18 作戦計画
一行はアンヌッカが準備してくれた川船で、ジンベル川を遡った。例によって拓海が、望遠鏡で周囲を覗きながら地図を確認する。
密林の中に入ってからも、拓海の情報収集は続いた。川の屈曲の具合を地図と照らし合わせたり、密林の見通しを確認したり、船頭に水深や川底の様子などを詳しく聞いたりしている。
砦の船着場に着くと、真っ先に拓海が飛び降りた。生馬とアンヌッカを伴い、あちこちを見て回る。
「お茶でも飲んでようか」
その様子を眺めながら、凛がぼそりと言った。
「そうね」
夏希も同意した。付いて行っても、邪魔なだけだろう。
以前にも借りた小屋のひとつに入り、凛がお茶の準備を整える。夏希は、砦の炊事場へ行って火種と焚き付けをもらって来た。火鉢に入れ、息を吹きかけて炭を熾す。凛が、重い鋳物の薬缶を掛けた。
「……でもさあ。仮に拓海がなんとかして蛮族を撃退したとしても、それで終わるわけじゃないよね」
お湯が沸くのを待ちながら、凛が独り言のように言う。
「そうよね」
蛮族の目的がなんだかは知らないが、一回の失敗で諦めがつくようなものではあるまい。彼らの人的資源は豊富だ。第二回、第三回の侵攻もありえるだろう。何度となく繰り返される攻撃に、ジンベルは耐えられるのだろうか? 特に、人とお金の面で。
「戦争なんて、無駄の極みだわ」
湯が沸くのを待ちながら、夏希はそうつぶやいた。人命、お金、資源、時間。それらが惜しげもなく注ぎ込まれ、乱費されるのが戦争だ。もっと生産的な活動に使えば、多くの人々が幸福を享受できるはずの、さまざまな資産の浪費。
「一概に、そうは言えないんだけどね」
凛が、穏やかな口調で異議を唱える。
「どういうこと?」
「箴言をひとつ教えてあげるわ。『戦争は紛争解決の手段としては愚かである。しかし、戦争を忌む人々はしばしばより愚かな選択をしてしまう』……。歴史を勉強していると、心底からうなずける箴言よ」
「そうなの?」
「そうなのよ。歴史上、戦争は様々な問題を容易に解決してきた。歴史を学べば、それが理解できるわ。だからと言って、戦争そのものを積極的に肯定する気にはならないけどね」
凛が、少しばかり寂しそうな口調で言う。
夏希と凛が三杯目のお茶を飲み干し、退屈を感じ始めた頃になって、ようやく小屋にジンベル防衛隊の兵士が現れた。生馬が呼んでいることを告げ、案内に立つ。
ふたりは兵士に導かれるままに砦の中へと入り、木の階段を登った。以前にも来たことのある見張り台で、生馬と拓海が待っていた。
「よし、全員揃ったな」
拓海が、満足そうに手を擦り合わせる。
「あれ、アンヌッカは?」
夏希は周囲を見回した。
「彼女は、席を外してもらった。ここは、異世界人だけの相談の場だからな」
拓海が、言う。
「なんだか、密談めいてきたわね」
やや皮肉っぽく、凛。
「ジンベル人には聞かせたくない話もあるしな。まず、確認しておきたい。ジンベルの連中は、信用できるのか?」
やや声を潜めて、拓海が問う。
「そりゃもちろん。一番長くいるわたしが言うんだから、間違いないわ」
自信満々で、夏希は応じた。アンヌッカにしろエイラにしろシフォネにしろ、裏表のない人物である。……むしろ拓海の方が、よほど胡散臭い人物だろう。
「国王はどうだ? 全面的に信用できるのか?」
「陛下は……たぶん」
夏希は口ごもった。ヴァオティ国王とは、数えるほどしか会ったことはないし、腹を割って話し合ったこともない。信頼が置けるか、と改めて問われると、はっきりしたことは言えない。
「どういうことなんだ? ジンベルの様子に不審なところがあったのか?」
生馬が、訊いた。
