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「僕、ゲームよりも、体を動かすことが好きなんです。多田野さんは何かスポーツとかされてます?」
(あれ? あれれ?)
アクティブな人なのかな? そうなると、話が合うかどうか、わからない。
「スポーツは全般的に苦手なんです」
「そうなんですか。あ、インドア派なんですね」
「はい。ゲームとか読書とか、そっちの方が好きです」
「それなら、《Game de Fitness》ってゲームわかりますか? あれ、結構楽しく運動出来るんですよ」
「それって、Sw○tchが出てすぐに、出てたゲームですよね。運動不足解消を目的にしたゲームだとか」
「もし良ければ、今度一緒にどうですか? 僕、持ってるんです」
「それってつまり、どちらかの家でって、ことですか?」
「いえいえ、それは流石に。レンタルスタジオがあるので、そこで」
つまり、連絡先の交換を、必然的に行わなければ行けない流れに持っていこうとしてる。
正直、そういうのは苦手なんだよね。
「すみません。そういうのは、ちょっと」
「そうですか。もし、気が変わったら、ここに連絡ください」
名刺を渡され、渋々受け取ることに。チラッと目に入ったロゴを見て、不信感を抱いてしまった。
(この人、まさか……)
「ありがとうございました。プロフィールシートお返しします。良いお返事、お待ちしてますね」
「はい」
まさかの、フィットネスジムのトレーナーだったとは。
もし、了承してたら、フィットネスジムの勧誘を受けるところだった。
もう疲れちゃったし、ピニャコラーダも無くなったし、ウーロン茶ないかな。
「お話、良いですか?」
「えっと、ちょっと待ってください。ドリンク、もらってくるので!」
もう! 次から次へと、何なの!? 街コンなんて、もう嫌だ!
「すみません、スタッフさん。ウーロン茶ありますか?」
「はい。どうぞ」
「ありがとうございます」
ローストビーフ、食べてるヒマ無いじゃん!
「お待たせしました!」
「いえ。逃げられたかと思いました。ドリンク、取りに行ってたんですね」
次に話し掛けて来たのは、見た感じ年上の人。
髪の所々に、白髪が混じっている。でも、何処かで、見覚えがあるような気がする。
「竹内隆之介といいます。43歳です」
(この名前、もしかして、もしかする?)
プロフィールシートを見てみると、職業欄に書かれていたのは、《教師》。
「もしかして、竹内先生ですか? 世界史の」
「えっと、何処かでお会いしたこと、ありますか?」
「桜川学園高校で、世界史教えていましたよね? お久しぶりです。多田野さちです」
「おお! 多田野さん! 覚えてますよ。見違えましたね。お名前を聞くまでわかりませんでした」
この竹内先生は、あたしが高校生の時に、世界史の担当だった先生。
あの当時も独身だったけど、今もらしい。
「先生って、あの頃も独身でしたよね?」
「そうそう。あの頃から結婚相談所に行ったり、街コンに参加したりで。未だ独身です」
「まさか、先生とこんな所で会うとは、思いませんでした」
「それは、俺もです。多田野さんはこういうの、苦手なんだと思っていました」
「幼馴染みの、佐藤撫子の誘いを断れなくて。半ば、強制です」
疲れたし、出来ることなら帰りたいです。でも、ローストビーフが美味しいから、どうしたら良いのやら。
「佐藤さんも、参加されてるんですね。流石に、教え子を口説くわけにはいきませんね」
「先生なら、良い人見つかりますよ」
「ありがとうございます。多田野さんにも、見つかると良いですね」




