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白き巫女と蒼き巫女【改稿中】  作者: 高階 桂
第三章 タナシス王国編
97/145

97 噂との競争

 リュスメース王女とハルントリー王子の治療役としてコーカラットを残し、夏希は王宮を辞去した。今回の一件に関し、早急に詳細な報告書を書き上げ、マリ・ハに送らねばならない。

 多数の護衛……夏希が怪我ひとつしていないことを知って嬉し泣きしたアンヌッカを含む……に守られて宿舎に戻ると、さっそく拓海が駆け寄ってきた。

「おお、無事だったか。噂じゃ、あんたも死んだことになってたが」

「なによ、それ」

「憂国の士が憲章条約外交団団長を含む四人を殺害、という話だったからな」

「亡くなったのは、確かに四人だけどね」

 夏希は、事件の詳細を拓海に話して聞かせた。

「……その場に俺がいたら、間違いなく殺られてたな」

「でしょうね。で、黒幕はやっぱり西部同盟かしら?」

「ま、茶でも飲みながら推理しようや」

 拓海が、テーブルに夏希を座らせた。リダが、お茶のセットを運んできてくれる。

「ありがとう」

 夏希は、礼を言ってカップを受け取った。そこで、自分の手が小刻みに震えていることに気づく。

「……今頃になって。おかしなものね。火かき棒振り回していた時や、コーちゃん手伝って手術していた時はしっかりしていたのに」

「よくあることだ。人間、便利にできてるんだよ。肝心な時は、精神が肉体をむりやり制御しちまう。ある種のオーヴァーライド状態になっちまってるんだ。気にするな。で、刺客の正体だが、おそらくは西部同盟のスリーパーだろうな。つまりは、休眠工作員だ」

「何食わぬ顔で何年も前から王宮勤めをして、機会をうかがっていたわけね」

「そうだ。個人が勝手に動いたにしては、タイミングが良すぎる。リュスメースを殺傷する意図がなかったこと、自害の前にタナシス王国とオストノフ国王を賞賛したことから見て、犯行をタナシス愛国者が憲章条約外交団を襲った、という形にしたかったに違いない。事前に流布していた噂も、今回の黒幕と同じ奴が流した可能性が高いな」

「憲章条約はタナシス王国を加盟国とすることで、その解体を図るつもりだ。だから愛国者がそれを阻止するために、外交団を襲った、ということね」

「そうだ。タナシス王宮での不祥事となれば、タナシス王国と憲章条約の外交問題に発展するからな。両者の仲がこじれれば、もっとも利益を得るのは西部同盟。まず間違いなく、黒幕は西部同盟の連中だ。こうなると、ササウの和平提案も、怪しいな。おそらく、一枚噛んでいるに違いない」

「ならば、その意図を挫くためにも、タナシスとの関係を悪化させないようにしないと」

 夏希はそう言った。拓海が、大きくうなずく。

「リュスメースが負傷してくれたのは、気の毒だが使えるな。外交団長の命を身を挺して救い、自らは瀕死の重傷を負った王女様。そして、その救命に尽力した外交団所属で、団長の個人的な友人でもある魔物。このあたりをうまくアピールすれば、災い転じて福をなす、という芸当も可能だろう」

「わかった。そのあたりも盛り込んで、報告書を書くわ」

 お茶を飲み干した夏希は腰を上げた。

「頼む。俺はもう少し街の噂を調べてみるよ。敵の出方をつかめるかもしれん」


 自室にこもり、アンヌッカに口述を筆記させて、報告書をまとめ始めた夏希だったが、三分の一も進まないところで邪魔が入る。

「夏希、旅支度だ」

 部屋に頭だけ突っ込んできた拓海が、ぶっきらぼうに告げる。

「どうしたっての?」

「宣伝戦でこちらは三歩くらい遅れてるぞ。街の噂で刺客のリーダー……例の自害した士官の詳しい経歴まで出回り始めている。清廉潔白。低い身分からの立身出世。愛国の憂士。犯行理由はタナシス王国解体を目論む憲章条約の陰謀を打ち砕くため、だそうだ。自宅から遺書兼檄文も見つかったらしい。内容は、どうせ愛国の情と憲章条約に対する弾劾を綴ったものだろうな。よくあるパターンだ」

「でたらめもいいとこじゃない」

「だから宣伝戦なんだ。真実からどれほどかけ離れていようが、信じてもらったほうが勝ちなんだよ、宣伝戦は」

「わかった。で、旅支度って、どこへ行かせようと言うの?」

 口述をあきらめて立ち上がった夏希は、ため息混じりに訊いた。

「もちろん、マリ・ハだ。報告書じゃだめだ。あんたが直接総会へ乗り込んで説明しないと、収拾がつかなくなる」

「そりゃ、団長として代表二人が死亡、一人が重傷なんだから、説明責任はあると思うけど、現状ではリスオンに留まって、タナシス王国との関係悪化を防ぐほうが大事じゃないの?」