「いや。だが、蛮族の侵攻目的が不明なのがどうにも腑に落ちない。二十キロメートル以上にわたって密林に軍用路を切り拓くなんて、蛮族にとっては大事業だろう。将来的には、それが平原地帯からの逆襲に使われるおそれすらある。それでもジンベル攻撃を強行するということは、確たる戦争目的があるとしか思えん」
「それで?」
いったん言葉を切った拓海を、凛が促す。
「国王は何か隠してないか? ひょっとして、蛮族の方が善玉という可能性はないのか?」
そう拓海に問われ、夏希ら三人は思わず顔を見合わせた。
「……それは、ないと思う。だいたい、ジンベルはろくな軍隊も持っていないし、よその国に迷惑を掛けてもいないはず。悪玉には見えないわ」
夏希は言った。結構な期間住んでいるから、それくらいは肌で理解しているつもりだ。
「もっと以前の因縁かもしれないぞ。もともとジンベル盆地が蛮族のものだった、とか。あるいは、蛮族にとって価値あるものをジンベルが奪ったのかもしれない」
拓海が、そう指摘する。
「いずれにせよ、俺たちは国王と契約した身だ。異世界人だが、ジンベルの住民でもある。この世界での身分と安全を、ジンベル王国に保障してもらっているんだ。蛮族が攻めてくるのならば、排除しないわけには行かないだろう。ここが絶対王政国家だということを忘れちゃ駄目だ。手を拱いていては、俺たちの身が危ない」
生馬が、道理を説く。
「生馬の言う通りだわ」
凛が、同調した。夏希も、同意の声をあげる。
「わかった。お前らの判断を信じて、俺もジンベル王国を信用するとしよう。では、状況を再確認しよう」
得心したらしい拓海が、メモ書きを取り出した。
「蛮族軍の戦争目的は不明。戦略目標は、推定だがジンベル市街。戦略目的は、市街の攻略とみてほぼ間違いないだろう。当面の目標は、戦略目的遂行の最大の障害たるジンベル側野戦軍の撃破にあるものと推定される。侵攻規模は諸種の情報を勘案すると五千名以上。質的には、ジンベル防衛隊よりはやや劣るが、市民軍よりははるかに上質と思われる。偵察隊との戦闘状況を鑑みるに、士気は高いと推察される。兵站状況は不明だが、充分なものと推定する。戦術としては、地形的制約からみて数の優位を活かした正面攻撃を行う公算が高い」
「……なんか難しい話になってきたわね」
夏希はぼやいた。
「ジンベル側の状況だが、兵力は精兵であるジンベル防衛隊が三百七十。生馬が訓練した優秀な市民軍……カテゴリーAと呼称するが……が約二百。そこそこ使えるカテゴリーBが約八百。あまり使えないカテゴリーCが約二千。合計で、三千三百七十名。実質的に、カテゴリーCは戦力とは言えないから、千三百七十名。戦力的には、敵の三十パーセント以下だ。士気は生馬の言葉を信ずれば、高い。兵站上の問題はない。しかしこの戦力では、敵野戦軍の撃滅は不可能だ。よって、こちらの戦略目的は敵の侵攻阻止に限定する。いいな」
言い終わった拓海が、生馬を見やる。
「妥当だな。賛成する」
「お二人さんは?」
拓海に問われ、凛が賛意を示した。
「なんか、よくわからないんだけど」
夏希は正直にそう言った。
「ジンベル側の戦略目的を、蛮族の侵攻阻止に限定することに、賛成するかどうかを訊いているんだ」
生馬が、説明する。
「……判断するだけの知識はないわ」
夏希は、さじを投げた。
「目的と手段を適合させるのは、戦略、戦術いずれにおいても基本だ」
拓海が、夏希に対し解説を始めた。
