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白き巫女と蒼き巫女【改稿中】  作者: 高階 桂
第一章 高原編
8/145

8 風呂屋 【削除中】

【ご注意】当話は性的な描写が含まれておりましたので一時削除されております。次話へお進みください。


【GL警告】今回は百合臭が濃い話です。苦手な方はご注意下さい。


     『話』維持用の茶番メタ劇場



 境生馬の家は古く、豪邸とは言い難いがかなりの敷地面積を持つ。手入れが行き届いているのは、母屋とその周りだけで、あとは小さな雑木林や竹藪のあいだに、雑草が生い茂った小道がうねうねと伸びている。古めかしい造りの離れや蔵や小屋などが敷地内のあちこちに立っており、ちょっとした時代劇のロケなら使えそうな雰囲気だ。

「で、何でここが会議場所なわけ?」

 離れのひとつ……八畳間に濡縁がついただけの小さなもの……の雨戸を開けるのを手伝いながら、夏希はそう訊いた。

「コーカラットとユニヘックヒューマが来るからな。目立つとこはまずい」

 逞しい長い腕で、軋む音を立てる雨戸を強引に押し開けながら、生馬が答える。

 春の日差しが、黄ばんだ畳の上に差し込む。濡縁を超えて吹き込んだ微風が、こもっていたわずかに黴臭い空気を追い出してくれる。

「やあ。久しぶりだね」

 開きっぱなしの木戸から、駿がひょいと顔を覗かせた。すぐあとから、凛と拓海が続く。

「本当に久しぶりね、五人揃うのは」

 靴を脱いで上がり込んだ凛が、言う。夏希はうなずいた。凛とはしょっちゅうつるんでいるし、他の三人とも学校で顔を合わせているが、こうして五人だけで集うのはめったにない。

「で、集まりなんだ、これは?」

 どっかりと腰を下ろしながら、拓海が訊く。

「二人とも、出てきていいぞ」

 生馬が、濡縁の外に向かって声を掛けた。

「はいぃ~」

 気の抜けた応答と共に、コーカラットがふわふわと漂いながら入ってくる。その触手の一本には、ユニヘックヒューマがぶら下がっていた。

「みなさん! お集まりいただいてありがとうございますなのです!」

 とん、と畳の上に降り立ったユニヘックヒューマが、ぺこりと頭を下げる。

「ご無沙汰しておりますですぅ~」

 コーカラットも、そのボディを前に傾けた。

「ではさっそく、状況をご説明いたしますですぅ~。つい先日、本作『白き巫女と蒼き巫女』はなろう運営よりR18指定を受けてしまいましたぁ~。わいせつな描写を改稿しなければ、削除すると通告されておりますぅ~」

 他の四人の視線が、いきなり夏希に集中する。

「な、なによ」

「この作品、主役はお前さんだろ。わいせつな描写があったとすれば、あんたのシーンだと考えるのが常道だろ」

 拓海が、説明する。

「エッチなシーンなんて心当たり無いわよ。第一、わたしまだバージンだからね」

 顔を赤らめながら、夏希はそう主張した。

「俺とリダの濡れ場もなかったしな。だとすると、どこがR18なのかな」

 拓海が、首を捻る。

「……レズシーンじゃないの?」

 凛が、言う。

「うーん」

 夏希は考え込んだ。あの世界では、異様に同性にはモテた。たしかに、それなりにエロい目にはあったから、そこがR18に引っかかったのだろうか。しかし、少年マンガ誌が鼻で笑う程度の性描写しかなされていなかったはずだが……」

「で、どう対処するんだい、コーちゃん?」

 常に現実的な駿が、訊く。

「はいぃ~。読者の皆様にご迷惑を掛けないためには、削除を回避しなければなりませんですぅ~。ですが、今現在作者は週一連載を抱えておりまして、本作の精査改稿が不可能なのですぅ~」

「連載。またハイファンタジー書いてるの?」

 凛が、訊いた。

「違いますぅ~。アクションエンターテイメントですねぇ~」

「あたいをモデルにした奴が主役なのであります!」

 ユニヘックヒューマが、自慢げに言う。

「そうなのですぅ~。ユニちゃんが主役なのですぅ~。ちなみに、わたくしも出ておりますぅ~」

「宣伝はそれくらいにしておけよ。で、削除回避のためにどうするつもりなんだ?」

 生馬が、訊く。

「残念なことに、なろう運営は、どの個所がR18になるかを教えてくれないのですぅ~。ですから、念のために性的な描写がある『話』を、まるごと削除することにしましたぁ~。時間ができたら、精査改稿して、復活させる予定ですぅ~」

「それって、いつ頃になりそうなの?」

 嫌な予感を覚えつつ、夏希は訊いた。

「未定であります!」

 ユニヘックヒューマが、嬉しそうに答える。

「ま、改稿漏れがあって作品ごと強制削除の憂き目に遭うよりはましだな」

 拓海が、首を振りつつ言う。

「ということで、新規読者の皆様にはたいへん読みにくい状況となってしまいますが、なろう運営の指示ですので、ご了承くださいなのですぅ~」

 コーカラットが、虚空に向かってぺこりとボディを前に傾けた。その下で、ユニヘックヒューマが同じように深々と一礼する。

 数秒間、沈黙が流れた。

「で、これで終わり?」

 凛が、誰にともなく訊く。

「元からメタな茶番だ、オチはないさ」

 生馬が、肩をすくめた。


第八話をお届けします。

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