「その意見には賛成だが、事態は急激に悪化しそうなんだ。襲撃の模様について、噂がひとり歩きしている。リュスメースが負傷したのは、外交団長が刺客に向け突き飛ばしたからだ、とかね」

「……信じられない」

 一瞬だが、夏希の血が怒りで沸き立った。リュスメースは、自らの命を危険に晒してまで、夏希の身を守ってくれたのだ。このような根も葉もない噂、夏希はもちろんリュスメースの必死の気持ちさえ踏みにじることになろう。

「それと、結構詳細な襲撃に付いての情報も漏れ出している。あんたの説明と、多少食い違うところもあるがね」

「それが、事態の悪化につながるの?」

「ああ。急がないと、噂のほうが先にマリ・ハに着くおそれがある。そうなれば、総会でタナシス王国非難決議が出されちまう。血の気の多い奴なら、タナシス王国に対する報復を唱えかねないしな。その前に総会で、この一件は西部同盟の陰謀だと当事者でもある外交団長のあんたが説明し、各国に納得させる必要がある。それと、噂が先に高原に到達するのは絶対に避けねばならない」

「高原に? そりゃ、氏族長が暗殺されたんだから、高原じゃ大騒ぎになるでしょうけど」

「大騒ぎどころじゃ済まないんだな、これが」

 拓海が、ため息をつく。

「高原通として言わせてもらうが、高原戦士にとってもっとも屈辱的なのは、鉈すら持っていない状態で惨殺されることなんだ。今回は、相手が異国人、場所が外国、殺害されたのが氏族長、しかも憲章条約総会で指名された正式な外交官で、高原代表の肩書き。さらに、絶対安全と思われた王宮内でのだまし討ち。おまけに鉈どころか、ナイフ一本、棒切れ一本さえ持たぬ完全な丸腰。麻雀で言ったら、三倍満くらいだな。ユーロアン氏族だけじゃない、高原の全氏族が激怒し、復讐を誓うだろう。彼らに火が点いたら、止めようがなくなっちまう」

「よくわかったわ。確かに、報告書書いてる場合じゃないわね」

「船の手配は俺がやっておく。タナシス王国との折衝も、あんたの部下と俺で何とかするよ。アンヌッカと一緒に、一刻も早くマリ・ハに戻るんだ」



 港町アノルチャ目指し、夜間も止まらずに川船を走らせる。

 アンヌッカと二人の部下、それにわずかな護衛とともに川船に乗り込んだ夏希は、この時点では噂との競争をかなり楽観視していた。今のところ、南の陸塊と北の陸塊の民間交流は不活発である。貿易は行われているものの、そのほとんどはラドーム経由だ。しかも、ラドーム問題の影響でタナシス本国-ラドーム間の交通は以前よりも激減している。このような状態で噂が南の陸塊まで広まるには、何日も掛かるだろう。

 河港で船を降りた夏希は、部下と護衛を引き連れて海港へと文字通り駆けつけた。船頭ごと小舟を借り、内港内に停泊しているオープァ船に乗り付け、緊急出港を指示する。

「それが、団長様。今朝方から船長の姿が見えないんです」

 恐縮して頭を掻きながら、中年の水夫長が言う。

「……どうせどこかの売春宿にでも潜り込んでるのでしょう。誰かやって、連れてきなさい」

 鼻にしわを寄せて、夏希は命じた。男の生理というものは頭では理解しているが、売春がらみとなるとどうしても嫌悪感が先に立ってしまう。

「いえ、心当たりの場所はくまなく探したんですが、それでも見つからないんです」

 さらに恐縮し、揉み手をしながら、水夫長が答える。

「なら仕方ないわね。船長は置いてゆきましょう。副長は、どこ?」

「それが、副長も航海長も、朝から行方不明で……」

「なんですって? ねえ、そんなこと、しょっちゅうあるの?」

 なんとなくいや~な予感に襲われた夏希は、語気鋭くそう訊ねた。

「いえいえ。初めてのことです。あっしはかれこれ十年近くこの船に乗り組んでますが、あの酒好き船長ならともかく、愛妻家の副長や真面目な航海長が行方をくらますなんて、初めてですわ」

 腕をぶんぶんと振り回して否定の仕草をしつつ、水夫長が言う。

 ……これも、西部同盟の差し金か。

 ありえない話ではないだろう。拓海の推理が正しければ、自害した壮年の士官は、若い頃から正体……潜伏工作員であることを押し隠し、何食わぬ顔で王宮で精勤を続けていたのだ。西部同盟の工作部門は、時間的にも規模的にもスケールの大きい物に違いない。そのいわば『闇の力』がここアノルチャまで及んでいたとしても、なんら不思議はないだろう。今頃、船長と副長と航海長は、どこかで簀巻きにされて監禁されているのか。いや、場合によっては重しに石でもくくりつけられて、アノルチャの湾内に沈んでいるのかもしれない。

