表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/39

合宿2

『先輩……酷いです』

『千家さん、その……ごめん』

『酷いことをする先輩なんて、こうしてあげます!』


千家さんはチェーンソーを振り回しながら近づいてくる。

僕がバックステップをして(かわ)すも勢いは止まらない。

足下の段差に躓き体勢を立て直す間もなく……。


『先輩、残念でした』


チェーンソーは振り下ろされ……。


「ギャッ」


跳ねるように立ち上がる。

今にも袈裟切りにされて(はらわた)をぶちまけ……ん?

目の前に千家さんがいない……僕はここで一つの結論に達した。


「夢か……」


ほっとした瞬間、枕元で目覚ましが鳴り始めた。

千家さんをあんなC級ホラーのキャラみたいにしてしまって、ちょっと罪悪感を感じる。

そんなことよりぼーっとしてると朝練に間に合わない。

急いで着替えて用をすませ、一杯の麦茶を飲んでから家を出た。

家から自転車で出ると、もうすっかり明るくなっていて、チラホラと散歩に出ている人が居る。

朝も早いのによくやるもんだよね。


僕はなんとか6時20分に千家さんの家に着く事が出来た。

玄関前に着くと、千家さんは既に起きており、境内の掃除を始めていた。


「おはよう」

「おはようございます」

「ところで、山田は?」

「山田先輩はまだお休みになっていますよ」


都合がよい、今のうちに昨日のことを謝っておこう。

少しばつが悪いので呼吸を整えて気持ちを落ち着ける。


「あ、あのさ。 その……昨日はあんな風に帰っちゃってごめん」

「……私こそすみませんでした。 ちょっとからかい過ぎちゃいましたね」

「あ、いや……」


数秒考えた様子を見せ、ふふっと千家さんは笑った。


「次はどのようにからかいましょうかねぇ」

「えっ?」

「いえ、なんでもありません」

「そっか」


なんだかニヤッとしたみたいで引っかかるけど、ひとまず山田を起こしてこなくては。

離れに行って寝ている山田を起こして6時30分からのラジオ体操を済ませた。

ラジオ体操の後は僕も掃除を手伝い、山田は二度寝した。



――――


今日から練習はひたすら動きを合わせることに集中する。

鏡を見ながらひたすら踊り、4回ほど繰り返しては修正点を話し合う。

ただ、それだけを繰り返した。

昼食も腹7分目、休憩も時間を決めてしっかり取る。

僕はふと思いついた方法を聞いてみることにした。


「ところで、休憩時間に昨日やった……音霊法(おとだまほう)みたいに瞑想してイメージトレーニングを入れてみたいんだけど、どうかな」

「私は良いと思います」

「音……? あ、アレね」


明らかに山田は分かってない感じだ。

昨日は2分と持たずに熟睡していたから無理もないかな。


「背筋伸ばして目を閉じてイメージトレーニングだよ」

「あ、ああ……そうだったね」

「ふふ、そうですね」


曲を流さずに目を閉じて振り付けをイメージする。

山田に駄目出しして貰ったところを想像して繰り返してみようか。

腕の振り方はこうしてたっけ? 考えてみたらちょっと振りが大きすぎたかも。

……なんだか目の前に鏡が置いてあるような感覚がある。


目を開けてひとつ深呼吸をしてみる。

――うん、出来る。



――――――


合宿も終わり、準備は万端に整った。

ダンスコンテスト本戦は昼過ぎから始まり19時に結果発表だ。

長丁場だけど今の僕たちなら十分できる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