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《スクールライブ!》とは、普通の女子高生が、学校の廃校危機を救う為に《ライブスター》となり、最高峰のステージである《スクールライブ》の優勝を目指す、青春ストーリー。
「ところで、お仕事中でしたか?」
もしそうだったら、あたしが邪魔になってしまう。
「仕事と言っても、書き始めたところなので、大丈夫ですよ」
「何か執筆をされている方なんですか?」
(撫子の情報によると、小説家らしいけど、真相は聞いてみないと)
「小説家をやってます。街コンに参加しているんですけど、ペンネームを言っても、知られていないみたいです」
「そうですか。あたしも、街コンに参加してるんです。奇遇ですね」
「じゃあ、今ここでもやりますか? 貴女のような方と、お話してみたいです」
そう言うと、《王子様》はノートパソコンを閉じて、鞄からプロフィールシートを取り出した。
あたしも、慌ててプロフィールシートを取り出す。
「西野礼です。小説家をやってます」
「多田野さちです。ニット製品を作る会社で働いています」
お互いの職業を明かし、あたしは聞きたい事を聞く。
「ペンネームをお伺いしても、良いですか?」
「耳に口に王の『聖』と書いて『聖』です」
「えっ!? 聖先生!?」
(マジか! マジか! マジか! そんなこと、あって良いの?)
顔、にやけてないよね? 推し作家さんが目の前にいる。それだけでも一大事だと言うのに、同じアニメが好きで、『お話してみたいです』だなんて、こんなの運命じゃん!
「聖先生なんですか!? あたし、中学生の時に先生の作品の、ファンになって、そこから小説好きになったんです! 新潟市出身在住だと、書いてあったので、しかも、16歳でデビューされましたよね!? 時間が経ってましたけど、デビュー作から読んでいます!」
オタクのスキル発動。
伝えたい事は一気に伝えなきゃ。推しを目の前にして、後悔はしたくない。
「ありがとうございます。多田野さん。いつだったか、ファンレターを書いてくださいましたよね?」
「書きました! あたしが高校生の時だから、もう10年くらい前ですよ。よく覚えていましたね」
「新潟県ではあまり聞かない、珍しい名字だったのと、住所が新潟県の方だったので、覚えてます。僕の作品を好きで、僕の過去を否定しないでくれる、そんな人を忘れる訳無いじゃないですか」
推しに認知されてるなんて、ファン冥利に尽きる。推してて良かったって、あの頃のあたしに言いたい。
きっと、この日が来ることを、神様は知ってたんだ。
「あたしたちが出会う確率、数学でも求められないですよ」
「天文学的な確率ですよね。凄いです」
「《スクライ》ファンだってこと、明かされてないですよね?」
「んー? そうでしたっけ? 明かしてたような、無かったような。僕自身、わからないです」
「《スクライ》は、Acodeだけですか? その後の《スクールライブ! スプラッシュ!!》のCtoLonは、ご覧になられてます? 」
「《スクスプ》も観てました。CtoLonだと夏海っちと藍ちゃんが推しなんです。2ndシングル『渚ファンタジー』の藍ちゃんセンターのMV、凄い良かったです。多田野さんは、CtoLon 推しなんですか?」
「はい! CtoLonは、こっちでの再再放送くらいでハマりました。推しは白川姉妹の、妹のミカンちゃんが好きなんです」
人生初の今日の街コンで、一番会話が盛り上がってる、そんな気がする。




