敵情視察
「うおらぁ!!」
「ふーん!!」
———評価SS
「しゃあぁ!!」
俺は序列決めのために訓練場で能力・神器発動をしていた。能力、速度、威力、その他諸々の検査を終え、教室に戻る。
「いや〜疲れた〜」
「おっつ〜」
俺が教室に入ると、すでに検査を終えた雲仙が疲れた様子でスポドリを飲んでいた。
「その様子だとお前も神格化まで使わされた口か」
「ああ、久々に使ったけど燃費悪すぎ」
神格化、本来の神器の魂の形、俺たちが使ってる斧や弓、義眼なんかは魂が物に移っているだけで神器の本来の姿ではない。本来の姿では無いのだから、神格化させなければ能力の100%は使えない、俺の場合、通常状態で60%位だコンディションにもよるがな。神格化は使うと疲れる、脳や体力の消費が激しいのだ。所謂最後の切り札ってやつだ。まあ、紫苑の場合は義眼だから能力を100%使えるだけで本来の形になっても意味ないと思うが。
「そういや、紫苑の方はまだか、能力的に早く終わると思ったんだがな」
「あいつは身体検査も兼ねてるらしいからなぁ〜」
「あぁなるほど、うんじゃあいつが戻ってきたら敵情視察でもしようかな」
「・・・・敵情視察?」
「おう、一応知っといたほうがいいだろ敵のことは、ということで敵のところ行くんだから光学迷彩マント作ってくれ」
「・・・・はぁ?また能力発動させるのめんどいんだけど」
「しゃあないだろ、物質系の宿命だろその辺は」
え〜と、億劫そうな顔をしながら弓を持ち変化させる物質を探す雲仙、適当な材木でも持って来てたのかその中からちょうどいい形のものを探し始める。
「この板でいいか、3人分ともなると時間かかるぞ、しかも光学迷彩だし」
「お前なら紫苑が帰ってくるまでに仕上げられるだろ」
・・・・っとその前に頼むのを忘れる所だった。
「悪いが剣を先に作ってくれ」
雲仙は頭の上に?マークを付けたと思えば思い出したように悪い顔をする。
「はいよ、ほらっ」
さっきマントにしようとしてた木の板を剣に変化させる。剣は作るのが一瞬だったため、作り慣れていることが分かる。
「ちょうどいい剣だな、まずは斧を掴みまーす、能力を発動させまーす、次に能力で筋肉を電気収縮させまーす。剣を握りまーす、扉に狙いを定めまーす、そして・・・・・・・・っおらぁ!!」
「あぶなっ!」
ちっ掴まれたか、生体電磁感知でなんとなーく来ると気づいたから放ったが、キャッチされるとはまだ身体強化の精度が甘いな。
「感覚器集中で聞こえてたけど思ったより速かったね」
「どっちも人間やめてて笑える・・・・・・っとできたぞ、光学迷彩」
こいつも人のこと言えないんだよな
「光学迷彩? ・・・・なんで?」
「これから、敵情視察に行くからこれ被っていくぞ」
「なるほどね」
「正面から行くと多分バレると思うから行くならベランダの方からだな」
「「は?」」
「おい、腕離すなよ!! 俺は落ちたらシャレならん!!」
「おい暴れないでよ、ここ3階だよ!!」
俺たちは今、雲仙が変化させたロープで3階から5層の居る2階に降りている、紫苑がロープを持ち、雲仙がロープを伝って降りる、俺は先に降りて雲仙を支える。
「よしっと・・・・ここが5層か」
高所の恐怖を乗り越え、なんとか5層までやってきた。光学迷彩のマントを被り、中を覗く、人数が当たり前のように5層より多いな(多分40人ぐらいか?)だがそれよりも驚くべき点は全員女子だという所だ。女子中の大部分が5層に来たと聞いていたから女子が多いんだろうな〜と思ってはいたが、まさか全員女子だとは。
「すごっ人多!」
「いや俺たちのクラスが3人しかいないからだろ」
「どいつが対戦相手かね〜」
戦う相手ぐらいオーラでわかるっしょと息巻いてきたが、ここまで人数が多いと流石にわからない。
「能力使うなよ、感知系能力者に気づかれる」
「わかってるよ」
能力で感知もできない上にこの人数相手だ、俺たち・・・・・・試合するやつを見つけられるか?
「多分・・・・あいつが2位・・ぐらいだと思う」
「じゃあ3位はあの人か」
「じゃあ1位誰だ?」
「え?・・あの人じゃない?」
「いやあいつが1位だとあいつ2位じゃないだろ」
「いやあの人だろ1位」
突如として始まった1位決めの戦い、それぞれ自分の審美眼が正しいと思っているために起きた、引けなく醜い争い。
「あいつだって」
「いやあの人でしょ」
「いやいや・・・」
ガラァァ
先程まで起きていた俺たちの口争いが急に静止する。誰かが教室の扉を開け教室に入ってきたのだ、多分お手洗いにでも行っていたのだろう。その教室に入った女を見て、俺たちの審美眼が1位を変更し、それは合致する。
「「「あいつ(あの人)だ!! 1位」」」
神格化は武器との信頼関係の具現化の様なものなので、発動できた場合武器(の中にある魂)からとても好かれているという証明になります。意外と神格化は難しく、会得している者は少ないです。




