第21話 ゾンビ事件から三日後
あのゾンビ事件から三日後。
ティアナ姫とハルネイドの行方は分からない。
村は復興を続け、なんとか元に戻ってきたようなこの頃。
俺は自分の家も建て、オーロラと二人で暮していた。そんな昼下がり。
扉をノックする音が響く。
「エルドさん、お客さんですよ」
オーロラはキッチンで料理をしながら俺を呼ぶ。最近、一緒に暮らすようになってから様付けされなくなった。親しみがあっていい。
もう他人って感じもしないからな。
「解かった。俺が出る」
重い腰を上げ、玄関へ向かう。
扉を開けると、そこには見知った顔がいた。
「こんにちは、エルド様」
「やあ、ラフィネ。久しぶり」
といっても、三日ぶりなわけだが。
あれから、ちょっと気まずい雰囲気だったのだが――まさか、ラフィネの方から来るとはね。
「あの、オーロラ様との生活は……」
「ああ、こっちはこっちで上手くやってるよ。ありがとう」
「そうでしたか。よかったら、このお野菜をどうぞ」
「おぉ、助かるよ」
ラフィネの家は、大きな畑を持っているようで野菜がよく取れるのだとか。おすそ分けを貰えて、おかげで食料に困らなくて助かる。
「あの、そういえば」
「どうした?」
「シュヴァルク王国で動きが見られるようです」
「……マジか」
情報によれば、ゼルファードの商人が商売のついでに情報収集をしたところ、カイゼルス王はここ数日ティアナ姫を失い、悲しみに暮れていたらしい。
だが、今日になって表に姿を出した王は全軍を招集。辺境の地ゼルファードへの総攻撃を決定したようだ。
「このままではゼルファードは滅びてしまいます……」
「ついに総攻撃か」
ティアナ姫の自業自得とはいえ、王は黙っちゃいないか。
交渉も困難だろうし、このままでは衝突は不可避。一方的な戦争になるだろうな。
多勢に無勢。
しかも、上級騎士と上級魔導士だけではない、今度はもっと別の特殊部隊も派遣してくるだろうし、まず勝ち目はない。
間違いなく、今度こそゼルファードは滅ぶだろう。
「お願いです、エルド様。どうか村を」
「任せろ。この村の管理は任せているし、見捨てる気なんてないさ」
「よろしくお願いします」
何度も頭を下げるラフィネ。
俺としても世話になっているこの村を守りたい。
「進軍まではまだ時間はあるはず。対策を考えてみるよ」
「はい。では、私はこれで」
ラフィネは名残惜しそうに去っていく。もうちょい世間話でもしておくべきだったかな。
ぼうっとしていると背後から声を掛けられ、俺はビクッとした。
「あの、エルドさん?」
「……! な、なんだ。オーロラか」
「なんだ、じゃありませんって。お昼食べましょ」
「そ、そうだな」
リビングへ戻るとテーブルには、美味しそうな昼食が並べられていた。オーロラがまさかこんな料理が得意だとは思いもしなかったけど。
席につき、俺はさっそく料理をいただく。
「どうぞ、召し上がれ~」
「相変わらず美味そうだなぁ。この卵がふんだんに使われてる料理、美味すぎだろ」
「オムライスです!」
そうそう、オムライス。
毎日のように作ってくれていた。
美味すぎて飽きる気配がまったくない。濃厚でトロトロで、ケチャップの味も絶妙だ。というか、オーロラはこれしか作っていない。
もしかして、他は作れないのかもしれないが。
オーロラの作ってくれた料理を味わっていく。
ん~~~、美味い。美味すぎる。
こんな美味いもんを毎日食えるとか幸せだ。
「また味付けが上手くなったんじゃないか?」
「料理スキルは常に向上していますからね!」
聖女が料理スキルねえ。変わったヤツだなと思いつつも、美味い飯が食えて感謝だ。
さ~て……シュヴァルク王国の総攻撃、どう対処したものかね。




