第44話 現れたバケモノ
翌日、俺はみんなを招集。
オーロラ、ネクロ、クレミアが俺の家に集まった。
ラフィネは、タルが亡くなってそれどころはない。本当は傍にいてやりたいが――ゾンビ感染した村人を治さねば。
「みんな集まりました!」
元気よく手を挙げるオーロラ。
俺含め今回は四人パーティだ。
「よし、さっそくだがプランを発表する。ズバリ……ゾンビ感染者を治す!」
「そうきましたか」
と、クレミアは少し驚く
ネクロも「勇者さますごーい」と絶賛する。
「しかし、どうやって……?」
「良い質問だな、オーロラ。ラグナゼオン帝国へ向かう」
「ラグナゼオン帝国へ!?」
「ああ。あの国にはオルジスタに並ぶ錬金術師がいる。ソイツに頼んでゾンビ治療薬を作ってもらう」
「そんなことが可能なのでしょうか」
「帝国なら秘術があるはず。行く価値はあるさ」
魔王討伐の為に世界を巡っていたあの時代。
俺はラグナゼオン帝国でひとりの錬金術師と出会った。
彼女がまだ帝国にいるのなら、オルジスタを超える特効薬を作れるはずだ。
「なるほど、それはいい考えです」
「クレミアもそう思うか!」
「ええ。帝国には優秀な人材が集められていると聞きます。あそこは女神すらも味方にするほどの国ですからね」
そう言われると説得力があるな。
ただ、ゼルファードからラグナゼオン帝国はあまりに遠すぎる。移動手段としてブラックスライムに『ドラゴン』になって飛んでもらう。
「ネクロ、またドラゴンを頼めるか?」
「うん! 任せて!」
これで決まりだ
女神アルミナに今回の計画を話し、防御結界の一部を解放してもらい俺たちは外へ。
ネクロのブラックスライムに頼み、ブラックドラゴンへ。
これで――!
『ウ、ガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
ドォンと木々がなぎ倒されるや、巨大なバケモノがこちらに突っ込んできた。
「な、なんだ……ありゃ!?」
「エルドさん、なんかデカいゾンビっぽいのが……!」
なんでいきなり現れた!
周辺のゾンビは全て倒したはずだが――いや、アレは違う。
今までのゾンビとは明らかに違う巨大サイズ。
ハルネイドのようなエグい形状をしている。
『…………グ、ウゥゥゥゥ』
バケモノは、俺だけを睨んでいた。
……俺?
なぜ俺なんだ。
「まあいい。倒すだけだ」
聖剣アルビオンを抜き、俺は構えた。
すると、バケモノは俺に明らかな敵意と殺意を向けてきた。いったい、なんだコイツ!
『ガアアアアアアアッッ!』
獣のように四足歩行で突撃してくるバケモノ。俺は剣で連撃を与え、裁いていく。
「てやあああッ!」
『……ギイヤアアアアアア!』
ダメージを与えても、バケモノが突っ込んでくる。
なんて狂暴な!
けど、それでも俺は!
「クリムゾンブレイク!」
『……ギャアアアアアアアアアア!!』
俺のスキルをまともに浴びたバケモノは、遠くへ吹き飛んでいく。
「エルドさん! アレはなんです!?」
「解からん! オーロラ、ネクロに頼んでドラゴンを出してもらえ! 空に退避しているんだ!」
「で、でも!」
「大丈夫だ。俺がアイツを倒す!」
ブラックドラゴンが現れた。ネクロがやってくれたか。
これでオーロラとクレミア、そしてネクロは安全圏へ。
……さて、あのバケモノをぶっ倒してさっさと帝国へ行くぞ……!




