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2話 セミと街とショッピング

2話です。

もう少し辛抱しましょう。

「イソ・ジンって街があるわ」


セミことツクツク改めルナは

せわしなく羽根をはためかせ俺の目の前を飛びながら言った


ああ、今俺たちがいるのは

でかい異世界・ビッグシビック大陸のちょうど中央に近い

ヘ-ゼント平原というあたりらしい


平然とねえ…突っ込むまい

「平然と平原なんて笑えるわね」


こいつ平然と突っ込みやがった、しかも真顔。

「で、このボーゼント街道を南に行くと、あるのよ」


何がって…


「イソ・ジンって街が」


この世界大丈夫か?


「で、その街を守っている門番の兄妹、何て名前か知ってる?」

にやーっと笑いながらルナが振り返る

なんだろう、テアライとウガイかな…


「カイとリオールなのよ!そこだけ普通!あはははっ」


そう言って大爆笑しだしたルナ


わっ冷てえ

なんか飛んできたぞ!?


「あははっはっ、ダメ!笑いすぎておしっ」


こいつ‥‥こんな時どういう顔すればいいんだよ。

「はーっ、はーーっ笑った…あっ、さっきのは涙だからね」


俺は腕で顔のしょんべんをぬぐってにおいをかいでみた。

なんかミントみたいな臭いするな。


ペロリ…


その瞬間体から倦怠感がスーッと消えた


「ああ、いい忘れたけれど私たちニイニイ科目の妖精の

 おしっ…涙は最高級ポーションなんだからね!」

どうやら相当レアな種族らしくて、世界中の貴族や盗賊や

セミマニアの好事家達に狙われているらしい。


「あ、今ので肝臓がんが治ったみたいね」


え?俺がんだったの…転生した肉体病みすぎだる

まあ治ったからいいけれど。



そんなことを話しながらルナのパンツを乾かしながら歩いていると

街道の草むらから何かが飛び出してきた。


「ホブリムね」


ホブリム…ゴブリンの劣化種レッサーゴブリンのさらに弱いホブリン、

それよりも弱いのでゴブリンに擬態した歩行型植物

それがホブリムらしい


正式名はハクシャクダケ。

なんでも大昔の伯爵に成り代わって国を治めたことがあるというおとぎ話があるとかないとか…

そんなことを語っているうちにホブリムは

ルナの手によってキノコ焼きにされていた。


「私はトレルのルーを扱える種族だからね」


ルーはアピタ語で魔法、トレルは灼熱

めんどくせえので覚えないことにした。


どうしても必要な時に覚えるわ。

そんなこんなで街の入口まで来た


「あ」


門目前でルナが声を出す


「どうした?」


「忘れてた、ステータスって言ってみて」

「ステータス」


何も出ない


「何も出ないでしょ?」

「出ないな」


「出ないのよ、この世界

どう?」


「どうって言われても…なんかステータス見れる石板とかギルドにあるんだろ?」

「ないのこの世界…どう!?」

鼻息を荒げて聞いてくるルナ


「どって言われてもな…どうやって強さ測るんだ?」

「どうやって図ると思う?」


ルナがにやーっと笑う


「え?試しの石…とか?」


「ばっかーーーー!石なんてあてになるわけないじゃんあはははっ!」


こいつ…羽むしってやろうか


「正解は、ギルド長がなんとなく決めるでーす!」

あー、なんか途端につまらない世界だ‥‥

数値で強さが見えないんじゃ成長を実感できない

ところでなんで今その話をした?


「だって、街の中を見てファンタジー世界に胸躍らせた後に知ったら

もっと落胆するでしょ?」


確かに‥‥こいつなりのやさしさだったか

ったく…よくわかんないことで笑うわ、しょんべんまき散らすわで

そのうちパンツを質に入れてやろうかと思ったけれど

それなりに考えてくれてたんだな。


「そのやさしさ、歌にのせてやるよ」


「は?」


俺はこいつの優しさと切なさと心強さを

アイスクリームの歌にのせて歌った。


【やさしくてごめん】


歌:セイゴ

歌詞:セイゴ

手拍子:セイゴ


子どものころから愛国心があったー


世界に嘘があるって知っていた

だから涙したし買い出しにも行った

お母さんが喜ぶふりをするからー


嘘でもいいからコロッケ買っていいって言って?

裾でもいいから踏んで引き留めていって?


ねえ 愛してる

マジで五分で愛してた

(愛してたんだから、でも、軽薄だね)


なあルナ そんな顔しないで

お前の笑顔は月のようだ

そう言ってほしくてそんな名前なんだろう?


分かってるから

俺だけはわかってるから

月の表面みたいに醜い心

(さらけだせよ、だって、明白だろ)


明日決めようーRARARA~





俺は心を込めて歌った

この世界にきて短かったけれど

俺は確かに異世界転生をして

異世界の世界の空気を吸っている…!


そんな当たり前で奇跡のような事を

今気づいたんだ!!


これから何が起こるかわからないけれど、

次の瞬間にはなんかよくわからない魔法でよくわからないヤツに

殺されるかもしれないけれど…!


だからこそ!今歌う!

俺の歌を聞け!

そして死ね!


そこのお前だーーーーー!


指さした先には中年の二人の門番がいた。


「えっと、リドリーとスコット?」


「馬鹿ね!エリックとクラプトンよ」


「カイとリオールだ!!」

「なんだお前ら、怪しい奴らめ!こっちへ来い!」


「やっべ」

「逃げるわよ」



こうして俺たちはイソ・ジンの街に行けず

妖精と街でショッピングは幻のイベントとなった‥‥


足冷えてきたなー。

ハロゲンヒーターオンしたい。

ハロゲンっていい響き。

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