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白き巫女と蒼き巫女【改稿中】  作者: 高階 桂
第二章 海岸諸国編
66/145

66 戦略的奇襲

「ルルト海軍からの定期報告です」

 副官が、一枚の紙を机上に置いた。

「ありがとう」

 ランクトゥアン王子は、読み込んでいた報告書を置くと、副官が置いた紙を手元に引き寄せた。上から順に、走り読みしてゆく。

 中ごろまで読んだあたりで、王子の端正な顔がわずかにゆがんだ。

「ショーロク。誰か船主組合まで使いに出せる者を探してくれ」

 ランクトゥアン王子は、声を高めると副官を呼んだ。

「他にご用事がなければ、わたくしが行ってもよろしいですが」

 すぐに顔を見せた副官が、そう申し出る。

「いいだろう。頼む。船主組合に行って、ラドームへ向かった商船で、帰着が遅れている船があれば、すべて調べてきてくれ。一日でも遅れた船は全部頼む。船名、出航日、帰着予定日、船主、積荷、船長名、その他登録事項全部だ」

「承知しました。参考までにお尋ねしますが、これは『バラシア』号の遭難となにか関係があるのでしょうか?」

 副官が、訊く。『バラシア』号とは、約三十日前に出航し、ラドームへ向かったオープァ商船である。すでに帰着予定日を二十日も過ぎているにも関わらず、いまだどの港にも戻って来ていないので、遭難した模様だと海軍に届出があった船だ。

「そうだ。この報告書によると、ルルトでも三隻の商船が行方不明になっているとのことだ。いずれも、『バラシア』号と前後してラドームへ向かったが、帰ってきていない。ここしばらく、海が大きく荒れたとの報告がない以上、四隻もの外洋商船が一度に遭難するとは考えられない。おそらくは、ラドームで足止めされているのだろう」

「政変でもあったのでしょうか」

 副官が、言う。

「ま、原因はいくつか考えられるがな」

 オープァ商人もルルト商人も、ラドーム公国との商取引を行っているが、それは長期契約に基づく輸出入ではなく、もっと投機的な商売である。すなわち、海岸諸国で仕入れた商品をラドームへ運んで売却し、当地で商品を購入、海岸諸国へ戻り売却、利ざやを稼ぐというやり方だ。だから、ラドームで積荷が捌けなかったり、海岸諸国で売れる品物が手に入らなければ、長期滞在を強いられるはずだ。あるいは、ラドーム側の商取引の法律が変更になったり、税率が変わって資金繰りに苦慮しているのかも知れない。ラドーム周辺だけが局所的に悪天候に晒されている可能性もある。流行り病で大勢の水夫が寝込んでいる、海賊が出現して出航を見合わせているなどもあり得るだろう。

 ランクトゥアンが、異世界人二人と巫女二人、それに魔物二匹という奇妙な外交団を護衛してラドーム公国を訪れたのは、すでに三十日も前のことだ。その時は、特に異常は見られなかった。だが、三十日というのは長い時間である。そのあいだに、ラドームでなにが生起したとしても、不思議はない。

「とにかく、ラドームで何かが起こっていることは確かだ。これは、調査せねばならない」

「わかりました。さっそく船主組合まで行ってまいります」

 一礼した副官が、下がる。



「こら! ノノア川水運商会顧問!」

 平原共同体経済部庁舎の廊下で凛を見つけた夏希は、ずいと詰め寄った。

「……なに怒ってんの?」

「なんでコーヒー豆が届かないのよ!」

 毎日コーヒーを味わうために、夏希はノノア川水運商会に属する商人に頼んで、独自にコーヒー輸入の手筈を整えてもらっていた。ルルトとハンジャーカイを定期的に往復するその商人が、ラドームとの交易を頻繁に行っているルルト商人に金を払って生豆を一定量購入してもらい、それを他の商品と一緒にハンジャーカイまで運ぶ。夏希が、生豆を商人の言い値ですべて買い取る、というシステムである。

