表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されしNTR勇者は辺境の地でスローライフを ~聖女と共に最強の村を作ります~  作者: 桜井正宗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/55

第15話 婚約者を寝取られた聖女 Side:オーロラ

 ――またあの悪夢を見た。



【半年前:シュヴァルク王国・ゼクスカリス教会】



 若くして、わたくしは貴族と婚約を交わした。

 それが聖女としての宿命なのだと理解して、受け入れることに。


 相手は笑顔の絶えない、優しい人だった。

 彼の名はオルバント。


 最初こそ興味はあまりなかったけれど、日に日に感情が動き出して自然に彼を好きになっていた。


 互いに好意を抱くようになり、時には辺境の地で暮らそうという将来を語り合った。



 ――けれど。



 半年後にそれは起きた。



 ある日の夜。

 ふと目覚めて教会へ向かった。なぜか胸騒ぎがしたからだ。



 扉がなぜか少し空いていて、気になって覗いた。



「…………え」



 中で誰かの気配がした。それも二人も。

 誰かと誰かが何かをしているように見えた。…………え、裸?



 そこにいたのは婚約者のオルバント。

 相手は知らない女性だった。



「あんな聖女オーロラよりも、私の方がいいでしょう。オルバント」

「……う、く。ヴァレンティナ……俺は……オーロラを愛して……いたのに」


「でも、ゼクスカリス教会でこんな淫らに乱れて、もう言い訳できないでしょ」

「あ、ああ……でも、まだ内緒にしてくれよ」

「仕方ないわね」



 え、


 え、


 な、なんで……。



 頭が真っ白になって、わたくしは立ち尽くした。どうしてオルバントはあの金髪の女性と肌を重ね合わせているの。嬉しそうにキスを交わすの……!?


 こ、これって婚約者を寝取られたってことなの……。



 うそ、そんな!



 ・

 ・

 ・



 オルバントがあんな男性だったとは。

 あの幸せな時間はいったいなんだったの……!


 わたくしは彼を全力で愛していたのに。将来を考えていたのに!




 ――幸いにも。

 オルバントと体の関係はなかった。結局、ファーストキスもなく婚約しただけの薄い関係だったのだ。


 もういい、わたくしはゼクスカリス教会を去る。



 いえ、シュヴァルク王国すらいたくない。



 街中を彷徨う途中で、勇者エルドの存在を知った。彼は魔王を倒すべく各地を巡っているという。しかも、最近は魔王軍の幹部すら討伐したという。きっと凄い人なんだ。



 わたくしもしばらく、旅に出よう。

 シュヴァルク王国を出たことがなかったし。



 そうして、わたくしは半年ほど放浪した。そのせいか、シュヴァルク王国では事件となり、聖女が行方不明だと大騒ぎになったそう。どうでもいい。



 でも、計画性のない旅だったので半年ほとで戻るハメになった。



 その帰り道で勇者エルドを発見した。

 聞かされた特徴と一致している。彼を追ってみよう。



 ◆



 ――どうやら勇者エルドは、シュヴァルク王国を追放されたようだ。

 事情はよく分からないけれど。


 なぜ魔王を倒し、世界を救った勇者にそんな扱いを?


 知りたくなった。


 シュヴァルク王国で情収集をすると、彼はティアナ姫を“寝取られた”という。



 ……わたくしと同じ状況だ。

 まさか勇者もそんなことになっていたなんて。



 商人に扮装して、彼に接近。

 この半年の旅で見つけた『辺境の地・ゼルファード』を教えた。彼はそこを目的地とした。



 わたくしは急いで先回りをした。



 きっと彼なら見つけてくれる。

 そして、わたくしが彼を導く。今度こそ真の幸せを手に入れる為に。

面白い・続きが読みたいと感じましたら

↓にある★★★★★を押していただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