「あなたでは、船を動かすのは無理かしら?」

 ため息混じりに、夏希は訊ねた。

「動かすだけならできますが、航海士がいないことには外洋の航海は無理です」

「そう。じゃ、一緒に来て」

「どうなさるおつもりで?」

「まずアノルチャ市当局に船長以下行方不明乗組員のことを届けます。その次に、船を探すわ。ラドームまで行ってくれる船をね」


 ラドーム行きを承諾してくれる船は、なかなか見つからなかった。いまだラドーム問題は片付いておらず、下手にタナシス本国の船が近づけば、『ラドーム王国』によって拿捕抑留されるおそれがあるためだ。

 仕方なく夏希は、作戦をアノルチャ-ラドーム間の航海に慣れている航海士探しに切り替えた。こちらは、すぐに見つかった。船長経験者を含め、多数が名乗り出る。経験を積んでいそうな七名を即座に雇い入れた夏希は、彼らを率いてオープァ船に戻った。急ぎ船員たちに引き合わせ、船長代理を指名し、出港準備を行わせる。

「半日無駄にしたわ」

 アンヌッカ相手に、夏希は愚痴った。

「まだ噂には先行していますよ。ここまで届いていないようですし」

 アンヌッカが、言う。夏希はうなずいた。『憲章条約がタナシス王国の解体を目論んでいる』などという噂がここまで届いていれば、オープァ船に雇われようというタナシス人航海士など、誰一人名乗り出てくれなかったはずだ。

 幸いなことに、出港準備は順調に進んだ。夕日で帆をオレンジ色に染めながら、オープァ船は静かにアノルチャを出港した。



 ラドーム島のグルージオン港に、期待していた南の陸塊所属船舶の姿はなかった。

 夏希は仕方なく、アンヌッカを伴って小舟で市街へと上陸した。なんとかして、ルルトまで船を導ける航海士を探さねばならない。アノルチャで雇った航海士たちの腕は良かったが、南の陸塊まで航海した経験がある者はいなかったのだ。闇雲に南へ向け航海すれば、いずれ南の陸塊に行き当たるだろうが、目的地はあくまでルルト港である。ピンポイントでたどり着かねば、かえって時間のロスとなる。

 ……あるいは、ここでラドーム船を借り上げたほうが早いか。それとも、カミュエンナ王女に相談し、手を貸してもらうべきか。

 悩みながらとりあえず航海士がたむろしていそうな酒場を探し始めた夏希だったが、いきなり通行人から声を掛けられて驚く。

「夏希様ではありませんか。このような通りにおいでとは、お珍しい」

 ぺこぺこと頭を下げつつ近づいて来た中年のラドーム人には、確かに見覚えがあった。ルルト市街地包囲戦のときに、オープァ海軍司令官のランクトゥアン王子と一緒に訪ねてきた、ラドーム人の船長だ。

「えーと、イェスパ船長?」

 夏希は記憶の隅からようやく名前を引っ張り出した。

「お元気そうでなによりです。ご活躍は、聞き及んでおります」

 イェスパが、にこやかに言う。

 ……これは僥倖。

 たしか、ランクトゥアン王子の話では、この船長はラドーム-オープァ間の貿易を長年にわたって続けていたはず。当然、航海士としての腕は確かだろうし、顔も広いに違いない。

「突然で申し訳ありませんが、ここからルルトまで船を動かせる腕のいい航海士を紹介していただけませんか? 急いで、ルルトに戻らねばならないのです」

「はあ。心当たりはありますが……なんでまた」

「詳しくお話したいのはやまやまですが、憲章条約外交部の公務なので」

 夏希は口を濁した。説明の暇はないし、下手に口を滑らしたら協力を拒否されるかもしれない。イェスパ船長の政治的立場や心情がよくわからぬ……ランクトゥアンに協力している以上、反タナシスなのだろうが……以上、危ない橋は渡れない。

「それほどお急ぎなら、うちの船の航海士をお貸ししましょう。まだ若いが、腕は確かだし、ルルトまで航海した経験もあります」

 少しばかり怪訝な表情ながら、イェスパがそう申し出てくれる。

「ありがとうございます。お礼ははずませていただきます」

「よしてください夏希様。ランクトゥアン殿下と親しい女性から、お礼など受け取るわけには行きませんよ。航海士に、世間並みの手当を支払って頂くだけで結構です。船を教えてくだされば、直接乗り付けさせますよ」

