The end of the real.〜本当の終わり〜
勇者一行は魔王を再び目の当たりにしていた。
誰もが何が起こったか分からないでいる。
なぜ、ここにいるのか。
一度バラバラになった彼等がまたここに集結したのか。
だが、今自分達に出来るのは、魔王を倒すことだけ。
疑う事ではない。
誰もがそう感じそれぞれの武器を構える。
勇者は剣。
火山付近の村で出会った鍛冶屋が造ってくれた世界で一本だけの剣。
戦士は斧。
寒い冬道を歩いてる時に出逢った優しい老人の最後の形見の斧。
僧侶は杖。
みんなで木から造りあげた杖。
魔法使いは魔道書。
ちょっとだけみんなとの交換日記の本になりかけていた魔道書。
そして、魔王に挑む。
魔王は火を吹き、自らの体をも焦がす。
だが、そんな中勇者一行がとった決断は。
「争いなんて止めてしまいましょう。
もうこれ以上、犠牲者は出せないんだ。
お願いします。」
勇者の精一杯の土下座だった。
そう。
勇者一行が選んだ決断とは、『和解』だった。
だが、魔王は言う。
「よく、そんな口が聞けたもんだな人間よ。
最初に戦いを仕掛けて来たのは人間であろうが。
角が生えている、尻尾が生えている、他人と皮膚の色が違う。
それだけで、我々は差別された。
我々にとっては、お前らは魔物同然だ。
我が先祖の怨みここで晴らす。」
魔王は容赦なく焔の魔法を撃つ。
距離をとりつつ、避ける勇者達。
それもそう長くは持たないだろう。
その時。
魔法使いが唐突に叫ぶ。
「姉っ!!!
居るんだろ!?
居るんだったら戻せ!!!
全てをゼロにゼロにぃぃぃぃぃ。」
この混乱した状況を叩き切る嘆き。
そして、この場の誰でもない声が聞こえる。
「それは、出来ねぇな。
さぁ、前を向け。
そんで、戦え。
今、お前らには二つの選択肢が与えられてんだ。
一つはその復讐とやらの餌食になるか。
もう一つは魔王を殺すか。
ただ、そのお前のいった、世界をゼロにするってのも、不可能じゃない。
ただ、その魔法はこの世界上で最も強い魔力を持った者しか使えない。
まぁ、魔法の天才と呼ばれた私だが、魔力は少々魔力が魔王には劣るんでねぇ…
ま、つまりはそゆことよ。
あ、魔王が動くぞ。
こいつくらい四人で倒せるだろう?」
魔法使いを含める四人は先程とは違い体からは殺気をほのめかすようなオーラを出していた。
そして。
戦士が魔王めがけて飛びかかる。
切り傷を刻み、薙ぎ払われてもと居た場所へ戻ってくる。
魔法使いは、攻撃魔法の一つ、相手を氷ずけにする魔法を繰り出す。
うまく、魔王の足を捉える。
そして、戦士に代わり勇者が飛びかかる。
うまく決まる。
何度も何度も切る。
そして、決める。
終わりの一撃を。
ズサシュ…
ブシュ…
ドサッ…
全てが終わった。
いや。
終わらせた。
まだ、続いているのに。
ここで。
全て。
「で、どうするんだい?
お前ら。
ゼロに戻す?
それともまだ続ける?」
勇者は答える。
「続けよう。
まだ、全てが終わったわけじゃない。」
それぞれが口々に答える。
賛同の言葉を。
「じゃあ、続けるんだね。
無駄な仕事しなくていいからラッキーだな。
じゃあ、はやく帰れよ。」
魔法使いの姉が冷たくそう言うと、四人は魔法使いが入った輪に入っていく。
そして、魔王城にいるのは、彼女だけになる。
「ほんとにこれで良かったのかい。
魔王さん。
貴方が臨んだのはこんな今かい?
まぁでも天国から見てな。
あいつらの、飛躍をな。」
一人ポツリと呟いて、居城へと帰る。
全てが平和で終わった。
ただ、これが完全な答えだとは思わない。
人はそれを見つけられるのだろうか。
仮にも今は見つかっていない。
あと一話だけ続くんよ。