「手段……つまり、兵力、兵站状況、時間的余裕、地形や気象条件、士気、指揮統制能力、情報収集と分析能力、その他もろもろの状態をひっくるめて、実行可能な作戦を立案しなければならない。料理に例えれば、牛肉が手に入る見込みがないのにビーフカレーを作ろうとしてはいけないし、三十分しか時間がないのに、スパイスを混ぜてカレー粉を作る段階から始めてもいけない、ということだ。豚肉しかないのなら素直にポークカレーを作るべきだし、時間がなければインスタントのルーを使うべき。完成する見込みのない料理より、グレードや味が落ちてもちゃんと出来上がって食べられる料理の方がはるかに価値がある。戦略や戦術も同じだ。どれほど精密かつ上質のよく練られた作戦でも、成功する見込みがなければ無駄であるのみならず、有害でしかない。ジンベル側は、明らかに兵力不足だ。映画や小説ではよくあるが、実際には少ない兵力で数倍の敵を撃滅するなどほぼ不可能だ。作戦に無理があれば、柔軟性が損なわれるし戦術目的も曖昧化し、結局は戦力の分散化を招くことになる。手段に適合していない目的は、敗亡への一本道なんだよ」
「何となく、理解したわ」
夏希はうなずいた。要するに、身の丈にあってないことはやるべきでない、ということだろう。
「では続けよう。いかにして蛮族の侵攻を阻止するか。兵站能力の破壊は地形的制約から不可能に近い。指揮統制の麻痺化も、蛮族軍の数と情報不足から現状では取るのが難しい作戦だ。ここは敵に分散を強いて、一部の野戦部隊に大打撃を与え、侵攻を断念させるしかないと思う」
「同意する」
すかさず、生馬が賛意を示す。
「で、この砦だ。たしかに強力な砦だが、五千の侵攻軍の前には持ちこたえられないだろう。だから、放棄する」
「なんだと!」
生馬が声を荒げた。
「お前、俺と駿がどれだけ苦労してこの砦を造ったか、聞いていなかったとは言わせないぞ。何百人もの市民が汗水たらして、しかも多額の予算をつぎ込んで……」
「それは、重々承知してるよ」
拓海が、宥めに掛かった。
「だが、ここで抵抗しても得られるのはわずかな時間だけだ。精鋭五百を犠牲にして蛮族二千を倒しても、敵は退却せんよ。ここを突破してしまえば、眼の前にヘタレの市民軍が守るだけの攻略し易いジンベルが現れるだけだからな。切り札の投入は、敵が打撃を回避できなくなる状況まで待つべきだ」
「で、代案があるのか?」
生馬が、半ば睨みつけるような視線を拓海に浴びせる。
「ないことはない」
拓海が、薄く笑う。
「ねえ。昔読んだ小説にこんな戦法が載ってたんだけど、参考にならないかなぁ」
凛が、言った。
「部隊を三つに分けて、横一線に並べるの。敵が迫ったら、中央の部隊がわざと少しずつ後退する。機を見て左右の部隊が攻め立てて、左右から中央に押し込むようにするの。そして、三方から一気に攻めて……」
「忘れてくれ。そんな安易な作戦は、大脳からきれいさっぱり消去するんだ」
拓海が言い放つ。
「高度な戦場機動ができる軍隊など、訓練に何年もかかる。それに、その小説を書いた奴は軍事についてはど素人だ。たぶんカンナエかなにかをそのままパクったんだろう。よほど相手が能無しでない限り、そんな単純な罠には引っ掛からないよ。嵌めるのならば、もう少し高度な罠が必要だ」
「能書きはいいから、お前の作戦を早く説明しろ」
生馬が、焦れた。
「その前に、確認しておきたいことがある。平原諸国間に、紛争はないのか?」
「ないと思うが……」
そう答えた生馬が、問いかけるような視線を夏希に投げる。
「紛争、って言えるほどのものはないわ。仲の悪い国はあるみたいだけど」
「どの程度の不仲だ?」
拓海が訊く。
「経済上の対立程度ね。ススロンが鉄鉱石の価格を不当に吊り上げているとニアンが抗議したり、イナートカイがお酒造りに乗り出したのを、ジージャカイが製法を盗んだといって非難したり。深刻なものではないわ」
