蓄音機試聴会
僕「お、今日蓄音機試聴会やったぞ」
君「どやった?」
「よう受けたで。曲が終わるたびに拍手してくれはったわ」
「ええなあ。私も聴きたかったわ」
「Youtubeで聴けるで」
「そやけど、蓄音機の音と違うやろ?」
「そらな」
田園
https://youtu.be/fE9Niuwm434
僕「田園が人気あったな。牧歌的やし」
君「なかなかこんなレコードを聴く機会がないやろね」
「この蓄音機はおとっつぁんの肩身だったんだ」
「いつ頃買いはったん」
「戦後すぐちゃうかな?親父は捨てる気でおってんけど、爺ちゃんが大切に置いててん」
「田園の出だし有名やね」
「そうよ。
ラシ♭レ、ドーシ♭ラソッド ファーソーラーシ♭ラソー」
(リストによるピアノ編曲版)
君「あんた、最近楽譜の引用増えたな?」
僕「おう、君に少しでも弾いてもらおうと思うてな」
君「前に聞かせてくれた『古いリュートのための舞曲とアリア第3組曲』ええわ」
僕「綺麗な曲やろ?」
「うん、最初のイタリアーナが綺麗わ」
ソーソーファーミ♭ードレミ♭ド レミ♭ファミ♭レド ソーー
僕「いやあ、譜面な、ブリュグミラーの『アラベスク』とか載せようと思ってんけど
自分、持ってるやろ?」
君「うん、あるで」
「アラベスクやったら難しないやん」
「弾けるで」
「わて、ブリュグミラーって知らん曲ようさんあるわ。練習してないのとちゃうかな?」
「バイエルも後の方難しいと思う」
「NHKに『街角ピアノ』ってあるやん。あれで男の人出てけえへんと、『男だせ!』
って思うわ。外国とかは男の人の方が多いで」
「そう?日本は女の人が多い?」
「その傾向あるな」
「あんたも弾きに行きいな」
「最近、全然行ってないな」
僕「蟻が食べ物にたかってるわ」
君「まあ、あんた、駆除しいよ」
「いやあそんなん可哀想やわ」
「何を―!『生きてる価値すらないと思う』とか言ってたのはだあれ??」
「いやあ、蟻、頑張ってるでー。等身大の食べ物より大きなもの運んでるし」
「ゴキブリとか出る?」
「昨日一匹出たな。ホウサンダンゴで駆除すべきか?」
「そら害虫やもん」
「蟻はペットの代わりやな。犬とかもうよう飼わんわ」
「私とこ飼うてんで」
「フランクさんから犬二匹目譲ってもらったけど、散歩とかようせなんだわ」
君「今日は蟻おらへんの?」
僕「おらへんわ。昨日ので疲れたんちゃうか?」
「さよか」
「昨日の蓄音機で疲れたのか、すぐ寝たわ。夕方よ」
「今日は何してるの?」
「詩作ったわ。でも曲は付けてないよ」
「電子レンジ買うた?」
「うん、一番安いやつ1万ぐらいで買った。やっぱり便利やで」
「当り前や。今時、湯煎なんて考えられへんわ。ガス代もかかるで」
「ほな、詩きかせてや」
「オッケー。、
飛び魚
風に泣いた 雨の如く
叱られた子供の嘆き
彼女よりも好きな彼女
教えられたい通りにすればいい
退屈な 夢の終わり
訪れた風の続き
昨日見た太陽の後 を
追いかけてこけた 絆創膏
本当に愛してたって
言い訳すら続かない
私は誰ですか と問うたなら
君の影すら踏めない
幾千の海を目指し
めまい すら感じても
飛び魚を飛び越えても
今すぐに笑えるさ」
僕「メロディーは↓これでいこ」
君「へえーおもろいやん」
僕「なんかゼムフィーラの影響受けたな俺。ロシアの友達に何歌ってるの?
と聞いたら、ロシア人でさえも分らんよて言うてたわ。
それが分かったような気がする。詩は意味を歌うもんじゃないんだ」