 前回の生豆購入は十五日ばかり前のこと。夏希はコーヒー党を一人でも多く増やそうと、アンヌッカ(気に入ったようだ)やシフォネ(ひと口しか飲んでくれなかった)を始め身近な人々に景気よく振舞っていたので、すでにコーヒー豆は一粒も残っていない。

「ああ、そのことか。なんでも、ラドームに行った商船が、足止めを喰っているらしいの」

「足止め?」

「そう。最近一隻も戻ってこないのよ。あなたが契約した商人も、ラドーム産の鉛を扱ってたから、苦慮してるらしいわ。でも、ラドームから直接持ち帰った豆がまだ残ってるでしょうに」

「とっくになくなったわよ。お土産として、あちこちに飲み方のレシピつけて配っちゃったから」

「そうなんだ。それは、ご愁傷様ね」

 凛が、すまなそうに首を縮める。

「何があったのかしら?」

「おおかた、タナシスの方針で禁輸政策が取られたんじゃないの?」

「でもそれなら、船は追い返されるんじゃないの?」

 夏希はそう言った。凛が、うなずく。

「それもそうね」

「駿や拓海はなんて言ってるの?」

「打つ手なし、ってとこね。まあ、貿易途絶で本当に困るのはルルトとオープァだけだしね。平原は、影響が少ないから、様子見ってとこね」

「そんな。わたしは影響大だよ」

「喚いてもしょうがないでしょう。あたしの部屋でおいしいお茶淹れてあげるから、我慢しなさい。アンヌッカ、あなたもどうぞ」

 凛が、やや呆れ顔で夏希の背後に突っ立っていたアンヌッカを手招いた。

「ありがとうございます、凛様。ご馳走になります」



「あら。なんか、味違うわね。コーヒーばっかり飲んでたせいかな」

 凛が淹れてくれたちょっと温めのお茶を味わいながら、夏希は言った。

「アンヌッカはどう?」

 いたずらっぽい笑みを見せながら、凛が訊く。

「普通のお茶より、渋みが少ない気がしますね」

「平原の人の舌に合うかしら?」

「どうでしょうか。わたしはおいしいと思いますが」

 アンヌッカが、首を傾げ気味にして答える。

「なに、新しい品種か何か?」

「まさか。イナートカイで、ちょっとかぶせ茶っぽく作ってもらったの」

 湯飲みを置いた凛が、言う。

「かぶせ茶?」

「収穫直前に、数日から十日くらい、茶葉の上に覆いを乗せて日光を遮って作るお茶よ」

「……それって、玉露じゃないの?」

「玉露は、茶畑そのものを遮光するの。かぶせ茶は、単純に木の上に日除けを置いちゃうやり方。今回は、稲藁を載せてもらったわ。この辺、日差しがきついでしょ? イナートカイは霧が多いからお茶作りには適してるけど、どうしても渋みが強いお茶になってしまう。だから、かぶせ茶を試してみたの。評判がよければもっと作ってもらうつもりだけど、みんな渋めのお茶に慣れてるからね。商品になるかどうかは、未知数だわ」

