4、
いよいよ始まった。飲み物を取ってくれば良かったと、今になって後悔。
「じゃ、私は他のテーブルに行くね」
「うん。頑張って」
「今井さんも、頑張りましょう!」
「お互いに、良い報告出来たらいいね」
(あたしは、ローストビーフのおかわり。あとは、スモークサーモンのカナッペも食べたい)
「ここ、良いですか?」
「えっ、はい」
立とうと思っていたのに、話し掛けられてしまった。
ローストビーフは少しお預け。
「はじめまして。木村匠馬です」
「多々野さちです。はじめまして」
「プロフィールシート、交換しましょうか」
「あ、はい」
あたしのプロフィールシートを渡して、木村さんのプロフィールシートを受け取る。
「木村さんって、30歳なんですね。凄く、お若く見えます」
「低身長で童顔なんですよ。だから、コンビニとかでチューハイを買おうとすると、いつも年齢確認されてしまうんです」
お恥ずかしいと、木村さんは笑っているけど、ますます20代前半か、未成年に見えてしまう。
「多田野さんは、お仕事は何をされているんですか?」
「ニット製品を作る会社で、働いています」
「正社員ですか?」
「はい。高校生の時に、求人票が出てた会社で、家から近くて」
「高卒だったんですね。そうでしたか……。あー。はい」
(何故、そこで黙ってしまうの? 話は終わり? てか、自分の職業くらい言って欲しいんだけど。仕方ない)
「木村さんのご職業は、何ですか?」
「エンジニアです。ウェブサイトや企業の広告をつくる会社で働いています」
「エンジニアですか。かなり難しいお仕事ですよね」
「まぁ、はい」
(会話終了。あと、聞くことは、えっとえっと。あ、趣味!)
「あ、えっと。趣味とか、休みの日は何をされているんですか?」
「趣味は一人旅です。国内の寺社仏閣を巡るのが好きです」
「そうでしたか。最近は、どちらへ?」
「最近は、えっと。熊本にある神社に行きました」
「そうでしたか」
「はい」
(あれ? また終わった? てか、あたしが高卒だってことを知ってから、テンション低いな……)
もしかして!
「木村さん、ありがとうございました。プロフィールシート、お返しします」
「あ、はい。ありがとうございました。プロフィールシートも、ありがとうございました」
プロフィールシートをお互いの手元に戻し、木村さんとのサシ飲みサシ食べは、終わった。
(何も食べてないし、何も飲んでない気がする)
まぁ、いっか。ローストビーフのおかわりを、取りに行かねば。あと、喉カラカラ。