以前にアンヌッカから聞いた話を、夏希は披露した。
「ふむ。となると、蛮族が平原諸国のどれかと結んで派兵した、という線はないか」
「それは……考えにくいだろう」
「俺もそう思う。だが、ひょっとして蛮族の目的がジンベルに平原諸国の軍勢を集めることだとすると、戦争目的が不明なことの説明がつくと思ってな」
「なるほど。本国をがら空きにさせて、その隙になにかやらかそう、って魂胆ね」
凛が、言う。
「どうやらその線はなさそうだ。では、作戦を説明しよう。鍵はみっつ。ひとつ目は、ほとんど役に立たないカテゴリーCの二千名を、どうやって使うか。単純なことしかできないからといって、外してしまったのでは、文字通り何の役にも立たない。しかし彼らでもできる単純な役割を与えてやれば、戦力の足しにはなる。ふたつ目は、こちらが意図する場所へ蛮族の一部を誘引すること。これは、餌が充分であれば可能だろう。三つ目は、こちらの意図を悟られないこと。これは、難しいができないことはない」
「能書きはいいと言ったろ」
生馬が、急かす。
「わかったわかった。じゃ、これを見てくれ」
拓海が、一枚の紙を取り出した。三人が見やすいように、ささげ持つ。
取り出された紙を、夏希はしげしげと眺めた。
ジンベル市街地南端と、その南側を描いた略図だった。黒く塗りつぶされたジンベル川が市街地とその南方の平原を貫き、市街地の端には城壁が二重の線で描かれている。東西の山裾は単線で表現されていた。夏希にも見慣れた場所の略図だったが、一箇所だけ妙な描き込みがあった。城壁の内側、ジンベル川東岸に接するように、破線で長方形が描いてある。
「なんだ、これは」
生馬が、謎の破線を指す。
「これが本作戦の肝だ。まあ、順を追って説明しよう。この砦を放棄すると言ったが、実際には多少の抗戦を行う。川沿いの道と船で安全に撤退できる人数は、三百程度だろう。この兵力でわずかの間抵抗し、時間を稼ぐとともにこちらの意図を隠蔽する。……無抵抗で明け渡せば、敵も罠を警戒するからな。むしろ敵を増長させ、勢いよくこちらを追撃してくるような対応を取らせることが望ましい」
やや得意げな口調で、拓海が説明する。
「敵の出方を予測してみよう。おそらく、蛮族は短期決戦を挑んでくると考えられる。生馬の話では、蛮族もそれなりに平原諸国に関する情報を得ているようだ。したがって、悠長に日数を掛けていては、他の平原諸国から援兵がやってくることを知っていると思われる。兵站状況を鑑みても、長期戦は不可能だろう。密林地帯で食料の自給はほぼ不可能だ。五千名に給養するだけで大事業だし、補給部隊にも飯は食わせなきゃならん。常備軍でない以上、恒常的な兵站組織も持っていないはず。おそらくは、ノウハウも欠如しているだろう。また、社会および経済的事情からしても、長期戦は難しいだろう。動員状態を長く続けたら、高原地帯が飢えかねない」
「たぶんそう来るだろうな。少なくとも、短期決戦をこちらに強いるだけの兵力差はある」
顎をなでつつ、生馬が言う。
「砦には、小細工を使わず殺到してくると思う。夜襲の可能性もあるが、数の優位さを活かせない上に、同士討ちの危険性もある。おそらく、昼間強襲という手段を選ぶだろう。こちらは大きな損害を出さないうちに撤退し、砦を明け渡す。その後、敵はジンベル南方の平原に進出するだろう。こちらは、城壁を死守する構えを見せる。もし可能ならば、蛮族を挑発しておきたい。『城壁を越えられるものなら超えてみろ』とね。蛮族軍は、常識的に考えて城壁の弱点である二箇所の門を同時攻撃し、呼応して他の数箇所で城壁を越えようとするだろう。ジンベル側が兵力不足であることを見切った上での、同時分散攻撃だ。こちら側に兵力の分散を強いて、どこかひとつでも突破口を開き、城壁の守りを崩壊させようとするはずだ」
