゃないの」
「……わかった。 また会うのを楽しみにしてるよ」
その後リョウはタクヤに「そろそろ結果発表が有るから行こうヨ」とか言われながら去っていった。
何だったんだ、これ。
千家さんが僕の耳元に口を寄せて「お尻洗った方が良いかもしれませんね、先輩」と言ってきたので平手でおでこにツッコミを入れる。
やけにパカッと軽い音がした気がした。
結果発表は、あの連中が3位で僕らは特別賞を貰うことが出来た。
嬉しかったけど正直まだ混乱しています。




