17話 麺が見えなくなるくらい背油振って!とアビスが言った
書いてみたかったんや…小説書いてみたかったんや…!
ホルモン食いながらビール飲みながらあの日泣きながら
そいうった君の涙は汚い。
翌朝、俺たちは大聖都の宿、
『コンドールに襲われたオポッサ亭』で元気に目を覚まし
朝食をとっていた。
カウンターにある傷だらけの剥製がオポッサだろうか、ノンフィクションなのか
この宿の名前は。
「今日は他の勇者に会いに行こうと思う」
そう、俺はなんだかよくわからない
勇者から発信され、勇者にだけ届くダイレクトな迷惑メッセージを聞いて
ここまで来たのだ。
あの俺にしか届いていない声。
俺の頭が、地球外生物からのメッセージを受け取ったと思い込んでいる
かわいそうな頭じゃないことを証明するためにだ!
「俺は、おかしくなってなんかいねえぞ!」
「急に叫びだす人間は充分おかしいぞ」
「だよねー」
アビスが昨日からずいぶんと俺に意見するようになった。
ちっ、ラーメンを食べさせて好感度を上げすぎたか…
今度ゾゾゾの干物ばかりを与えて好感度コントロールせねば。
「まあとにかくだ、ルナ
勇者の穴ってのはどこにあるんだ?」
「なによ穴って‥
まあ、いるとしたら大聖教会でしょうね」
大生協会?
生体エナジー協会とか農協みたいな感じか
公民館的なところにでもいるのかな。
「ばっか!街に入るときに見たでしょ?
中央にある超巨大な教会よ!」
「みてねえよ、俺はラーメンのことしか頭になかったんだから」
「ラーメン…」
アビスはいちいちラーメンに反応するな。
「とにかくご飯を食べて、食後のお茶を飲んで、日向ぼっこしたら行ってみましょ」
「そうだな、いつまでに来いとか言われてなかったしな」
「昼はラーメンならば異論はない…」
そんなわけで昼はラーメンに決まった。
そして大聖協会前…
「おいおい、こりゃ教会っていうより城じゃねえか
教会風の城じゃねえか東京ドーム何個分だよ」
「この大きな街の十分の一は教会の敷地だからね、だから大聖都って呼ばれてるのよ」
「なあ、私は行かなくていいか?」
そういえばアビスの顔色が悪い。
ねじ式の主人公のように片手を抑えながらうつむいている。
まさかメメクラーケンに刺されたんじゃ…
「あーっ、そうよね瘴気を身にまとっている半分魔人みたいなアビーには
教会の精霊石結界はきついかも」
ルナが勝手に愛称をつけていることはともかく
俺は気になることをルナに聞いておかなければならなくなった。
「なあ、アビスって結局何人なんだ?」
「なにって…昨日聞いたじゃない!」
「こいつは…朝食の時にいなかった…」
「あっ、そうだわこいつ二度寝してたんだ!
セイゴが屋根裏で寝がえりうってる間に話したのよ!」
「屋根裏じゃねえよ
…どうやら俺抜きの勇者会議が行われていたようだな。
アビスの体調も悪そうだし、ちょっと離れて詳しく聞かせてもらおう」
そうして俺たちは
成金テンプル城から少し離れた、おしゃれ喫茶で
パンケーキと紅茶を飲みながら、アビスの正体についておさらいをした。
「要するにだ、えーと…パンケーキうまいなモグモグ…
よし、俺がわかりやすいようにお魚さんに例えて確認するぞ」
あるところに準絶滅危惧種のお魚がいた。
お魚は大きな魚に食われないように逃げた結果、
汚ねえ池にたどり着いた。
池は汚ねえので仲間はバタバタ死んだが
生き残ったお魚は汚水の耐性を得ていた。
そうして汚い池…もう道頓堀でいいか。
道頓堀フィッシュは長いことそこに隠れ住んで
生きながらえていた。
むしろ自分たちで毒素を出し
ちょうどいい具合の汚さをキープするにまでなっていた。
もはや奇麗な水では生きられぬ
かわいそうな新種になっていたのだ。
しかし大手ゼネコン魔人建設が大量の汚水を流し始めた。
汚水耐性のある道頓堀フィッシュもこれには耐えられず
デモをするが、ゼネコンは聞く耳を持たない。
どうしても止めてほしいなら
わが社を潰そうとしている
環境省の幹部勇者を暗殺してこいと言われ
お魚は暗殺へ向かった
だが勇者に敗れ、一匹になったお魚は
勇者に下ったいまここ。
「ということでオーケー?」
「何を言っているか全然わからん…」
「どおとんぼりって汚いの?」
わっかんねえかなー
絵でもかいてもっかい説明してやろうか。
「とにかくアビスの故郷である死の谷に
大きな魔障の穴があるっていうのは勇者たちに報告ね!」
ルナが勝手にまとめだしたが、
「そういえばこいつpH調整するために自分で瘴気出してんだよな
街中にいて平気なの?」
確か瘴気に触れると正気じゃなくなるとか…ふふ。
「ダジャレじゃないからな。」
「ダジャレ?よくわかんないけれどそれは心配しないで
風精霊の指輪で漏れないようにしてあるから。」
「何それ聞いてない」
「今言ったわ!」
さよけ。
とにかく都合のいい不思議アイテムがあったので
貸しているらしい。
「本当は、おならをしたら全部自分に返ってくるっていうジョークグッズだったのよ
妖精王オベロベロン様はくだらないアイテムを作る達人なのよ!あとすごい女好きよ!
あー、思い出したら殴りたくなってきた」
まったく情緒が安定しない妖精だ。
「じゃあ今日はどうする?アビスは体調悪そうだし
宿に帰って寝る?」
「いや…ラーメンを食べれば元気になる」
風邪の時に好物ねだる子供かよ
「じゃあもうちょっとここで
ダラダラしてからラーメン食いにいっか!」
「賛成ー」
「異論なし、ラーメン…ふふふ」
そんなわけで今日も勇者たちへ会いに行きませんでした。
ラーメンは今日もおいしかったです。
スーパー銭湯のサウナでコロナもらいました。
ヒント:王様と王妃様




