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16話 街がきれいとか大きい建物ね!とか疲れててどうでもいい

ラーメン大好き。

たまに無性に食べたくなる家系とか

比較的いつでも食べたいさっぱり煮干し系とか

そう、どうでもいい。

おれは結局、ガタガタ揺れる馬車の中で

2時間半くらいずっと話しっぱなしだったので

とても疲れていた。

尻が痛い、腰が痛い、その痛みをかばおうとして体がこわばり

全身が痛い。


早く移動手段を手に入れなければと、この時本当に思った。

ドラゴンとかじゃなくていい、揺れなくて静かなら…


「なあ、ルナおまえ電気自動車って知ってる?」

「デンキ?なんそれ」


ダメ元がダメになっただけだった。


日本に帰りたい…

あそこには自動車とラーメンがある。

あと、こんな俺でもできる仕事がある…

いや、続かなかったから死んだのか。

じゃあしゃあねえな。


「ルナ、ラーメンって知ってる?」


俺はダメ元で…


「ラーメンは知ってるわよ!」

「おいマジか!!!」


俺は転生して一番大きな声を出していた。





『ラーメン庵野』


それがこの世界にあるラーメン屋グループの名前だ。

なんでもごくごくまれに、この世界に次元の壁を越えて迷い込んでしまう人がいるらしい。

マレビトと呼ばれるその人たちは、この世界に異文化を持ち込んでくれる神の使いとして

重宝されるんだとか。


そんな中、約三十年前にマレビトった庵野夢昭というおっさんが

この世界でラーメン屋をはじめた。

なんだか相当苦労したらしいが、かなりのクオリティでラーメンを再現し、

いやもう説明いいや。


「当然ここにもあるんだよな!?」

「ラーメン庵野でしょ?あ、あるわよ」

「行くぞ、すぐ行こう。」


ラーメンと聞いちゃあ是も非もえよ。

とにかく俺はラーメン屋へ急いだ。

街の風景とか目に入っていなかった。


だから気づかなかったんだ…

早足で歩く俺のすぐ横の路地裏で、一人の少女が

攫われそうになっていたことになんか。




そして俺たちはラーメン屋に着く。


和風の門構えに、看板にはこれまた日本語で

『ラーメン庵野』の文字


そしてその店の前には30人ほどの行列。


「おいーーー行列!」

「いつもこんなもんよ、ラーメンはとても人気なんだから」


ううーーー、これは…

うーーーん、どうしよう…いや、答えは決まっている。

しょうがない並ぶかあ…


俺は最後尾に並ぶ。

「ねえ、ラーメンってセイゴの世界の食べ物なの?」

今更すぎる質問をしてくるルナ。

「ああ、ラーメンは中国料理をパクって

日本で独自の進化を遂げたソウルフードだぞ。」

「ふーん、私食べたことないのよね、楽しみだわ!」

「ああ、俺も楽しみすぎて心臓がはじけ飛んだぜ。」

「食べる前に死んでるしー」

はははと笑う俺たち二人に陰気な声がかかる。


「おい、宿はとらなくていいのか…」


「アビスよ、ラーメンと違って宿は逃げねえよ食ってっからにしようぜ」

「ラーメン屋とやらも逃げないと思うが…まあいい」


俺は地球でのラーメンうんちくを話しながら列が進むのを待った。

「つまり、一つの完成された世界なのよ。

枯山水。ナルトが太陽のアルカナを意味し、メンマとチャーシューが…」

「あっ、もうそろそろ入れそうよ!」

「おっ、この時を待ったぜ!」


「いらっしゃい!」

店内には手狭なカウンター席が7つ。

そしていかにも日本人面の髭の大将がラーメンの湯切りをしていた。

「ラーメン三つ!」


「あいよ!」


‥‥俺の旅は終わった。

いろいろなことがあったけれど、俺はラーメンをすするためにこの世界に

導かれたんだと思う。

楽しかったこと、苦しかった事、役立たずの政治屋どもみんなデスノートで死ね!

って思ったこと。

どれもこれも、このラーメンの味の前には霞のごとき薄らどうでもいいこと。


おいしいさなくして正義なく、正義なくして平和なし。

ああ、すべてが満ちてゆく。

ラーメン、好き。



「ありがとございましたー!」


俺たちはラーメン屋に勇者のサインを残し、後にした。

「おいしかったわね!私、今なら世界中の誰よりきっと優しい気持ちになってるわ」

「まあ、本気の数だけ涙見せたけれど…うまかったなあ!」

「悔しい…こんなうまいものがこの世界に」


アビスは泣いていた。

おいしくて泣く奴初めて見たよ。

よっぽど粗末なもん食ってたんだな。

「また連れてきてやるから」

「ああ…頼む。」


こうして俺たちはラーメンを通じてほんのちょっとだけ絆を深めた。


さて、日も暮れてきた。

そろそろ宿とって寝るか。

え?週に3食食べると寿命が縮む?はは…マッカーサー

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