表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/39

短期労働


僕は夏休み期間中はアルバイトをすることにした。

スタジオ練習やちょっとした機材、衣装の費用の調達は避けて通れない。

そして僕の最大の目的はイベントや芸能関係の裏方の経験をすることだ。

とはいえ、フルで働くのは時間が取れないので、登録制を選んだ。


僕がお世話になるのは木田芸能サービス、老舗の会社らしい。

……確か数年後に潰れるはずだけど、今はまだ大丈夫だ。

面接と登録も終わり、今日は初仕事だ。


電車に乗ってやってきたのは野外イベントの撤去現場だ。

今後の活動も考えて冷感の長袖黒シャツと日焼け止めを持ってきてある。

アイドルもどき(・・・)でも現場焼けは恥ずかしいし。



現場では数名のリーダーに従って作業を分担するみたいだ。

僕たち『バイト君』は4チームに分けられ、作業を開始した。


トラスという部材で作られたテントの脚を取り、クレーンで屋根を下ろす。

リーダーがインパクトレンチでボルトをゆるめ、僕たちはボルト・ワッシャ・ナットを

一つ一つ手でゆるめ、それらがバラバラにならないようにセットして地面に置く。

別のメンバーがボルトを回収し、残ったトラスを収納カゴにどんどん入れていく。

重さ的に大したことは無いけど、しゃがみとカゴまでの往復で結構疲れた。

何よりも夏の暑さが堪える。



作業がある程度進んだところで小休憩となった。

バイト同士輪になってスポーツドリンクを飲みながら目一杯休む。

タオルで汗を拭き、日焼け止めを塗って次の作業に備えた。


「君、日焼けとか気にしてるけど芸能関係とか目指してんの?」

「ええ、そんなところなんです」

「やっぱこういう仕事するのって目指してる奴多いよね」

「そうなんですか?」

「結構見るよ。 ケガだけは気をつけてな」

「ありがとうございます」


昼過ぎには作業が終わり、初の仕事は無事に終わった。

レッスンとはまた違う心地よい疲れを感じながら、居眠りしつつ家まで帰った。

家に帰ってからはいつも通りトレーニングと練習、夜は曲作りをして寝た。


――――――


夜が明けてはライブイベントの設営で夕方から県民ホールでバイトだ。

朝の涼しいうちに走り込みをして、近所の地区センターで練習した。

真っ昼間から外で練習していると結構声をかけられたりもするけど、無料で鏡付きの練習場はなかなか無いので助かる。

ストレッチした後に帰りシャワーを浴びてから、ご飯を食べて一休みした。

空いた時間で宿題に少し手をつけた後、早めに出発した。


――――――


現場に入ると必要なところに呼ばれて手伝いをしていく。

4時間ほどであっという間に設営は済んでしまった。

ステージから撤収する前にチラリと客席の方を見る。

……これがステージからの眺めなんだな。


バイトを終え、県民ホールから出ると、外の広場には既にアイドルのファンが集まっていた。

徹夜でイベントに挑む熱意は凄い。

いつか、ファンを熱くすることが出来るアイドルを、僕も作れるようになりたいと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