「凛様!」

 いきなり、戸口から経済部の事務官が飛び込んできた。

「どうしたの、フーシオ?」

「連絡会議臨時総会が開かれるそうです。凛様も、ご臨席ください」

 慌てた口調で、事務官が告げる。

 夏希は腰を浮かした。アンヌッカは、いち早く立ち上がっている。

「なにがあったの?」

 夏希は事務官にそう問うた。平原共同体の最高意思決定機関である総会が臨時に開かれるなど、緊急事態でしかあり得ない。

「ルルトから急報がありました。国籍不明の軍勢に、海上から攻撃されているとのことです」

 夏希は眼を剥いた。

「夏希様!」

 アンヌッカが、鋭い眼差しで夏希を見る。夏希は立ち上がりながら、うなずいた。

「わかった。すぐ行くわ」

 そう答えながら、凛も立ち上がる。

「わたしは参謀部へ行くわ」

 夏希は、凛にそう告げた。一応、平原共同軍参謀部参謀でもあるのだ。

「襲ってきたのは、やっぱりあの国かな?」

 厳しい表情で、凛が問う。

「でしょうね」

 オープァが、盟邦であるルルトと喧嘩を始めるとは思えない。ラクトアスを始めとする東部海岸諸国も、同様だろう。群島の小国や海賊に攻められたくらいで、南の陸塊随一の人口と経済力を誇るルルト王国が揺らぐとも思えない。ラドーム公国が、単独でルルトを攻撃することも、考えられない。

 となれば、攻め寄せた国はひとつしかあり得ない。

 すなわち、北の陸塊にある大国、タナシス。

「行くわよ、アンヌッカ」

 夏希は走って凛の部屋を出た。



「戦略的奇襲は困難である、と昔の偉い人は言ったがな」

 自嘲気味に、拓海が言う。

 夏希とアンヌッカが息せき切って駆けつけた平原共同軍参謀部は、意外なことに静かであった。参謀長たる拓海は、次長である生馬と差し向かいで、のんびりとお茶など飲んでいる。ただし、二人が座っている机の上には、地図が広げられていた。大海を挟んで両岸がかなり内陸まで描かれたものだ。もっとも、北部陸塊の地形などは情報不足からかなり簡略に描かれてはいたが。

「慌てても仕方ない。情報が少なすぎるからな。まあ、座れ」

 立ち上がった生馬が、親切に椅子を持ってきてくれる。

「敵はやっぱりタナシス王国なの?」

 礼を言って座った夏希は、そう訪ねた。

「断言はできんな。大部隊であれば、まず間違いない。しかし、略奪目的の小部隊であれば、海賊の可能性がゼロじゃない」

 お茶をすすりながら、拓海が答える。

「報告します。第二報が届きました。現在日没直前。敵船舶数約七十。上陸兵員推定一万以上。ルルト国軍、応戦中。敵をタナシス王国軍と認む。救援を乞う。ルルト国軍本部。以上です」

 戸口に現れた青年が、口頭でそう告げてから、つかつかと歩み寄って拓海に一枚の紙を渡した。

「ご苦労。念を押すようで悪いが、作戦局と情報局にも同じ報告が行っているかどうか、確かめておいてくれないか」

 受け取った拓海が、言った。

「承知しました」

 青年が一礼し、足早に去る。

「なんか、本格的ね」

「情報は広く行き渡らせる。参謀部みたいなところでセクショナリズムが蔓延したら、とんでもないことになるからな。それと、必ず平易な文で書面化する。口頭だけでは誤解が生じ易く、下手をすれば伝言ゲーム状態になって情報や命令が曲解されるおそれがある。もってまわったような言い回しは厳禁だ。美文調や装飾過多だとごまかしが効くからな」

「それはいいけど……読めるの?」

 丸っこいこの地の文字が書かれた報告書を指差し、夏希は訊いた。

「少しは読めるようになった。単語さえ覚えちまえば、読むだけなら難しくはないよ。発音は覚えなくて済むし。平易な文を書かせてるから、文法も簡単だ」

 こともなげに、拓海が言う。夏希は、生馬に視線を当てた。

「俺はまだまだだ。最近、やっと数詞を覚えたよ。ほら、これが七十だ。船の数だな」

 生馬が、単語のひとつを指で抑える。

「これが敵、次が船、七十。とすると、この後ろの二文字が約、の意味かな?」

「そうだ。適当、という意味合いだな。適切に、という意味でも使われることがある」

「よし、覚えたぞ。しかし七十か。もちろんすべてが軍船ではないだろうが、凄い数だな」

 生馬が、唸る。

「ルルトの国軍は約四千。海軍が、千名程度。この奇襲では、市民軍を編成している余地はないだろう。国軍も、各所に散らばっているだろうし。敵の目的がルルト市制圧なら、阻止はまず不可能だな」