「感謝します、イェスパ船長」

 夏希はぺこりと頭を下げた。どうやら、ラドームでのタイムロスは最小限に抑えられそうだ。



 朝日を浴びつつ、オープァ船がルルト外港へと滑り込んでゆく。

 錨……形状はよく知られた『錨型』であるが、金属製ではなく、石と硬木を組み合わせたもの……が降ろされると、夏希はすぐに小舟に乗り込み、アンヌッカと二人の部下を伴って上陸した。一人の部下には川船の手配を命じ、もう一人にはルルトにある憲章条約外交部の出先機関へ向かうように指示し、乗ってきたオープァ船に関する処理と、異世界人の所在確認を命ずる。今回のテロとその影響および対策について、他の異世界人……特に駿の見解と助言を聞いておきたい。

 夏希自身は、アンヌッカを連れてルルト王宮へと赴いた。ルルト国王に拝謁し、息子……ハルントリー王子に関して報告を入れつつ、対タナシス政策を激化させないように説得しなければならない。やはり憲章条約随一の国力を持つ国である。ないがしろにはできなかった。

 早朝のうえアポ無しなので多少は待たされるかと危惧していたが、夏希はいともあっさりと謁見の間に案内された。ルルト国王と会話を始めた夏希は、すぐにおかしいことに気付いた。理由は定かではないが、なぜかすでに国王はハルントリー王子が重傷を負ったことを知っていたのだ。

「陛下、ではこの一件について、すでにお聞き及びなのですか?」

「ああ。昨日西部同盟の外交団が当市に上陸してな。拝謁を願い出た外交官が申しておった」

 ハルントリーに似ていなくもない初老の国王が、重々しくうなずく。

 ……しまった。

 夏希はほぞを噛んだ。噂には先行したが、西部同盟の宣伝工作には遅れを取ってしまったのだ。おそらくは、足の速い船を仕立てて待機していたに違いない。王都リスオンから報告が来た直後に、出港したのだろう。そうでなければ、アノルチャで半日ロスしたものの、リスオンからまっすぐルルト市を目指した夏希に一日先行することは不可能だ。

 そしてこの事実は、西部同盟がタナシス王宮でのテロを予見していた、という確実な状況証拠でもあろう。つまり、テロ自体が西部同盟の差し金、いや、統制下に置かれた作戦だった、ということだ。

 夏希はそうそうに王宮を辞去し、船着場に向かった。待ち受けていたのは、借り上げられた川船と、凛であった。

「事情は彼から聞いたわ。船の中で話しましょう」

 船を手配した夏希の部下を指し示しながら、凛が言う。夏希はアンヌッカと共に乗り込んだ。


「まずはノノア川憲章条約が西部同盟と手を組んだかのような噂を流す。次いで、憲章条約がタナシス王国の解体を目論んでいるとの噂を広める。そしてタナシス愛国者を装って、憲章条約外交団を襲わせる。これによって、タナシス王国と憲章条約の関係を悪化させる。なるほど。乱暴だけどそれなりに効果的な陰謀ね」

 夏希の話を聴き終えた凛が、そうまとめながらこくこくとうなずく。

「ルルト王宮を訪れた外交団は、平原に向かったそうよ。目指すは、マリ・ハとススロンでしょうね。総会でタナシスへの反感を煽り、ススロン王国ではビアスコ王子の死を大げさに伝える……。もちろん、平原へも行くでしょうね」

 オレンジをもぐもぐと食べながら、夏希は言った。気の利く凛が、道中で食事のために停船しなくてもいいように、数日分の食料を買い込んで川船に積んでおいてくれたのだ。

「まあ、このまま先行されて煽られても、あなたが総会で正確な報告を行い、すべてが西部同盟の陰謀らしいことを告げれば、事態は収まるんじゃないの?」

 夏希に付き合うようにブドウをつまみながら、凛が問う。

「だといいんだけど」

 状況証拠は、テロが西部同盟の計画的犯行であったことを指し示している。だが、決定的な証拠はない。実行犯の士官は自害したし、捕らえられた隊士は自害の素振りも見せなかったところから見て、士官に命じられて犯行を手伝っただけの小物であろう。いくら尋問しても、黒幕の正体など知らぬに違いない。タナシス側が徹底した調査を行ったとしても、西部同盟の関与をうかがわせる証拠はたぶん挙げられまい。

「ところで、駿と生馬はどこにいるの?」

「駿は事務局に張り付きっぱなしよ。生馬は、五日ほど前に集めた情報を手土産に、マリ・ハに戻ったわ。あたしだけ、あなたと拓海のバックアップのために、ルルトに残ってたの」

「じゃあ、西部同盟の外交団がマリ・ハに行っても、あの二人がうまく扱ってくれるかもしれないわね」

「うん。駿なら、何らかの理屈をつけて足止めして、高原へ行かせないようにしてくれたかも。期待しましょう」

 そう言った凛が、いささか下品なやり方で、口中のブドウの種を川面に向けて吐き飛ばした。


第九十七話をお届けします。

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