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15、

「礼さんは何を買ったんですか?」

「トラウトサーモンの丸寿司と、ツナマヨのおにぎりと、ちょっとしたカップデリです。この丸寿司好きなんです」

「美味しいですよね、それ」

「はい。何も食べてなかったので、限界間近でした」

「食べてない!? 礼さん、ホテルバイキングですよ!?」


 衝撃的事実が発覚。参加費は男性の方が高かったはず。飲んだり食べたりすれば、もとは取れるけど……。


「はい。会場ではドリンクだけでした」

「礼さんの周り、女性たちが群がってましたもんね」

「そうなんです。食べたくても次々と来るので、ドリンクで凌ぎました。フリータイムは東屋に逃げたので」

「参加費、無駄になりましたね」

「無駄ではなかったです」

「そうですか?」


 ともあれ、礼さんがそう言うなら、そうなんだろう。


「さちさんは、何を買ったんですか?」

「えっと。お菓子買おうと思ったんですけど。流石に、この時間に食べると、太るので。豆腐バーとチキンスティクです」

「バジル味のチキンスティクですか。美味しいですよね」


 買った物を見せ合いながら、駅に向かって行く。すぐそこだし、そんなに急ぐ必要もない。

 この時間にやっている、駅ナカのショップはあるのだろうか。


「この時間だと、やってるショップ無いかもしれません。ただ、電車の時間にはちょうど良いです」


 礼さんがスマホで調べてくれて、駅前の信号が青に変わるのを待っていた。


「礼さんは、何で街コンに参加してたんですか?」


 今、この時間はほとんど人がいない。だから、礼さんに聞いてみた。


「何度も参加されてるって、幼なじみが言ってました」

「えっと。これは、僕の意思ではないんです」

「それはどういう?」

「僕、2つ下に弟がいるんです。弟は僕と違って、大学を卒業してからは、区役所で働いています」

「凄いですね」


 それしか出てこない。礼さんは、どこか引け目を感じているのかもしれない。

 だから、他の言葉は出てこなかった。


「その弟が、5年前に結婚したんです。今は子どもが2人いて、再来月また、1人生まれるみたいなんです。そんなこともあって、両親や祖父母が、勝手に応募してて。僕は半ば強制的に、メールアドレスと電話番号を入力させられてます」


 礼さんは、疲れたような、悲しんでいるような表情をしている。

 ため息までついているし、街コンに行くことは、礼さんにとってかなり負担なんだろう。

 でも、なんとなくだけど、フリータイムで東屋に居たことに納得した。


「結婚願望はないわけではないんです。ただ、僕の趣味や仕事を伝えると、どうしても……。やっぱり、安定した仕事じゃなきゃダメなんでしょうね。それに、趣味だって」

「同じ界隈を好きじゃなきゃ、理解は得難いと思いますよ。でも、あたしは礼さんのこと、理解できます」

「ありがとうございます。さちさん」

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