 地図を睨みながら、拓海が言う。

「問題は、敵の戦略目的だ。タナシスの正規軍だとすると、単なる略奪じゃないだろう。懲罰攻撃とも思えない。占領……なのか?」

 生馬が、問いかけるように拓海を見る。

「たしかにルルトは豊かな国だが、そこだけ植民地として維持するのは不可能だろう。やるとすれば、ワイコウまで含めて海岸諸国をすべて平らげる必要がある。兵力は……最低でも五万は欲しいな」

「平原共同軍は出動しないの?」

 夏希は訊いた。拓海が、呆れたような顔をする。

「おいおい。共同軍は共同軍司令部が指揮しているし、その司令部も共同体連絡会議総会に隷属する組織だ。一応、シビリアンコントロール下にあるんだよ。総会で議決がなきゃ、一兵たりとも動かせないんだ。ま、出兵前提で参謀部を動かしてはいるけどね。会計部には銭勘定させてるし、人事局には予備大隊編成準備と市民軍編成の見積もりをやらせてるし、作戦局には行軍計画を立てさせてるし、情報局には各種情報の収集と敵兵力の見積もりを命じてあるし、外交局には高原とワイコウとの接触を命じたし、兵站局には各種装備の増産に備えるように指示したし、補給局にも川船の徴用と食料集積に備えるように言ってあるし」

「敵が一万程度なら、オープァと東部諸国、ワイコウ、それに平原共同軍が力を合わせれば、意外とあっさり撃退できちゃうんじゃないの?」

 夏希はそう言ってみた。

「言うまでもないが、いまもたらされた報告は、十四時間近く前のものだ。それを忘れちゃいかん。古い情報のみに基づいて行動するのは、間違いのもとだ。それはともかく、追加の報告が届いてみないとなんとも言えんが、タナシスの戦略目的が何であれ、数日以上の戦闘行動を意図しているのならば、増援部隊は来るだろうな」

 拓海が考えつつ言う。生馬がうなずいた。

「間違いなく来るな。おそらく、すでにタナシス船団の大半は、すでにルルト沖から消えているに違いない」

「そうか。本国へ戻って、増援部隊を連れてくるんだ」

 夏希もうなずいた。

「いや、違うな」

 拓海が渋い表情で首を振る。

「違うの?」

「ああ。本国までは戻らない。まず間違いなく、事前にラドームに兵員を運び込んでるはずだ。本国まで往復するより、四日から五日は節約できる」

「ラドームに行ったルルトの商船が戻ってこないって……こういうわけだったのね」

 夏希はようやく理解した。何万ものタナシス軍部隊が集まっているところを見てしまったルルト商船……。タナシスによる奇襲を成功させるために、抑留されたに違いない。

「十中八九、今回来襲した七十隻の中に、捕らえられたルルトとオープァの商船が混じってるな。第一撃に総力を挙げるのが、戦略的奇襲の原則だからな」

 生馬が、言う。

「あと知恵だが、兆候はあったんだ。タナシスが訪問団を拒絶したのも、すでにその時に侵攻準備を行っていたからに違いない。夏希が見た、タナシスがラドームに造らせていたという船も、この七十隻の中に入っているだろう。それに、ルルトとオープァ商船の未帰還。抜かったな。オープァ海軍にでも頼んで、偵察に行ってもらえばよかった」

