第五話 黒衣の剣士
―風の国アスガルド―
「みんな、今日は集まってくれてありがとう!」
背中に細くて長い剣、太刀を背負ったプレイヤーが言った。
「みんなも知っての通りまだ神は倒されていない、このままじゃダメだと俺は思った。
神の強さは全く分からない・・・だが多人数で挑めばイケるんじゃないか?」
周りには約100人ほどのプレイヤーが囲む。
「確かに・・・」
「みんなが協力すれば・・・」
「希望はあると思う・・・」
プレイヤー達も太刀のプレイヤーと同意見だった。
「みんなOKだな!・・・自己紹介がまだだったな、
俺の名前はヨシヒロ太刀、風の鉄刀を使うLvは15だヨロシクなっ!!」
ヨシヒロが自己紹介を済ませるとみんなは立ち上がりお互いに握手や自己紹介を始めた。
その中の一人の黒服を着た16歳ほどの少年に彼は近づいてきた。
「片手剣使いか、君も参加するのかい?」
「あぁ、そのつもりだ」
「そうか、危険な戦いになるだろうがよろしくなっ」
そう言い残すとヨシヒロは全員にこう呼びかけた。
「みんな!決戦は明日の朝10時、神部屋の前に集合だ!」
そう言うとみんなは解散していった・・・・・
―風の塔、神の部屋前―
「さぁみんな心の準備は大丈夫か?」
ヨシヒロがそう言うとみんなは「おぉー!!」と言うように掛け声をあげた。
ヨシヒロが大きな扉に触れると扉はゆっくりと開いていった。
それを確認して約100人のプレイヤーは一斉に突入した。
そこはドームのように広く丸い場所だった。
みんな中心に近づくとそいつは現れた・・・
ギャォォォォォォォォ!!
緑色のウロコも持つ大きな獣と言ったところだ。
頭の上に長い体力ゲージが2本表示された名前は―――
~The green god tiger・・・緑神虎~
「みんな、来るぞっ!!」
プレイヤー達は慌てて散らばった。
ドゴォォォン
緑神は大きな前足を振り下ろした。
何人か命中したプレイヤーが宙も舞う。
体力ゲージはみるみる減り0になった。
その瞬間ガラスが飛び散るように、体が粉々になり消えた。
「死んだ・・・のか・・・」
残りのプレイヤー達も見てヨシヒロが叫んだ。
「死を考えるなっ、俺たちがヤツを倒してかたきをとるんだっ!!」
ヨシヒロの太刀が光りだした。スキルだ。
「爆破切り!!」
緑神の前足を切りつけると傷口部分が赤く燃え上がり、破裂した。
グォォォ!
緑神はあとずさんだ。
「みんな行けるぞっ!!攻撃しまくれ!!」
「うぉぉぉ!」
「おりゃぁぁ!」
大勢のプレイヤーがスキルを使い敵に一斉攻撃した。
グォォォ!
「行けるぞォォ!!」
だが緑神も攻撃されてばかりではなかった
一瞬だった。
緑神の前足が大勢のプレイヤーに直撃した。
その中にはヨシヒロもいた。
「ぐはっ・・・」
HPはみるみる減っていき10ほどになった。
黒服の少年は近くに寄った。
「ヨシヒロ!しっかりしろ、死ぬなっ!」
「へへ・・・俺はお前を知ってるぜ。
あの時オーロラに話しかけてたヤツだろ?それだけの度胸があれば・・・」
そう言うとヨシヒロは横たわった。
「ヨシヒロにヒールを誰か頼む・・・」
黒衣の剣士がそう言うとプレイヤーの1人がヒール(回復)をしにきた。
「・・・・・くそっ、くそっ、くそぉぉぉ!!!」
黒衣の少年は片手剣を強く握り締め緑神に突っ込んで行った。
「ワンハンドレッドカット!!」
上から振り下ろした剣はさらにまた上に切り上げた。
それを50回もの凄い速さで切りつけた。
グォォォォォォォ・・・・・
緑神のHPは凄い速さで減り0になった。
緑神は横たわりガラスのように弾け飛んだ。
「すごい・・・」
「あの緑神を倒した・・・」
周りで見ていたプレイヤー達が静まり返りそして・・・
「やったぁぁぁ!!!」
「倒したぞォォォ!!!」
「やったんだな俺たちっ!!!」
みんな喜び合う中、黒衣の剣士の前にモンスター討伐時に出るドロップアイテムが表示された。
~片手剣・・・神風ウィンドミル~
「・・・俺は誰も守れない」
黒衣の剣士はそうつぶやくと外に向けて歩いて行った。
「ま、て・・・」
ヨシヒロが黒衣の剣士を呼び止めた。
「俺はもう行くよ・・・じゃあな・・・」
「最後に・・・名前だけでも教えてくれっ」
ヨシヒロが尋ねると黒衣の剣士は一瞬立ち止まりこう言った。
「俺の名前は・・・・・ツバキだ」
そう言うと黒衣の剣士は立ち去った・・・・・
そして風の神との戦いからさらに1年が経った。
いくつものギルドが作られ、攻略組という最前線のプレイヤー達も出てきた。
残り人数8000人。
第二の神・・・火の神の討伐会議が行われていた―――――――
次回、第六話 疾風連合