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吾輩はゴブリンである  作者: qwerty
1/6

名前はまだない

 吾輩はゴブリンである。名前はまだない。


 どこで生まれたかまるで見当がつかない。ただ、薄暗い森の中でギィーギィー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかも後で聞くとそれは冒険者という人間中で一番兇悪な種族であったそうだ。


 この冒険者というのは時々森に来ては我々を殺し耳を削ぎ胸の石を抉るという話である。しかしその当時はそのようなことも知らなかったから特に恐ろしいとも思わなかった。ただ彼が持つ棒の先が光るのを見てどことなく悪寒がしたばかりである。その光で冒険者を見たのがいわゆる人間というものの見始めであろう。


 この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一陰部を隠すための皮で全身をくるんでいる。更にその下にも皮を巻いている。その後魔物にも大分遭ったがこんな照れ屋にはには一度も出会した事がない。のみならずぶつぶつとなにか独り言を言いながら全身を薄く光らせている。そうしてその独り言とともに光が徐々に大きくなる。どうにも嫌な感じがして実に弱った。これが人間の使う魔法というものである事はようやくこの頃知った。


 この冒険者が光を強くするのを木の裏からしばらくは不快感とともに見ていたが、しばらくすると非常な光と音を出した。急に飛べるようになったのか大地が無くなったのかわからないが宙に浮き、目と耳は効かなくなる。到底助からないと思っていると身体に衝撃が走った。それまでは記憶しているがあとは何の事やら分からない。


 ふと気が付いて見ると冒険者はいない。沢山おった兄弟が一匹も見えぬ。肝心の母親さえ姿を隠してしまった。その上今までとは違って無暗に明るい。目を開けられぬくらいだ。はてどうなってしまったのかと上を見ると赤々と燃える太陽があった。


 吾輩はゴブリンである。名前はまだない。



ゴブリンが現れた

ピロリロリロリ

ドーーン

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