3話 セミ妖精とオホ声の森
3話です。
がんばれがんばれ!
「はあはあ、ったく一時が万事とはこのことだな」
「ごめんなさい、時計はないのよこの世界」
「?」
「?」
「ルナ、きょとんとした顔がかわいいな」
「なっ、ばかっ!!ポーションかけるわよ!?」
「ハハハ!」
そんな感じで逃げてきた俺たちは
準・迷いの森?いやー、森っていうには小さいけれど
林って言うにははばかれる‥‥みたいな位置にあるイソ・ジンの街から
ちょいと離れた森?にきていた。
「ああ、サイクロプスの森よここは」
「おい、なんか強そうな魔物がいそうな森じゃないか」
「大丈夫、サイクロプスがいたのは半年前だから」
「結構近々でいたんじゃねえか」
「11番目の改造勇者が倒したのよ」
なんか聞いたことのあるワードだが…まあいいか
「でこれからどうする?」
「どうしようかしら‥‥」
え?マジでどうするんだ?
そもそも俺は、何をするんだっけ、確か…
「三人の幼女をお嫁さんにする」
「ていっ」
ルナの鋭いパンチが俺の穴頭に刺さる
「いってえ~なにをする」
「あんたが不適切な事を言うからよ」
「何が不満だ…この世界でたった二人になれば
否応なしに俺が欲しくなるんだぞ?」
「なにその怖い発想…あんたサイコ?」
そこで俺はニヒルに笑う
「ああ、サイコーさ」
まったく‥‥こんな俺を目の前にして
再びおしっこ漏らすなんて
もったいないから葉っぱで作ったコップにとっておこう。
「いま、わたしはいろんな感情をおしっこに乗せて排泄したわ」
もう大丈夫、と言いながら再び脱いだパンツを
木の枝の先端にきっかけるルナ
この光景も2度目だな
俺たちもうただならぬ二人って感じか…
思えば遠くまで来たぜ
「遠い目をしてるところ悪いけれど、なんかあんたとやっていける自信がないわ」
「そういうことを素直に話してくれるだけで、
俺たちは理解りあえていってるんだぜルナ」
嘘じゃない、これは俺の本当の気持ちだ
断じて理想のいい男を演じているわけじゃない
例えば今、俺のこの世界の肉体年齢は18そこそこだけれど
40代半ばで紅茶のにあうダンディなおじさまになるとしよう。
その可能性は50%
しかし、あと50%は筋肉ムキムキの、
片目に傷のある戦える漁師になっている可能性もある
まさにシュレティンガーの、俺。
「どっちにしても俺はお前が守るよ」
「‥‥何がどっちにしてもかわかんないけれど、
私があんたを守んなきゃいけないわけね」
あ、まちがえた…
でも守ってくれそうだからこのままでいいか。
「確かにあんたが死なないよう
改造勇者につくようにお告げがあったけれど…
そこはお互いが守りあう的な王道のセリフを言ってよ」
私だって女の子なんだからね…
そう言ってルナは溜息を吐く
そんな顔されちゃあ、無理ない範囲で守るしかないじゃないか
「わかったよ、お前は俺が守ってくれ
俺もお前を守る…そして大きくなったら結婚しよう」
「結婚なんてしないわよ!
それに私はこのサイズで成人!これ以上大きくなんない!」
なんだ、大きくなんないのか。
「それよりこれからどうする?」
「はあ…この森に沿って東に行くと小さな村があるわ。
英語で言うとスモールビレッジよ」
もはやこの世界では英語なんてどうでもいいが、
ルナの一言で思いついたことがある。
「なあ、門番のカイとリオールって
買い取りオールって意味にとれないか?」
「なんでも買い取りますって?馬鹿ね」
そういってルナはくすりと笑った。
俺は小説家ーらららー
発泡酒ともつ焼きーるるるー