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街コンは、ホテルの大宴会場で行われると、申込みサイトに表記されていた。
バイキング形式で、料理は食べ放題。ドリンクもアルコール、ソフトドリンクの両方が用意されている。
「今回も大勢いるねぇ。ここからは、戦場だよ。さち」
私たちよりも先に、大宴会場に入っていた人たちを見て、撫子の目はハンターのそれ。
「撫子、目がハンターになってる」
「そりゃあ、ハンターになるよ。早く結婚したいんだから」
「はいはい。あたしは、ゆっくり座って食べれるなら、邪魔しない。もう食べちゃって良いんだよね?」
始まる前だけど、美味しそうな料理を見ていたら、我慢出来ない。
白いお皿を手に、何を食べようかな。
「もう! さち、食べ放題だからって、参加してる男性と話さなきゃ、街コンの意味無くなるからね?」
「あたしは、食べ放題と、撫子の懇願に負けただけだから。街コンとか、どうでも良いの」
「さちは、結婚したいとか、彼氏欲しいとか思わないの?」
「あたしを好きになる人、今までいた? こっちが好きになっても、一方通行で、失恋するだけじゃん。お、このローストビーフ、美味しそう! 撫子も早く取ろうよ」
「さちってば! マイペース過ぎ!」
あたしはあたしの道を行く。誰かに狂わされるなら、ひとりの方が楽だ。
「よし、こんなもんかな」
欲張り過ぎない程度に、お皿は2枚。美味しそうなローストビーフにテリーヌ、鮪にサーモンのお寿司、くるみ入りの巻き寿司2切れ。
(続きは、食べ終わってからにしようっと)
鼻歌交じりで、入り口近くのテーブルに座っている撫子の元へ。
「取り過ぎじゃない?」
「そう? これくらい、余裕だけど」
「どうしようかな。私も取って来ようかな」
「ん、いってら。食べて待ってる」
撫子が料理を取りに行っている間、まずはローストビーフから。
(ん~! 噛めば噛むほど、口の中に広がる牛肉の旨味! この風味は赤ワインかな)
「すみません。隣、良いですか?」
私の右隣にやって来たのは、紺色のスーツを着て、ワインレッドの無地のネクタイをしている、ワイルド系の男性。
この街コンでは、席は自由で、男女入り交じったテーブルになるとかどうとか、サイトに記載されていた。
「どうぞどうぞ。席は自由らしいので」
「それじゃ、お邪魔します。俺、街コンとか初めてなので、よくわからなくて。もう、バイキングって取りに行っても良いんですか?」
「良いと思いますよ? あたしも初めてで、わからないんですけど。でも、あたし以外に既に食べてる人いますし」
「そうですか。じゃあ、俺も取って来ようかな」
隣に来た男性はそう言うと、バイキングの料理を取りに行った。
(ゆっくり食べれる……)
ローストビーフを味わいながら、始まるまであと2、3分。




