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売りコネばあさん  作者: 村八分
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第一話 金欠ばあさん

被災者でありながら逞しく生きている、他人にストーカー並みの詮索するのが大好きな

とってもケチで意地悪な仕切屋の長身痩せぎす本藤ばあさんと

信仰宗教にハマってしまいその仲間と嫌がらせをするのが密かに楽しみという小さく丸々太った伊田ばあさん。


そんな二人組がはったり噛まして嫌いな近隣住民を化け物に仕立てる噂を流し、

それの覗き穴を作ってはその見せ物小屋を密かに開きつつ、

日銭を稼ぐ為畑仕事をしていた旅芸人一座達に化け物とした住民の話題をおどろおどろしく脚色しては提供して仲良くなり、

ついには脚本家としてコネもお金もゲットして成功するというサクセスストーリーです。

度々訪れる旅芸人達との心暖まる交流が書けたらいいなと思ってます。

「おい隣の!お前さんのきたねえきたねえ畑草がわしの家まで伸びとるぞ!

牛を放し飼いにするでねえ!こんなもんわしが打ちすえてやる!


とこんな調子で怒鳴りちらすのはこの一帯の地域を取り仕切る本藤のばばであった。

神経質な本藤のばばは自ら苦情を出しておきながら自分は平気で同じようなことをしているのだが

人前ではそれを見せぬよう立ち回るのが上手く決して本藤のばばに同じような苦情が言われるようなことはなかったのだ。

「そうじゃそうじゃ」

続けたように相槌を打つのは本藤のばばの家のすぐ裏の北東側に住む伊田のばばであった。

伊田のばばは働かない息子夫婦と頭に障害のある孫をかかえ

数年前に酒を飲んで肝臓を壊し他界した夫に変わり

伊田家の大黒柱として切り盛りする女傑であったが

苦労深きその身に疲れ果てた現在は

神を自称する胡散臭い信仰宗教に没頭する信者となり果ててしまっていた。

が、事実その信仰宗教に所属してからというもの

伊田家にとって邪魔者となる人物にはありとあらゆる不幸が舞い込んでくれるので

(とは言うものの実際は神の御利益でもなんでもなく、伊田家に協力した同宗教信者達が裏工作をしているだけなのだが)

ある意味では本来の神よりも神らしいと言えた。

感謝の気持ちは忘れておらず毎朝早朝御神像の前で手を合わせるのは欠かせない。

本藤のばばと伊田のばばはちょうどと言うべきか同じように娘息子夫婦や孫達と共に暮らしており

年も近いせいか二人はいい茶飲み友達となっていた。

近頃は近所付き合いもより親密になり共に飯を囲んでは深夜互いの家に行き来しては気に入らない人物の悪口や噂話に花を咲かすのである。

本藤のばばは苦情を言った家の畑を無断で通り踏み荒らしながら、愛犬のコロを引き連れつつ今日も今日とて伊田のばばの家へ訪れる。

働き手のいない伊田家だがばばの夫が残した遺産の畑木があり

贅沢とは言えずともしばらくつましく生活出来るだけの蓄えはあったので

毎日暇を持て余していた伊田のばばは今日も本藤のばばを快く迎え入れるのであった。

「おっ死んじまったおっ父の蓄えももう少なくてよお」

開口一番に伊田のばばが呟いた。

考えれば無理もない話で息子は働かず頼みの孫は頭に障害があり、将来働き手にはなれそうもない。

事実伊田家は伊田のばばとその夫が残した家屋や畑木で持っているようなものだったのだ。

手のひらにあるだけの銭を乗せながら伊田のばばはため息をついた

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