「妥当なシュミュレーションだな」
生馬が、うなずく。
「そこで、城門のひとつ……東側の門を、わざと破らせる」
「正気か?」
眉根を寄せた生馬が、拓海の顔を見下ろす。
「いたって正気だよ。キルゾーンを形成したいんだ。カテゴリーCの二千名のためにね。それが、ここだ」
拓海が略図に描かれた破線の長方形を指す。
「あらかじめ東門の北側に、市街地を利用した幅七十五メートル、長さ二百メートルほどのキルゾーンを設ける。見ての通り、キルゾーンの西側はジンベル川だ。南側は城壁。もちろん城壁を占拠されるわけにはいかないから、ここには充分な兵力を置いて守る。北側と東側は、建物とバリケードで封鎖する。東門を突破した蛮族は、城壁を守るジンベル軍の背後にまわろうとして、バリケードに阻止される。西側は川だから、侵入した蛮族は北ないし北東方向へ進まざるを得ない。だが、そちらもバリケードで塞がれている」
言葉を切った拓海が、指先で紙を弾く。
「そこを、カテゴリーCの市民軍に叩かせる。基本は投石だな。これなら、充分な訓練をせずとも戦える。蛮族の数が減ったところで、掃討する。これで少なくとも一千数百……可能であれば二千近く敵を減らし、継戦意欲を失わせたい」
「そううまく行くかしら」
凛が疑義を挟む。
「餌は充分だがな。敵は城壁を突破したいはずだ。戦略目的を達するには、他に方法がないからな。門が破られれば、チャンスと見て後続部隊を送り込んでくるだろう。敵がバリケードを突破して背後にまわる可能性がもっとも怖いが、これは精兵の予備隊を控置しておくことで対処する。ようは城壁を利用して敵を分断し、当てにならないカテゴリーC市民軍を活用して各個撃破を狙いたいわけだ」
「いい作戦だが……蛮族が乗ってこなかったらどうする?」
生馬が訊く。
「代替手段は夜襲だ。蛮族がジンベル平原に出てくれば、陣形を観察できる。本営の場所もわかるだろう。夜間に同時多発的に夜襲を掛け、混乱に乗じて精兵に本営を衝かせる。……成功の確率は低いが、それくらいしか思いつかん」
「罠に嵌めるのか……」
夏希は略図を眺めた。キルゾーンという用語は初めて聞いたが、たぶん敵を中に入れてやっつけるエリアのことなのだろう。まともにぶつかったら勝てない相手でも、その一部だけなら勝てるかもしれない。
「この作戦の弱点は、やはり情報漏れだ」
拓海が、言った。
「どんなに間抜けな蛮族戦士でも、城壁に登って市街地のバリケードを眼にしたら、こちらの意図を悟るだろう。だから、敵が罠に嵌るまで一兵たりとも城壁に登らせるわけにはいかない。そして、事前の情報漏れも防がねばならない。生馬、ジンベルの防諜は大丈夫なのか?」
「膨張?」
夏希は首を傾げた。
「そこまでは深く考えてなかったな。ラッシ隊長に確認してみるよ」
夏希の戸惑いに気付かぬまま、生馬が応じる。
「蛮族のスリーパーやシンパがいる可能性は?」
「それも、調べてみる」
生馬が確約する。
「スリッパ? 審判?」
「ああ、あとで暇ができたら説明するよ」
なおも首を傾げる夏希を見かねた拓海が言った。
「ともかく、早急に機密保持の手立てを講じた方がいい。できれば、国境も閉ざすんだ。事情を知らぬジンベル市民がひとこと喋っただけで、本作戦が台無しになるおそれがある」
第十八話をお届けします。おかげさまでPV30000越えを達成いたしました。ありがとうございます。