第二話 出会いと決断
目を覚ますと俺は広い草原のど真ん中に横たわっていた。
もちろん周りにデパートは無い、まさに別世界と言った所だ。
「どうなってんだ、本当に来たのかよ俺・・・」
戸惑って頭を抱えていると真後ろから。
「うぉりゃぁぁぁ!!」
後ろから体格の良い男が何かをコチラに振りがざした。
「うわっ!」
俺はとっさに横に転がり奇跡的に回避した。
「何なんだお前!」
「キサマもダークテイルの仲間かぁ!」
そう言ってもう一度手に持っていた物を上に上げた。それは現実世界ではありえない剣だった。
「待てっ、俺はそんなやつらしらないっ」
「何?ダークテイルを知らないのか?」
「あぁ!ここがどこだかも分からないんだっ」
「どこって・・・まさかお前選ばれし者か?」
「選ばれし者、何で知ってるんだ?まさかお前も・・・?」
「あぁ、そうだ俺も現実世界から来た選ばれし者だ。少なくともダークテイルじゃなさそうだな、この世界について教えてやる」
そう言って男は剣を下ろし腰についた鞘に収めた。
「さっきは悪かったな、俺の名前はサカキだ。ツバキ、よろしくな」
「あぁよろしくって、何で俺の名前を?」
たずねるとサカキは自分の少し前の所に手をかざした、するとタッチスクリーンのような画面が
出てきた。
「なんだそれ?」
「これは自分のステータスが見れる。さらに装備情報や持ち物を収納できる。ちなみにお前は・・・」
そう言って俺の頭の上を指差した。そこにはツバキ、そしてHPが小さく表示されていた。
「ほんとだ俺の名前・・・ツバキ」
「お前もステータスも見てみろよ」
先ほどサカキがしたように自分も手をかざすとステータス表示が出た。
そこにはこう表示されていた。Lv1、HP100、武器は無いようだ。
「Lv制なのか、サカキはどうなんだ?」
「俺は、Lv3、HP300だ。大体Lvはモンスターも倒す事で手に入る経験値で上がる、HPは個人差があるようだが大体Lv×100のようだ」
「モンスター?」
「あぁ、まだこの世界について説明不足だったな。簡単に説明するよ」
そう言ってサカキは水を一杯飲み話だした―――
seven worldというこの世界、7つの大陸にそれぞれ神と言われるモンスターがいる。
神をすべて倒せばこの世界は救われ現実に戻れるらしい。
だが死ねば終わり、つまりHPが0になれば現実世界には戻れず死亡という事になる。
まるでゲームのようにLvとHPが存在しモンスターも町の外に出れば徘徊している。
この世界に送られた選ばれし者は全部で10000人、年齢はバラバラ送られた時期は大体ここ1ヶ月。
その間ギルドと呼ばれるいわばチームのような組織がいくつか作られた。
先ほどサカキが行っていたダークテイルというのもギルドらしい。
しかしダークテイルは闇ギルドと言われる殺人集団の事を指す。
モンスターではなく人間を殺す事に快感を覚えた集団だ人数は不明。
「俺の唯一の仲間だった親友も殺されたよ・・・」
「そうか・・・この世界では何人も死んだのか?」
「モンスターや闇ギルドに殺されたヤツはもう500人以上らしい」
この話を聞けばこの世界を救うなんて考えるヤツはそういない。
だが俺は違った・・・
「俺、この世界を救うよ」
この言葉と共に周りは静まり返った。
「お前、本気なのか!?攻略組は何人かいるが最前線は1000人といないぞ」
最前線、つまりボス攻略組である。
「俺は現実世界に帰りたい、だから世界を救うんだ」
「こりゃ本気だな・・・分かったよ俺もついてくよ」
そう言ってサカキは手を差し出した。
「いいのか?死んだら終わりだぞ?」
「それはお前よりずっと分かってるよ」
俺は戸惑いながらも手を握りこう言った。
「・・・だな」
「よろしく頼むぞツバキ」
「あぁ、よろしくサカキ」
サカキは思い出したように言った。
「っていうか俺20過ぎてんだけど呼び捨て?」
「じゃあサカキさん?」
「・・・やっぱりサカキでOKだ」
「あぁ分かったよ、改めてよろしくなっ」
次回、第三話 出発と準備