表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

1枚目 脱出

 目の前にそびえ立つ塔。その塔をどのようにして攻略していくか悩んでいた少女が1人。ここはカタス国。その中央にそびえ立つ古城にて難攻不落の塔が出来ていたのだ。


「…終わらん。終わらんぞ…先が見えぬ……何だこの量の書類は……!!」


 …そう、書類の塔が出来上がっていたのである。

 悲鳴を上げたのは我、ルフェ・ゴール。いわゆる魔王様、というものだ。

 如何せんカタス国の住人は全て魔物や魔族。最近になって人間もチラホラ見かけるようにはなったがそれでも割合を見れば大半が魔族なので魔界と呼ばれても仕方ない。


 そもそも昔…それこそ太古の時代は周りの諸国に手を出し、人間の殺戮や領土の奪い合いをしていたらしい。今はそんな事しないけど。そんな時代は勇者と呼ばれる特別な人間が魔王を倒しに来たらしいのだが如何せん昔とは違うので勇者など見たことも無いし聞いたことも無い。随分と平和になったものだ。


 …まぁ、たまに戦争もあったりするけれども国である限りそれは仕方ないよね!


 そんな魔王等と大層な肩書きに見えるがただのトップなだけで強大な力を持っているという訳でもない。権力はあるけど。


 ただのーんびりとしていればいい訳でも無い。国のトップらしく書類の山が目の前にある。あるのだが…


「あの…その…ラーヴァ?」


「はい、なんでしょうか」


 返事をしたのは我の第1秘書のラーヴァ・ラナ。赤髪

 のショートがよく似合っている悪魔だ。

  いや、なんでしょうかとかではなく、仕事量が昨日より更に多いのは我の気のせい…?


「気のせいではないですよ」


 ギックゥ

 まるで心を読んだかのようなタイミング!恐ろしい子!


「そもそも、昨日逃げ出さなければその仕事が増える事もなかったのです。各種事後申請や状態連絡。全てま お う さ ま が逃げ出した際に捕まえるため、使用した物です!」


 魔王すらビビらす威圧感でにじりよってくるラーヴァ。こ、こわい…。


 まぁ正直見つからず脱出した時はともかく見つかった時の次の日は常に増えてる。それはもう確実に。これ、さっきのは建前で逃げ出した我に罰として増やしてるよね?自業自得とはいえ辛いぞ…


「ベソかいて訴えてもダメです」


 チッ

 泣き落としが効かんとはつまらんヤツめ…。仕方なくモソモソと書類仕事を始めていく。め…めちゃくちゃ満足そうにラーヴァが見てる…。笑顔で居た方が可愛いのにのう。そんなにピリピリせんでも…まぁ元凶の我が何を言っても無駄な訳で。

 仕方ない、監視の目が緩くなるまで頑張るとするか…。




 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇



「ようやくここまで進みましたか。まだ残っている仕事がありますので取ってきます。」


 な…なんだと…これ以上にまだあるの…?

 絶望を感じながらラーヴァが部屋から出ていくのを見送る。


 ふ…


 ふふふ…


「この時を待っていた!!!」


 嬉しすぎて思わず立った勢いで椅子を倒してしまった。いけないいけない物は大事に、だそ。


 これから何をするかだと?勿論、サボるに決まっているだろう!正直多すぎる。何だこの量の仕事。ずーーーっと仕事ばっかなぞしていたら弱ってしまうわ!

 そうと決まれば早速行動に移さねばな。ラーヴァが帰ってきてしまう。


 パチン、と指を鳴らせば魔法陣が描かれる。転送陣だ。これがあれば何時でも抜け出せるのでは?と思うかもしれないがそうは問屋が卸さない。

 なんとこの城から外に出る為の魔法は全て無効化されてしまうのだ。技術班の最高傑作らしい。通称マジックキャンセラー。


 つまり、外へ出ようとしなければいい。外ギリギリの地点までワープ。そこからは徒歩だ。…まぁ、様々な罠がある訳だが。


 めげずに行けばよかろう!そう決心して転送陣の上へと乗った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