 拓海が、悔やむ。

「過ぎたことは仕方ない。奇襲の兆候なんて、見過ごされるのが当たり前なんだから。真珠湾を見ろ。フセインのクウェート侵攻を見ろ」

 生馬が、なだめるように言う。

「三十八度線、六日戦争、フォークランド……。生馬の言うことは正しいが、俺は一応平原共同軍参謀部参謀長だからな。反省はしないと」

「次長として言わせてもらうが、今やるべきことはこの事態にどのように対処すべきか、参謀部としての方針を決定することだろう。対策を練ろうや」

 微笑んだ生馬が、拓海の肩をぽんと叩く。

「ああ、そうだな。まずは敵の戦略意図だが……これがどうも判らん。最悪のケースとして、海岸地帯全体の領有を狙っていると仮定しておこう。戦力だが、現状の報告では陸戦兵力が一万となっているが……これは控えめに見積もり過ぎていると思う。対抗勢力たるルルト国軍の戦力を考慮すると、第一次攻撃としては兵力があまりにも過小だ。暫定的に、切りのいいところで二万と推定しておこう」

「七十隻で二万人も運べるのかな?」

 夏希は暗算した。二万割る七十で……二百八十五くらいか。

「あんたがラドームへ乗っていった商船でも、三百人くらい運べるだろう。ラドーム-ルルト間は順風なら三日以内だ。余分な水や食料を積まなければ、余裕だ」

「ルルトは大量の食料を抱え込んでいるからな。当面、敵は兵站の心配もしなくて済む」

 生馬が、指摘する。

「分析を続けよう。当面の敵の戦略目標は、ルルト市の完全制圧だろう。ルルト野戦軍の撃破も意図するだろうが、それよりも増援部隊を受け入れられるように、海港を中心とする市街地の占領を優先させるはずだ。そしておそらく、防備を固めてオープァや東部諸国、ワイコウによる反撃に備える。船団が、第二陣を運んでくるまで……早ければ五日か。陸戦兵力は四万に膨れ上がる」

「その前に、叩かないと」

 夏希は急かした。聞いた話では、タナシス王国の総人口は、南の陸塊すべての国家と高原諸族をあわせたものよりもはるかに多いらしい。当然、動員兵力も大だろう。大軍を続々と送り込まれたら、勝ち目はない。

「今手元にある兵力は、一個大隊と生馬の突撃連隊、合わせて千四百だけだ。マリ・ハ駐屯の大隊を含めても千八百。一日待てば、他の三個大隊が合流できるから、三千の兵力がそろう。各国から防衛隊若干に参加してもらって、これが一千とすると、総計四千。再建中のワイコウ国軍が、千五百。あわせて五千五百。仮にオープァ国軍と合流できたとしても、一万に満たない。だめだ。この程度の兵力で攻勢に出ても、勝てないよ」

 拓海が、分析する。

「じゃ、どうするの?」

「兵力を集める。とりあえず、共同軍予備大隊の徴集だな。これで二千名。各国に協力要請し、防衛隊も二千名まで集めたい。市民軍も編成して、二万。高原にも派兵要請し、二万を送ってもらう。これで総兵力四万七千五百だ。わが補給局と兵站局が現状で組織管理できる兵站能力を鑑みるに、これが運用限界だろうな。これだけの兵力があれば、タナシス軍四万と互角以上の戦いができるだろう」

「タナシス軍の第三陣がやってきたら?」

「海岸諸国を明け渡すしかないな。さらに市民軍を動員することも、高原に追加派兵を要請することも可能だが、下手をすると平原経済が戦費と労働力不足で崩壊しかねない。守りを固めて、タナシスが平原に侵入することを防ぎつつ、様子を見る。いくらタナシスが大国でも、六万七万もの兵力を本国から海を隔てた地で長期にわたって運用するのは無理だろう。必ず、かなりの兵力を引き上げ、守備態勢に移行するはずだ。そこで機を見て、逆襲に転ずる。海で隔てられている以上、タナシス側も事前準備なしに大兵力を送り込むことは難しいはずだ。三万程度の守備兵力ならば、こちらが数で押し切れる」

「おいおい。先走り過ぎだぞ。タナシスの意図はまるでわからんのだから」

 生馬が、嗜めた。

「そうだったな」

 拓海が苦笑する。


 第六十六話をお届けします。

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