8話 精霊の力
「……った」
つ、ついたぞ。
まだ日は沈んでいない。
この時間ならまだアイツらは来ていない。
急いで部屋に入ろう。
そうして俺は家の中へと入って行く。
「あ……う……」
よし、色々と踏ん切りがついたからかな、声がちょっとずつだけど、出るよになった気がする。
この調子なら話せそうーー。
その時、俺の視界の端に人影が映る。
まずい、誰かいるのか!
か、隠れないと……いやおかしい、この時間このルートには家に誰もいないはずだ。
ここは怖いが今後のためにも確認しないと。
そして俺は、確認のため人影のあったリビングへと向かった。
あ、ありえない、なんで、なんで父さんがいるんだ。
リビングのあった人影は血まみれのパパンだった。
「う、うおだ、うおだぁぁぁぁ」
なんでだ、いつだ!いつ死んだんだ。
俺が一旦家を出てまだ15分も経っていない。
タイミングが悪かったのか……でも関係ない、俺もどうせここて死ぬんだから。
「あっててね、ぱぱん、俺もすぐ逝くから」
そうして俺の声はこのタイミングで完全に戻る。
……声が出るようになったら、試したい事があった。
それは精霊召喚だ。
精霊の力を使うにはいくつかルールがあり、その一つが、詠唱である。
精霊の召喚は、意思表示→詠唱→顕現の順番で行われ、その後に具体的な命令を加えるのだ。
「やってみよう」
『ポワッ』
左手の甲に緑色の光が灯った。
で、できるのか!?
「意思表示は上手くいってる、でも詠唱はどうだろう、応えよ風の精霊よ、汝の使い手の前に力を示せ、シルフ!!」
『ブオオオオ』
左手の緑色の光は輝きを瞬時に増していき、左手の周りに小さな風の渦ができた。
「で、できてる成功だ」
や、やったぞ、これで奴らを倒せる。
でもなんでこの力だけ使えるんだ、もしかしたらこの力の他にも、スキルとかも引き継げるのではないだろうか。
色々試してみたいな。
「ふふ、ふはははは、待っててね父さん、俺が仇を打つからね」
そうして俺は、左手にシルフを下ろし奴ら賊を待つのだった。




