第39話 勇者・聖女・魔王・魔術師のパーティでゾンビ討伐
ゼルファードの出入りは以前よりも容易になった。
ただし、現在は“村の関係者”に限る。
女神の力のおかげで住人に限り、門の出入りを許された。
住人以外は村長タルの了承があれば受け入れる形に。
モンスター系が入ろうとすると『女神の防御結界・ブリーシンガメン』に阻まれ、下手をすると塵と化す。
――という仕組みだ。
「さて、まずは近くの村へ向かおう」
「この辺りですと……そうですね、バレッサムかと」
と、クレミアが教えてくれた。
バレッサム。
そういえば、このゼルファードへ来る前にそんな看板があったな。なるほど、隣の村の名前だったんだな。
ならば急ごう。
すでに空は暗くなりはじめていた。まずいな、夜になるぞ。
これくらいの曇り具合ならゾンビも活発なわけか。
クレミアの案内でバレッサムに到着。
すでにゾンビの大群が押し寄せていた。……おいおい、何百体いるんだ!?
「こ、これは……」
言葉に詰まるオーロラ。
さすがに数が多すぎるだろう!
「やるしかないな」
「そうですね、エルドさん。ホーリークレスト!!」
早くも聖属性魔法を放つオーロラは、ゾンビの浄化を始めた。一気に減らしていくが、後方から更にゾンビが発生。
その度にホーリークレストを発動させるが、早くも魔力切れ。
「これを使え、オーロラ!」
「魔力回復ポーションですね! ありがとうございます!」
ポーション便を手にするオーロラは、蓋を開けて中身を飲み干す。魔力を回復させて、またホーリークレストを浴びせていた。
そっちは任せて、次は……おっと。
「自分もがんばりますよ」
「クレミア、君の魔法で一掃してくれ」
「了解です。それでは――ライトニングボルトッ!」
無数の稲妻が走っていく。
バリバリと轟雷がゾンビに走って、焦げていく。全身真っ黒になり果てたゾンビは塵となって消えた。
すげえ火力だな。
やっぱりクレミアの魔法は一級品だな。さすが主席。
このまま俺のパーティに正式加入して欲しいくらいだ。
彼女ほどの魔術師ははじめてだ。
魔王討伐時代だったのなら、かなりの戦力だったな。いや、今も十分すぎるけど。
「ゆ、勇者さま……」
「ネクロ、お前は何かできるのか?」
「戦ったことないので解からないです。……怖いです」
「無理に戦わなくていいさ。俺が守ってやる」
「うん」
聖剣アルビオンを鞘から抜く俺。
ネクロは俺の剣を見て怯えて――いなかった。
むしろ目を星のように輝かせ、羨望の眼差しを俺に向けていた。
怖がっていない。
魔王ネクロヴァスはビビっていたのにな。
女神の作った聖剣は、魔族にとっては致命的。恐ろしいほどのダメージを受け、ほとんど一撃死。
なので魔王も俺の剣には恐れをなしていた。
だけど、今ここにいるネクロは違っていた。
……違うんだ。
この子は違う。
「見ているんだ、ネクロ。俺がどんな勇者かって」
「わかった!」
迫りくるゾンビ。
俺は一気に移動して一体ずつ切り刻んていく。
10、20、30……50、60、70…………100!
「てやああああああッッ!!」
本気を出せば、俺だってこれくらいは倒せる。
「おー! 勇者さま、すごーい!!」
「これが俺の実力さ」
本当は闇の力の方が強いんだけどね。今はあんまり魔力が残っていないので発動できない。
『た、助けて~~~!!』
近くで女性の声が聞こえた。
ゾンビに囲まれているじゃないか!
俺は聖剣アルビオンで水属性魔法『アイスニードル』を発動し、飛ばした。
複数の氷柱がゾンビの体を貫通。動きを止めた。
すぐに女性を救出。
「大丈夫か! ケガはないか!?」
「……あ、ありがとうございます」
怖かったのだろうか、若い女性は俺に抱きついて泣いていた。
その様子をオーロラが怖い顔して俺を睨む。……怖いって。
安全な場所まで移動して、俺は女性を降ろした。
彼女は村の住人のようだが、かなり良い身なりだった。このドレス姿は、まるで貴族令嬢のような。
「君は村へ戻れ」
「もう間に合いません」
「え」
「バレッサムの人々は逃げ出して……大体が噛まれてゾンビ感染しました」
「なんだって!」
「だから、私は逃げてきて……もう、おしまいです」
くそっ、予想以上に被害は甚大ってことか。だけど、それでも村はまだ残っている。せめて生存者だけは助けねば!
残りのゾンビを全て叩き潰す。
全員の力を合わせ、ひたすらゾンビを倒していった。
かなり減ってきた。これで!!




