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紛擾(ふんじょう)

一学期期末試験が無事終わり、学校は短縮授業になった。

少しずつテストも帰ってきているけど、点数もなかなか良いので心配は要らないかな。

山田も特に赤点がどうとか騒いでないみたいだからあえて聞かないようにしている。

試験の後は短縮授業なので、放課後の練習も長く取れるので非常に助かる。


ダンスコンテストまで一週間ほど、ここからの仕上げが重要だ。

今日はみっちり2時間ほど練習してからK市まで行き、路上ライブの予定だ。

他のダンス部員が部室を使用するため、ストレッチや練習は空き教室を使わせて貰うことにした。

……練習用の鏡がコンパネで作ったものなので、簡単に移動できるのでかなり助かる。


練習を一通り終え、僕たち三人はK市の駅に向かった。



――――――



もう7月、10kmの移動ですっかり汗がにじんでいる。

K市までついたので、汗を拭きスポーツドリンクを飲み小休憩を取った。

5分ほど休み、移動を再開した。


地下街入り口の階段横に陣取り、CDプレーヤーを置いた。

曲をスタートして踊り出す。

最初の曲は新しく取り入れたノリの良いアイドルソング、動きも程ほどで最初に踊って歌う曲としては良い。

ポツポツと立ち止まって見てくれるお客さんも出てきているので、お客さん受けもいいみたいだ。


1曲目が終わり、次の曲に入る。

――ここから少しずつテンションを上げていく。


4人のギャラリーが加わり、何かを話している。

特に気にせず続ける。

3曲目も終わり、観客から拍手が上がり、さっき来た4人中の一人が近づいてきた。


「あのさァー、これから俺らがやるから場所開けてくンない?」

「ちょっと何を言うんだよ、どけって言われる筋合いないんだけど?」

「俺ら高校生ダンスコンテストとか出るしサァ、アイドルダンスなんか(・・・ )やるんなら場所開けて欲しいんだよネ」

「それでしたら横が空いておりますので、どうぞ」


千家さんも参戦か、ちょっとまずいかも。

山田が千家さんの肩を掴む。


千家さん(あやのっち )

「でも」

「もめ事はまずいし許可取ってるわけじゃないからいこう」


ちらほらとこちらを伺うギャラリーが増えてきた。

その中から見たことの有る顔の男が出て来る。



「何やってんだよ」

「あ、リョウ君」


リョウと呼ばれたそいつは、さっきの男に何やら話しかけているようだ。

山田は曲を止めCDプレーヤーを持って千家さんと僕の肩を叩いた。


「ほら、行こう。 騒ぎになってからじゃまずいし」

「……分かった」


僕はリョウと呼ばれた奴をひとにらみし、二人とその場を立ち去った。


「田中、大丈夫か?」

「……」


山田が少し心配そうに聞いてきた。

今の気持ちのままだとちょっと語気を荒げて喋りそうだったので、ゆっくり深呼吸をしてから答える。


「路上ライブだとああいうこともあるよ」

「大丈夫。 ダンスコンテストで見返してやればいいさ」

「そうですよね、私も頑張ります!」


千家さんも気合いを入れ直したようだ。

山田はほっとしたように肩を下げる。



「……見返したら言ってやるよ、アイドルダンスなめんなよって」

「はい!」

「じゃあさ、アタシ知ってるスタジオあるから、そこでちょっとやってくか」

「OK」

「はい」


僕たちは決意をかため、歩き出した。



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