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吾輩はゴブリンである  作者: qwerty
5/6

彼女の名はミノタランテ 一

 吾輩は苦労して集めた山の幸に、舌鼓を打ちながら思った。これだけでは少々物足りない。やはり成長期である我が身の為にも植物性蛋白質だけでなく、動物性蛋白質も摂りたい。そう思いたったが吉日である。早速狩りに行こうと思ったが、吾輩には武器がない。確かに吾輩は、いずれゴブリン界の寵児となる筈の者であるが、今はまだ子供であるが為、他より抜きんでたるはこの明晰な頭脳のみである。とは言っても、野の獣に後れを取るような事は在りはしないが、世には万が一ということがある。この吾輩ですら想像だにしない事態によって、我が天下一の頭脳が失われたとなればそれは、AG歴最大の悲劇である。故に吾輩は、この野蛮な狩りを断念した。が、これは肉を獲るのを断念したと同じではない。その証拠に、これより吾輩はこの頭脳を使った交渉。言い換えるならば、知性ある者の狩りをするのである。


 さて交渉をするにはまず必要な者がある。第一にその交渉をする相手である。さすがの吾輩でも一人で交渉することはできない。次に対価である。何かを欲すならば、何かを捧げなければならないのは、古今東西この世の真理である。当然だがこのやり取りを皆が皆平等に行える訳はない。誰かが一を五にし、また誰かは七を二にする。これはその者の能力であるとか、その時の状況であったりに左右される。吾輩の場合、驚きの不運に見舞われることさえなければ、無を一に二に三にする事すら可能である。が、このようなことは、緑の血が流れるものとしてできない。勉強代として一を二にする程度であれば、問題なかろうが、ただで肉を巻き上げる事などとてもできない。


 故に何かないかと探していると、珍しいキノコを見つけた。このキノコは、以前病気の折に食べさせられた記憶がある。とても不味く、魔物の食べる物ではないと思ったが、母に言われて渋々食べたのを覚えている。なんでも、多少体に良いらしい。これを使って肉を頂こうと思っていると、魔物影を見つけた。


 丁度良い所に居たのは、腰に兎を吊るしたミノタウロスであった。

AGとは「アンドゴブリ(AnnoGobli)」の略であり、「イエス・ゴブリストの年に」という意味。

小鬼歴紀元、ゴブリスト紀元ともいう。

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