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9、

 《スクールライブ!》とは、普通の女子高生が、学校の廃校危機を救う為に《ライブスター》となり、最高峰のステージである《スクールライブ》の優勝を目指す、青春ストーリー。


「ところで、お仕事中でしたか?」


 もしそうだったら、あたしが邪魔になってしまう。


「仕事と言っても、書き始めたところなので、大丈夫ですよ」

「何か執筆をされている方なんですか?」


(撫子の情報によると、小説家らしいけど、真相は聞いてみないと)


「小説家をやってます。街コンに参加しているんですけど、ペンネームを言っても、知られていないみたいです」

「そうですか。あたしも、街コンに参加してるんです。奇遇ですね」

「じゃあ、今ここでもやりますか? 貴女のような方と、お話してみたいです」 


 そう言うと、《王子様》はノートパソコンを閉じて、鞄からプロフィールシートを取り出した。

 あたしも、慌ててプロフィールシートを取り出す。


「西野(れい)です。小説家をやってます」

「多田野さちです。ニット製品を作る会社で働いています」


 お互いの職業を明かし、あたしは聞きたい事を聞く。


「ペンネームをお伺いしても、良いですか?」

「耳に口に王の『(せい)』と書いて『(ひじり)』です」

「えっ!? 聖先生!?」


(マジか! マジか! マジか! そんなこと、あって良いの?)


 顔、にやけてないよね? 推し作家さんが目の前にいる。それだけでも一大事だと言うのに、同じアニメが好きで、『お話してみたいです』だなんて、こんなの運命じゃん!


「聖先生なんですか!? あたし、中学生の時に先生の作品の、ファンになって、そこから小説好きになったんです! 新潟市出身在住だと、書いてあったので、しかも、16歳でデビューされましたよね!? 時間が経ってましたけど、デビュー作から読んでいます!」


 オタクのスキル発動。

 伝えたい事は一気に伝えなきゃ。推しを目の前にして、後悔はしたくない。


「ありがとうございます。多田野さん。いつだったか、ファンレターを書いてくださいましたよね?」

「書きました! あたしが高校生の時だから、もう10年くらい前ですよ。よく覚えていましたね」

「新潟県ではあまり聞かない、珍しい名字だったのと、住所が新潟県の方だったので、覚えてます。僕の作品を好きで、僕の過去を否定しないでくれる、そんな人を忘れる訳無いじゃないですか」


 推しに認知されてるなんて、ファン冥利に尽きる。推してて良かったって、あの頃のあたしに言いたい。

 きっと、この日が来ることを、神様は知ってたんだ。


「あたしたちが出会う確率、数学でも求められないですよ」

「天文学的な確率ですよね。凄いです」

「《スクライ》ファンだってこと、明かされてないですよね?」

「んー? そうでしたっけ? 明かしてたような、無かったような。僕自身、わからないです」

「《スクライ》は、Acodeだけですか? その後の《スクールライブ! スプラッシュ!!》のCtoLon(シトロン)は、ご覧になられてます? 」

「《スクスプ》も観てました。CtoLonだと夏海(なつみ)っちと(あい)ちゃんが推しなんです。2ndシングル『渚ファンタジー』の藍ちゃんセンターのMV、凄い良かったです。多田野さんは、CtoLon 推しなんですか?」

「はい! CtoLonは、こっちでの再再放送くらいでハマりました。推しは白川(しらかわ)姉妹の、妹のミカンちゃんが好きなんです」


 人生初の今日の街コンで、一番会話が盛り上がってる、そんな気がする。

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