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15話 君の名は(笑)

久々の投稿はときめきすら色あせて、僕のセピアは夢見る少女すらいとわない。

昼時をすぎようやく落ち着いた

『ティンアナゴとハマビノス亭』、俺たちは遅いランチをとっていた。


今日のご飯は

ゾゾゾの照り焼き。


ゾゾゾは気持ち悪い生き物だったので描写は省く。

クセ強おいしくはあった。



「それで、ラクリスさんは村の瘴気を消すことを条件に

 魔人に手を貸していたのね」

「ああ…」


なんか話しているが、俺はあんまり覚える気はないので

話半分に聞きながら飯を食っていた。

囚人はラクリスという名前。ふんふん、覚えたが2.3時間後には忘れる自信があるな。

しかし、このゾゾゾ

歯ごたえとぬめりがなんとも癖になるな。

コリコリィ‥‥

ヌメヌメェ‥‥


「で、セイゴ。この娘どうする?」


急にルナが俺に話を振ってきた。

ん?どうするって…


「大聖都で犯罪者として渡すけど?」


………


なんだこの沈黙は。


「勇者君、話聞いてたよね?」

あれ、カロリーヌさんの顔が怖い。

俺なんかやっちゃいました?


「少し聞いてました」

難聴系主人公よろしく俺は正直に言った。


そうしたらみんなが溜息を吐いて

こいつは勇者じゃないとか

さっさと店から出てってほしいとか

腐ったキョよりひどいに臭いがプンプンするぜ、とか言い始めた。


「さっきから黙って聞いてりゃ、なんか、ひどいな!」

「ひどいのはあんたよ!」

ルナのスリッパ攻撃!しかし小さいのでダメージは皆無!


「いい?ラクリスは村を守るために魔人に利用されたのよ!?

いわば被害者!そんな娘を突き出すっていうの?」


「いや、俺殺されそうになったからそいつ加害者だろ」

「うぐーーーーっ!」


僕はどや顔でそう言った。

勝った!


何か言い返そうとしたルナ、しかしそれを遮り


「…確かにそうだ、私はそれで構わない」


当の囚人がそういったのだ。

ならこの話はここで終わり、そろそろ大聖都にむかおうじゃないか。

なんでも馬車で2.3時間でたどり着けるらしい。

そのころにはクラリスとやらの名前も忘れているだろう。

人は忘れるから生きてゆける、ってなんかのアニメでも言ってたしな。


ガタリ、

カロリーヌさんが立ち上がる。


「勇者君」


そういって俺のすぐそばまで歩いてきた。

「あなた本当に、それでいいの?」

手にはギザギザした骨製のナイフが握られていた。

「それで後悔しないの?」

がりがりとテーブルの淵を削りながら。

「そこに…愛はないの?」


たぶんないが、流血はありそうなので俺は

いかにも愛、というものを思い出したような顔で

カロリーヌさんを見つめる。


「カロリーヌさん…」

「私の名前はカナロアよ」


ああ…俺またやっちゃいました。


そのあと俺は土下座して、なんかもう俺が床に頭をこすりつけているうちに

囚人ことラクリスは俺のパーティに加わることになっていた。


やったね勇者、俺の決定を待たず仲間が増えたよ!



そうしてペコペコしながら

『ティンアナゴとハマビノス亭』を後にする俺たち、

いや、正確にはペコペコしているのは俺だけであったが。


でもなんだかんだで笑顔で見送ってくれて

干しゾゾゾをくれたんで、いい人だった。

いい人だったよな?





「でさあ、ラクリスだっけ。

なんかお前の名前覚えづらいんだよ」


ガタガタと大聖都への馬車に揺られながら

俺はさっそく第零回・勇者会議を開催することにした。

零ってかっこいいよな。

もう技とかぜったり零式とか付けるって決めてんだ。


「覚え、づらい…?」

なにかそんな事、はじめて言われたってような感じの顔をしているが


「そう、なんかさラクリスって感じしないんだよ。」

こいつ、白髪で釣り目で三白眼で不愛想で、なんか

触れるものみな傷つけるっていう顔してんだよな…


「ジャックナイフ」

「?」

「今日からお前ジャックナイフでどう?」


「…そういう偽名を名乗れ、ということか?」

「そうそう」

「断る!」


「なんでだよ、この冴えないセミ妖精だってルナって偽名使ってるぜ」

「冴えないって何よ!それに彼女になったつもりはないわよ!?」


彼女なんて一言も言ってない。

それより、ほんとに俺が覚えられなんだよね俺が。

ビジュアルイメージと名前がしっくりこないと

俺の未発達な脳が覚えてくれないんだ。

もうそういう病気なんだ、助けると思って名前を変えてくれ!

というようなことを1時間半におよんで

つらつらと説得した結果…


「それでは厳正なる候補の中から決まったのは、アビス!拍手ー」


ぱちぱち…


ルナと俺、そして馬車に一緒に乗っていた人のよさそうなおじいさんが

拍手をしてくれた。

ありがとう!


「ちっ、好きにしろ」

「好きにするさ、よろしくなアビス!」


そうしてすっきりした俺は話し疲れたので

ボーっと景色を見ていた。


「いや、交流を深めなさいよ!」

「疲れたんだよ、大聖都について宿とってからでいいだろ。」

「そうかもしれないけれど…」

「あのなー」

俺はルナに、お前は常識にとらわれすぎだとか

話し合うことがすべてじゃない、むしろこういう静かな時間が

互いの関係を深くするんだ、みたいなことをつらつら1時間くらい話していたら

馬車は大聖都についてしまった。


はあつかれた。


仕事が忙しいんじゃよ。

お前さんもかえ?ひっひっひっ…

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