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追放されしNTR勇者は辺境の地でスローライフを ~聖女と共に最強の村を作ります~  作者: 桜井正宗


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第29話 女神も寝取られた勇者

 女神アルミナに部分的な結界解除をお願いして、俺は外へ。

 バケモノとなったハルネイドを倒さねば。


 結界の外に出ると、ヤツは猛スピードで俺の前に。



「わざわざ死にに来るとは、エルド! こちらとしては好都合だ」

「お前を野放しに出来ないからな。ここで倒す」


「倒すぅ!? 死ぬのは貴様だ。ティアナ姫の無念を晴らす……!」



 ハルネイドは自らゾンビ化した不死属性モンスターのはず。ならば、俺の聖剣アルビオンが効くはず。


 剣を抜き、俺は魔力を込めていく。



「お前をモンスターとして討伐する」


 突撃してくるハルネイドは、腕のような触手を複数本伸ばしてきた。素早い攻撃だが、俺は聖剣アルビオンで応戦。

 予想通り、聖属性の付与されている聖剣ならば、弱点攻撃であり効果は抜群だった。


 ハルネイドの触手が溶けていた。



「…………ぐッ!」

「ハルネイド、言っておくが俺の聖剣は女神から譲り受けたものだ」


「なんだと……!」


「ちなみに、その女神と関係を持ったことがあるが……寝取られた」



「なんだと!?!?」



 他にも沢山の女性を寝取られたことを打ち明けた。

 さすがのハルネイドも驚愕(きょうがく)していた。


 ……ああ、自分自身でも言うのもなんだが俺は“NTR勇者”なんだよな。


 世界を旅していた時、たくさんの女性と出会いがあった。だが、いずれも寝取られてばかり。その度に絶望して世界を恨んだ。

 だからだろうか、最近では闇属性系の魔法スキルが得意になりつつある。


 でも今は違う。


 俺には聖女オーロラがいる。

 確信はないけれど、アイツだけは寝取られる気がしなかった。




「話は以上だ。消え失せろ、ハルネイド!」


「……お、お前……エルド!」



 めちゃくちゃ動揺するハルネイドは、動きが完全に鈍っていた。俺が何度も寝取られていることを打ち明けて、そこまで困惑するとはな。




「隙だらけだぜ」



 俺は迷わずハルネイドを攻撃。連撃を加え、七回の斬撃を加えた。

 ハルネイドの触手が全て溶けて落ちた。



「…………ぐ、ぬ」



 ボトボトと落ちていくヤツの体。

 やはり、聖属性攻撃に弱いらしい。



「諦めろ、ハルネイド」

「馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な……! 宮廷錬金術師オルジスタの新薬は完璧ではなかったのか……!」



 やはり、オルジスタの薬で強化していたのか。だが、ここまで醜いゾンビになってはな……人間に戻ることも出来ないだろうし、腐り落ちていくだけ。



「魔王軍幹部スペクターの血なんて使っているからだ!」

「クソ……くそぉ…………」



 ハルネイドの様子がおかしい。

 ヤツの体がいきなりボコボコと跳ね上がって膨張を始めていた。


 ……なんだ!?



「まさか……オルジスタの野郎、失敗したのか……」



 嫌な予感がして俺はハルネイドから距離を取った。



「マ、マテ……エルド。タ、タスケテ……グレェ」



 巨大な肉塊になるハルネイドは、ついに大爆発して花火のように散った。……ウソだろ、粉々に吹き飛んだぞ……。


 あの薬は完璧ではなかったということか。


 これでハルネイドは消え去ったが……果たしてこれでシュヴァルク王国が無事かと言われると怪しい。


 そうだ、まだ“ヤツ”が残っている。



「……おやおや。ハルネイドは耐えられなかったか」



 木の影から姿を現す……オルジスタ!

 この野郎、ずっと高みの見物を!



「オルジスタ、てめえ!」

「ハルネイドに与えた新薬は、スペクターの血をふんだんに使用したものだった。だが、彼は爆発して死んだ。スペクターの血はそれほどまでに混沌としているのだ」



 失敗にも関わらず、オルジスタは笑みを浮かべて喜んでいやがった。この野郎、悪魔か……!



「身内を実験台にしたのか」

「彼が自ら志願したのだ。ティアナ姫の仇を討ちたいというからね」


「だからって!」


「だが残念だ」

「……?」


「ティアナ姫はまだ生きているというのにね」

「なんだって……!」


「ああ、もちろん最強のゾンビモンスターとして蘇ってもらったのだがね。近いうちにお披露目となるだろう。楽しみにしていてくれ、エルド」



 ニヤリと笑うオルジスタは、またも閃光弾ポーションを地面に叩きつけて逃走した。

 クソ、またか!!


 追いかけようにも強力な白い閃光に阻まれて動けない。



 ……まあいい、少なくとも三千の軍勢を追い払えたのだからな。




 ゼルファードへ戻ると、オーロラが出迎えてくれた。

 泣きそうな顔して俺に飛びついてきた。



「おかえりなさい、エルドさん」

「ああ、ただいま。ハルネイドは勝手に死んだ」

「ええ、見ておりました。まさかオルジスタの新薬だったなんて……」


「今後は更なるバケモノが攻めてくるかもしれん」


「きっと大丈夫です。女神様の結界もありますし」

「そうだな」



 少しすると村の住人たちが集まってきた。



「よくやってくれた、エルド様!!」「勇者様のご活躍、素晴らしかったです」「あの軍勢をよく対処してくれた」「もう終わりかと思ったのにな」「村を守ってくれて感謝じゃ」「ありがとう! 本当にありがとう!」「また明日を無事に迎えられる」




 ひとまず、ゼルファードは無事だ。


 無事だが、元凶であるオルジスタを倒さない限りは真の平和はないだろう。なんとかせねばな……。

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